朝、目が覚めた瞬間に思う。
あ、今日も会社か。
疲れているわけではない。体は動く。仕事も、こなせている。
それでも、どこかに「もう辞めたい」という気持ちがある。
でも次の瞬間、別の声も聞こえてくる。
辞めて、どうするか?
収入は?家族は?この歳で次があるのか。
この二つの声が、朝から頭の中でぶつかり合う。
50代の「辞めたい」は、20代や30代のそれとは少し違います。勢いで動ける歳でもないし、失うものも増えている。だから余計に、身動きが取れなくなる。
揺れているのは、弱さじゃない
「辞めたい」と「辞めたくない」が同時にある。
これを「意志が弱い」「覚悟が足りない」と思っている人がいます。
でも、それは違います。
どちらも本音だから、揺れるんです。
辞めたい理由には、積み重なった疲労がある。毎日少しずつ感じる違和感がある。「このまま定年まで同じことをするのか」という、静かな焦りがある。
辞めたくない理由にも、ちゃんと根拠がある。家族への責任、生活の安定、長年積み上げてきたものを手放す怖さ。
どちらかが嘘なのではない。両方が本物だから、苦しい。
本当の問いは「辞めるかどうか」ではない
「辞めたい」と感じているとき、多くの人は「辞めるべきか、残るべきか」を考えます。
でも実は、その前に整理すべきことがある。
・自分は今、何に疲れているのか
・何を守りたくて、踏みとどまっているのか
・辞めた先に、何を期待しているのか
この問いに向き合わないまま「辞める・残る」を決めても、どちらを選んでも後悔が残りやすい。
転職サイトを開いて求人を眺めても、なんとなくしっくりこない。そういう人は、まだ「自分が何を求めているか」が言葉になっていないことが多い。
感情を押し殺す時間が、人を一番疲れさせる
ここで一つ、
私が求職支援訓練校の講義でよくする話を紹介します。
労働時間が長いより、自分の感情を押し殺している時間が長い方が、人は深く疲弊する、という話です。
思い当たりませんか。
本当は言いたいことがあるのに、飲み込む。納得していないのに、頷く。違うと思っているのに、合わせる。
その積み重ねが、ある朝「もう限界かもしれない」という感覚になって出てくる。
辞めたいのは、仕事そのものではなく、感情を殺し続けている状況かもしれません。
あなたは今、どんな場面で感情を押し殺していますか。
揺れていていい。すぐに答えを出さなくていい。
ただ一つだけ、やってほしいことがあります。
その揺れを、誰かに話してみること。
頭の中でぐるぐるしているうちは、整理できない。言葉にして初めて、自分が何に引っかかっているかが見えてくる。
答えを急がなくていい。まず、本音を声に出すところから。
次回は「50代の転職、何から始めるか」について書きます。