家族が突然入院すると、治療のことだけでなく、退院後の生活、仕事、介護、医療費など、いくつもの心配が一度に押し寄せます。
「先生の説明を聞いたけれど、頭に入らなかった」
「退院後、自宅で暮らせるのだろうか」
「医療費はいくらかかるのか」
「家族だけで支えられるだろうか」
このようなとき、すべてを家族だけで整理する必要はありません。病院には、内容に応じて相談できる人や窓口があります。
## まず、心配を3つに分けてみる
頭の中がいっぱいになっているときは、心配を次の3つに分けると相談しやすくなります。
### 1.治療や病状について
病名、今後の治療、退院の見通しなどは、医師や看護師に確認します。
一度で理解できないのは珍しいことではありません。「もう一度、家族にも分かる言葉で説明してほしい」と伝えて大丈夫です。質問したいことを紙やスマートフォンにメモしておくと、聞き忘れを減らせます。
### 2.退院後の暮らしや介護について
「自宅に戻れるのか」「介護が必要になったらどうするのか」「施設も考えた方がよいのか」といった相談は、病院の退院支援担当者、地域連携室、医療相談室などが窓口になります。
窓口の名称は病院によって異なります。分からない場合は、病棟の看護師に「退院後の生活について相談できる方につないでください」と伝えてみてください。
### 3.医療費や仕事、生活について
医療費の支払い、仕事を休む間の収入、介護と仕事の両立などは、医療ソーシャルワーカーに相談できることがあります。
医療費には高額療養費制度などがありますが、使える制度や相談先は、年齢、働き方、加入している医療保険、世帯の状況などによって変わります。制度名を自分で調べきってから相談する必要はありません。
「医療費と生活費が心配です」と、そのまま伝えることが相談の始まりになります。
## 相談前に完璧に整理しなくていい
相談するとき、事情をきれいに説明できなくても大丈夫です。次の4点のうち、分かるものだけ伝えてみてください。
- 本人の病気や治療について、今分かっていること
- 誰と暮らしているか、家族がどこまで支えられそうか
- 医療費、仕事、介護などで特に心配なこと
- 本人や家族が望んでいること、避けたいこと
「何から話せばいいか分かりません」という言葉からでも、相談は始められます。
## 早めに相談することも大切です
退院が近づいてからでは、介護サービスの調整や生活環境の準備に十分な時間を取れないことがあります。
厚生労働省の医療ソーシャルワーカー業務指針でも、退院や社会復帰への支援は時間を要することがあるため、できるだけ早い時期から関係者と連携して対応することが示されています。
不安が小さいうちでも、「こんなことを相談してよいのだろうか」と遠慮する必要はありません。
## 一人で抱えず、次の一歩を一緒に整理する
私は、医療ソーシャルワーカー(社会福祉士)として20年間、病院で患者さんやご家族の相談に携わってきました。
退院後の生活、介護保険、医療費、障害年金、治療と仕事の両立、がんに関する不安など、「誰に何を聞けばよいか分からない」という段階から、一緒に状況を整理します。
診断や治療方針の判断、法律・税務上の判断を行うサービスではありません。今の心配を言葉にし、次に確認することや相談先を整理するための時間です。
一人で考えるのが難しいときは、まずは現在の状況をお聞かせください。
▶ 医療費や生活、病気などの困りごとを一緒に整理するサービス
※急な症状や命に関わる状態など、緊急性がある場合は、オンライン相談ではなく医療機関や救急へ連絡してください。
## 参考
- 厚生労働省「医療ソーシャルワーカー業務指針改訂プロジェクトチーム」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_65924.html
- 厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/juuyou/kougakuiryou/index.html