格闘技を愛するすべての人へ。
そして、まだ格闘技の本当の面白さを知らないあなたへ。
これから語る一戦は、ただの「UFC(世界最高峰の総合格闘技団体)」
のいち試合ではない。日本格闘技界が数年かけて紡いできた
「歴史の答え合わせ」であり、未来への重い扉をこじ開けるための
あまりにもエモすぎる死闘だ。
エモい!
堀口恭二 vs マネル・ケイプ。
このカードを聞いて、血湧き肉躍らない格闘技ファンはいないだろう。
例えるなら、「甲子園の決勝で死闘を演じた最大のライバル同士が、数年の時を経て、今度はメジャーリーグの大舞台で再戦する」ようなものだ。
もしあなたがまだ彼らのドラマを知らないなら、数分だけ時間を貸してほしい。
この記事を最後まで読めば、あなたは必ずこの試合の目撃者になりたくなるはずだ。
運命の交差点。RIZINからUFCへと続く「エモすぎる」伏線
時計の針を2017年の大晦日に戻そう。
舞台は日本の格闘技イベント「RIZIN」。そのバンタム級(約61kg)トーナメント準決勝。
当時、すでに日本格闘技界の至宝として君臨していた堀口恭二の前に立ちはだかったのは、「アンゴラ番長」という異名を持つマネル・ケイプだった。
当時のケイプは、才能の塊ではあったが、ファイトスタイルは荒削りで喧嘩っ早いストリートファイターのような存在だった。
バチバチな試合です。
激闘の末、堀口が「肩固め」という技で絞め落とし、見事な一本勝ちを収めたあの日。敗れたケイプはリング上で人目もはばからず涙を流し、もっと強くなることを世界に誓った。
そしてその日堀口恭二は石渡を決勝で粉砕しGP王者となった。
あれから数年。
堀口は膝の大怪我や団体消滅の危機など、数々の苦難を乗り越えて
常に日本のトップとして世界の強豪を迎え撃ち続けてきた。
一方のケイプは、あの敗北を糧に恐ろしいほどのスピードで成長を遂げ、ついには見事にRIZINのチャンピオンベルトを腰に巻いたのだ。
「歳月を経て、同じ日本のリングで王座を戴冠したもの同士が、今度は世界最高峰のUFCのオクタゴン(金網)で激突する」
こんな少年漫画の最終回のような展開が現実にあるだろうか? 日本のリングで交わった二つの運命が、海を越え、世界の頂点を決める舞台で再び交錯する。エモすぎる。これ以上の極上の人間ドラマを、私は他に知らない。
平良達郎が見せた「夢の続き」と、立ちはだかる「鬼門」
今、日本の格闘技ファンは一つの大きな熱狂の中にいる。
無敗の超新星・平良達郎がUFCのフライ級(約56.7kg)で連勝を重ね、「日本人初のUFC王者」という途方もない夢を見せてくれているからだ。
UFCのチャンピオンになるというのは、サッカーで言えばワールドカップで優勝するのと同じくらい、世界的な偉業である。
だがしかしその壁はあまりにも大きかった つい最近の話だ
平良くん対ヴァン戦 日本が哀しみに包まれた。
しかし、その夢の続きを、長年日本を背負ってきたエース・堀口恭二がここで一気に手にする可能性がある。
この試合に勝てば、堀口はフライ級のトップコンテンダー(次期挑戦者)として、「次勝てばタイトルマッチ、世界一の座に王手」という位置まで一気に駆け上がる大一番なのだ。
だがしかし、立ち塞がるマネル・ケイプは、間違いなく最恐の「鬼門」である。
殺傷能力と圧倒的進化。勝負を分ける「空転」の美学
現在のケイプの爆発力とワンパンチの殺傷力は、はっきり言って異常だ。
大振りなパンチを振り回していたRIZIN時代の荒削りな姿はもうない。今の彼は、「野生の猛獣が、最新鋭のスナイパーライフルを手に入れた」ような状態だ。
ボクシングテクニックは極限まで洗練され、相手を倒す防御力も格段に向上。
戦略という部分のファイトIQも普通の次元ではない。
フィジカルもフライ級最強クラスだ。
直近はUFC3戦連続フィニッシュ勝利だ
UFCの世界の猛者たちを、次々とマットに沈める「進化した怪物」へと変貌している。
もちろん、堀口恭二も黙ってはいない。
前回の対戦同様、
「カーフキック(ふくらはぎを蹴り、相手の土台を破壊するローキックの一種)」は有効な武器になるはずだ。
大木を切り倒すように、ケイプの機動力を削ぐことができる。
だが、進化したケイプ陣営も100%対策を練ってくるだろう。
勝負の鍵は「空転」にあると見ている。
ケイプのあの恐ろしい一撃必殺の踏み込みに対し、堀口が世界最高峰のステップワーク(足さばき)と距離感で、「闘牛士が猛牛をかわすように」空を斬らせカウンターを叩きこみ削り抑え込むことができるか。
ケイプのパンチをギリギリでかわして焦りを誘い、打撃の交錯の中で一瞬の隙を突く。
そして、伝家の宝刀であるタックルで相手を地面に引きずり込み、泥臭く息苦しい展開へと持ち込む。
派手な打撃戦と見せかけた、ヒリヒリするような「1センチ単位の距離の削り合い」になるはずだ。まばたきすら許されない。
結語:熱狂の渦へ飛び込め
この試合は、ただの勝敗を決める戦いではない。
お互いの人生、プライド、そして日本の格闘技が世界に通用するのかという未来が詰まった、ヒリつくような総力戦だ。
爆発力か、ステップワークか。
進化か、経験か。
言葉では到底表しきれないほど「ヤバくて、熱い」この試合。
日本格闘技が世界に挑む最高の瞬間を、後からニュースで知るなんてもったいない。絶対にリアルタイムで見届けてほしい。俺たちは今、とんでもない歴史の目撃者になろうとしている。
亡き恩師・山本”KID”徳郁が託した「果たせなかった夢」
堀口恭二がこれほどまでに強さを求め、世界最高峰の過酷なオクタゴンに立ち続ける理由。
それを語るには、日本格闘技界が誇る伝説のカリスマ、山本”KID”徳郁(やまもと・きっど・のりふみ)の存在に触れなければならない。
「神の子」と呼ばれた山本KID。
2000年代、その圧倒的な野生のバネと、見る者すべてを魅了するカリスマ性で、日本中に空前の格闘技ブームを巻き起こしたスーパースターだ。
高校を卒業したばかりの堀口は、KIDに憧れ、彼が主宰するジム
「KRAZY BEE(クレイジービー)」の門を叩いた。
KIDは一目で堀口の異常な才能を見抜き、自身の技術、闘争心、そして格闘技への愛を、我が子のようにすべて注ぎ込んだ。
KIDもまた、日本の頂点を極めた後、世界最高峰のUFCへと挑戦した男だ。
しかし、度重なる怪我もあり、UFCの頂点(チャンピオン)に立つという夢は叶わなかった。
そして2018年、病のため、41歳という若さでこの世を去ってしまう。
日本中が悲しみに暮れる中、一番弟子の堀口は、師匠の遺影の前で固く誓ったはずだ。
「KIDさんが叶えられなかったUFCのベルトは、俺が絶対に獲る」と。
堀口恭二の背中には、常にKIDがいる。
試合に勝利した直後、オクタゴンの中心で天に向かって指を突き上げる彼の姿を見るたび、古参のファンは涙をこらえきれない。あの電光石火の飛び込みにも、相手を仕留める野性の嗅覚にも、間違いなく神の子の遺伝子が息づいているのだ。
「師匠が手の届かなかった世界の頂点へ、一番弟子が再び挑む」
マネル・ケイプとの一戦は、単なるランキング戦ではない。亡き恩師との約束を果たすための、絶対に負けられない「魂の継承戦」なのだ。これを知ってしまったら最後、もう彼を応援せずにはいられないだろう。
負けたらどちらかが脱落ではないが次のタイトル戦までは大幅な遠回り
勝ってもヴァンが控えているが
その切符を掴むための日本人がまだ見ぬ日本人初のUFC王者が生まれる瞬間に繋がるとても大事な一戦なのだ。
残酷で美しい総合格闘技の世界へようこそ。
明日はみんなでキョージを応援しよう。