紙の勤怠をアプリにしたら、月末の数字が3ヶ月合わなかった。それでも半年続いている話

紙の勤怠をアプリにしたら、月末の数字が3ヶ月合わなかった。それでも半年続いている話

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ビジネス・マーケティング
紙のタイムカードや出勤簿をやめたいと考えている経営者の方に向けて、実際に導入をお手伝いした現場で起きたことを書きます。うまくいった部分と、正直しんどかった部分の両方です。

その事業所では、勤怠を紙で管理していました。毎月末になると、オーナーが紙の出勤簿を1枚ずつ見ながら、表計算ソフトに手で打ち込んでいました。この集計に、毎月3時間ほどかかっていました。

これをスマホのアプリに置き換えました。スタッフは出勤・退勤のときにボタンを1回タップするだけです。記録は自動で表に保存されます。あわせて、レジ締めのレシートを写真に撮ると金額が自動で表に入る仕組みと、給与明細をボタン1つで全員に配る仕組みも作りました。

「年齢層が高いから紙のほうがいい」は思い込みだった

アプリにすると決めた理由は単純で、手入力の効率が悪すぎたからです。出勤・退勤はタップ1回で済む情報なのに、紙に書いて、集めて、打ち直すという手間が3回も挟まっていました。

ただ、ひとつ心配がありました。その職場は、働いている方の年齢層が比較的高かったのです。「紙のほうが管理しやすい」と感じている方も多いだろうと思っていました。

そこで、特別なアプリを入れなくても、誰のスマホからでもタップできる形で作りました。いまスマホを持っていない人はさすがにいない、という前提です。

結果的に、これがハマりました。スタッフ側からの戸惑いや反発は、ほとんどありませんでした。「年齢層が高いから紙のほうがいい」というのは、作る側の思い込みだったのだと思います。

やってしまったのは、月末の数字が合わないことだった

問題が出たのは、スタッフ側ではなくシステム側でした。

月末に集計すると、紙で確認した数字とアプリの数字が合わないことがあったのです。最初のうちは、多少のずれは出るだろうと想定していました。ところが、そのずれが3ヶ月ほど続きました。

これは、オーナーにとってかなりのストレスだったと思います。集計の手間を減らすために入れた仕組みなのに、結局は紙と見比べて確認しなければならない。しかも、どこがずれているのかを探す作業まで増えてしまいました。

あるとき、オーナーからこう言われました。

「そろそろ、シートを見なくても数字が合ってるぐらいにしていきたい」

責められたわけではありません。ただ、ここで信頼を失ったら終わりだと感じました。

対処:ずれが出るたびに、その日のうちに直した

やったことは地味です。数字のずれが見つかるたびに、原因を調べて、AIに修正の指示を出して直す。これをとにかくスピード優先で繰り返しました。

完璧なものを一度で作るのは無理です。ただ、不具合を見つけてから直すまでの速さは、こちらの努力でどうにかできます。何度か失敗を重ねるうちに、アプリの精度は少しずつ上がっていきました。

振り返ると、ずれが3ヶ月続いても関係が切れなかったのは、この速さのおかげだったと思います。勤怠の数字は、そのまま給与に直結します。ずれが放置されると、オーナーは「この仕組みは信用できない」と感じて、紙の確認に戻ってしまいます。逆に、報告したその日に直っていれば、「まだ途中だけど、ちゃんと良くなっている」と感じてもらえます。不具合の数より、直るまでの時間のほうが信頼を左右するのだと実感しました。

ほかの仕組みでも、小さなトラブルはありました。

レシートの読み取りは、画像を読むのが得意なAIを最初から選んでいたので、大きな読み間違いはありませんでした。それでも、たまに原因のよくわからないエラーが出るので、その都度直しています。

給与明細の配信では、つい最近、登録したメールアドレスに明細が届かない不具合が起きました。調べてみると、アドレスを変更しても仕組みの側に反映されない作りになっていました。これもすぐに直して、今は問題なく動いています。金額がずれた明細が届く、といった誤配信は今のところ起きていません。

毎日1時間、オーナーの時間が生まれている

いま、月末の集計は3時間から30分ほどになりました。アプリの数字をざっと見直すだけで済んでいます。

集計以外の細かい作業も減ったので、感覚としては、オーナーの時間が毎日1時間ほど生まれているのではないかと思います。

このお手伝いは、もう少しで半年になります。

知人からは「AIでツールを作り終えたら、その仕事は終わりなんじゃないの?」と言われることがあります。実際はそうなっていません。オーナーの話を細かく聞いていると、「こういうこともやってみたい」という話が必ず出てきます。それをAIで作れる形にして提案する。これを繰り返すうちに、作るものが自然と増えていきました。

とはいえ、無理に長く続けてもらう必要はないと考えています。契約は3ヶ月ごとに更新するかどうかを相談する形にしています。それでも半年続いているのは、続けるメリットを感じていただけているからだと受け止めています。

紙の勤怠をやめたい経営者の方へ

勤怠や給与のまわりは、月末に作業が集中するうえに、間違いが許されない領域です。だからこそ、最初の数ヶ月は数字がずれることを前提にしておいてください。

導入するときに決めておくとよいことは、2つだけです。

ひとつは、しばらくは紙と並行して確認する期間を設けること。 いきなり紙をやめると、ずれが出たときに正しい数字がわからなくなります。アプリの数字が何ヶ月か続けて合うまでは、念のため手元の記録も残しておくのが安全です。

もうひとつは、ずれたときに誰に、どう伝えるかを決めておくこと。 気づいた人がすぐ連絡できる窓口が1つあるだけで、修正までの時間が大きく変わります。

そして、ずれたときにすぐ直してくれる相手かどうかを、発注先を選ぶ基準にしてください。

私自身、現役の鍼灸師として現場に立ちながら、こうした仕組みを作ってきました。「うちの紙の作業はアプリにできるのか」という段階でも、お気軽にご相談ください。
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