「仕事で無理を続けたから、がんになったのかもしれない」。診断のあと、過去のストレスを思い返して、自分を責めてしまうことがあります。
国立がん研究センターの「がん情報サービス」は、ストレスでがんになるのか、がんになりやすい性格があるのかについて、明らかな関連を示す科学的根拠は十分に得られていないと説明しています。
一方、国立がん研究センターのJPHC研究では、40〜69歳の約10万人を平均17.8年追跡しました。調査開始時のストレスだけで比べた分析では、全がん罹患との統計的に有意な関連は見られませんでした。
調査開始時と5年後の両方に回答した人の分析では、両時点で自覚的ストレスが高かった群は、両時点で低かった群に比べ、全がん罹患リスクが11%高いという関連が報告されました。ただし、これは観察研究のグループ比較です。ストレスががんを引き起こしたと証明する結果ではなく、11%は個人のリスクを示す数字でもありません。偶然、偏り、ほかの要因の影響を完全に除けないことも、研究機関自身が説明しています。
現時点では「ストレスは絶対に関係しない」とも「ストレスが原因」とも断定できません。がんになったのは、本人や家族のせいではありません。がんの原因を個人ごとに突き止めることは、今の科学では困難です。
ストレスへの対処や心のケアは、がんを防ぐ保証ではありません。それでも、気持ちの負担を軽くし、日々の暮らしを支えるために大切です。つらさが続くときは、担当医・看護師や、がん相談支援センターに相談できます。
【まとめ】
・ストレスとがんの関係は、まだはっきり分かっていません。
・日本の観察研究では、ストレスが続いて高い群で関連が見られましたが、原因を証明するものではありません。
・がんになったのは誰のせいでもありません。心のケアは、心と暮らしを支えるために利用できます。
【出典】
国立がん研究センター がん情報サービス「がんと上手につき合うための工夫」
国立がん研究センター「多目的コホート研究(JPHC研究)からの成果 自覚的ストレスとがん罹患との関連について」(2018年)
※一般的な情報であり、個別の診断や治療の助言ではありません。