頑張れているのに、「私は何をしたいのだろう」|働く女性のための自己理解

頑張れているのに、「私は何をしたいのだろう」|働く女性のための自己理解

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コラム

キャリア相談の中で、ある女性がこんな話をしてくれました。

仕事も家のことも、きちんとやっている。
周囲からは「しっかりしている人」と見られている。

けれど、一日が終わると、

「今日、私は何をしたかったんだろう」

という感覚が残る。

そして最後に、少し間を置いて、

「実は、ずっとしんどかったんです」と話されました。

私はお話を伺いながら、

「自分がやりたいことを、少しずつたぐり寄せてみましょう」

とお伝えしました。

ただ、これは簡単なことではありません。

なぜなら、役割をきちんと果たすことと、自分自身を理解することは、別の作業だからです。

「ちゃんとやる」が増えるほど、自分は後ろに下がっていく


働く女性には、いくつもの役割があります。

職場では成果を求められ、家庭では家事や家族への気配りがある。
子どもや親のことを考えながら、周囲からは「きちんとしている人」であることも期待される。

しかも、それをこなせる人ほど頼られます。

すると、

「今は忙しいから」
「家族が落ち着いたら」
「もう少し仕事に余裕ができたら」

と、自分のことは後回しになります。

もちろん、それ自体が悪いわけではありません。

問題なのは、後回しにすることが長く続きすぎると、自分が何を望んでいるのかさえ分からなくなることです。

自己理解の講義で「あなたのやりたいことは何ですか」と質問すると、手が止まってしまう方がいます。

考える力がないわけではありません。

長い間、自分よりも周囲を優先してきたため、突然聞かれても、自分の中から答えを取り出せなくなっているのです。

自分の声がなくなったのではありません。

自分の声を聞く習慣を、いつの間にか使わなくなっていただけなのだと思います。

自分の声は、意外と小さい


「本当は何がしたいですか」

そう聞かれて、すぐ答えられる人ばかりではありません。

多くの場合、

「家族のことを考えると」
「職場に迷惑をかけられない」
「この年齢からでは難しい」

と、まず役割や条件から考えます。

自分の希望は、そのあとです。

けれど、本当に大切にしたいものは、大きな決断として現れるとは限りません。

休日になぜか手に取った本。

以前から気になっている場所。

人から聞いた言葉が、なぜかずっと頭に残っている。

「いつかやってみたい」と思いながら、何年もそのままにしていること。

こうした小さな引っかかりに、自分の価値観や希望が隠れていることがあります。

自分をたぐり寄せる3つの問い


その相談者の方には、すぐに答えを出そうとせず、日常の中で次の3つを考えてみることをお勧めしました。

・今日、少しだけ心が動いたのはどんな瞬間だったか

・仕事、妻、母親などの役割を外したとき、何をしている時間が好きか

・誰にも評価されなくても、続けてみたいことは何か

立派な答えは必要ありません。

「よく分からない」という答えでも構いません。

むしろ、これまで自分を後回しにしてきた人ほど、最初は答えが出ないのが自然です。

大切なのは、答えを出すことより、自分に問いかける時間を取り戻すことです。

これまでの人生を否定する必要はありません


自分を見失っていたと気づくと、

「今まで何をしてきたんだろう」

と思う方もいます。

しかし、これまで役割を果たしてきた時間を否定する必要はありません。

そこには責任があり、愛情があり、守ってきたものがあります。

それは間違いではありません。

ただ、

周囲の人には目を向けてきたけれど、いちばん近くにいる自分を見る時間が少なかった。

それだけです。

これからは、周囲を大切にするのと同じように、自分自身にも少し目を向けてみる。

「私はどうしたい?」
「私は何を大切にしたい?」

そんな問いを持つだけでも、自分の見え方は少しずつ変わってきます。

忙しい毎日を送っている方ほど、答えを急がず、自分の声を聞く時間を意識的につくってみてください。

人生を大きく変える前に、まず自分をもう一度知ることから。

シモン対話室では、仕事や家庭の役割に追われ、自分自身のこれからが見えにくくなっている方の「頭の中の整理」や「自分の声を聞き直す」ための対話を行っています。

一人で考えても同じところを行き来してしまうときは、誰かと言葉にしながら整理することも、一つの方法です。
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