業務改善やAI活用の話をすると、
「この仕事、自動化できますか?」
と考えがちです。
でも私は、その前に一度、
「そもそも、この仕事って必要?」
と考えるようにしています。
今ある仕事を、そのまま速くする。
今ある手順を、そのままAIにやらせる。
それもひとつの方法です。
でも、なくしていい仕事を高速化しても、やらなくていいことを効率よく続けているだけです。
だから私はまず、仕事を棚卸しします。
■ 最初は、大きな仕事から書き出す
いきなり細かい作業を全部書き出そうとすると、たぶん終わりません。
私も全部は書き出せません。
なので、まず大きな枠から見ます。
最初に見るのは年間カレンダーです。
そこから、
年に1回、数回ある仕事
毎月やる仕事
毎週やる仕事
毎日やる仕事
という順番で書き出していきます。
健康診断。
点検。
給与。
月次処理。
毎週の集計。
毎日の回覧。
そんな感じで、大きいものから順番に。
もちろん、それでも漏れます。
「そういえば、こんな仕事もあった」
というものは必ず後から出てきます。
なので、私は実際にその仕事が発生した時に、
「これもあったな」
と追加します。
そのついでにAIへ、
「この作業、もっと減らせるところある?」
と相談することもあります。
最初から完璧な業務一覧を作ろうとしなくていいと思っています。
仕事をしながら、少しずつ棚卸しを続ける。
それくらいで十分です。
■ 「これ、本当に残す必要ある?」を考える
仕事を書き出したら、次に見るのが、
なぜこの作業をしているのか。
です。
たとえば書類なら、
後から誰かが見るのか
法律や社内ルールで保管が必要なのか
誰が、何のために使うのか
を考えます。
誰も見ない。
法的な保管義務もない。
社内で使う予定もない。
なのに、なぜか昔から保管している。
そんなものがあったら、
「そもそも、なんで取ってるんだっけ?」
を調べます。
ちゃんと理由があるなら残す。
理由がなければ、やめる。
「昔からそうしているから」は、理由にはしません。
■ ダブルチェックも、本当に2人必要なのか考える
チェック作業も同じです。
今まで、
一人が処理する。
もう一人が確認する。
という仕事があったとします。
もちろん、重要な業務では複数人の確認が必要な場合もあります。
でも、
「ダブルチェックすること」
そのものが目的なら、
最初のチェックをAIにやってもらい、その後に人間が確認する。
これでも、
AI+人間の二段階チェック
にはできます。
今まで人間が2人必要だった仕事を、必ずしもそのまま2人で続けなくていい。
大事なのは、
「何人でやるか」
ではなく、
「どこで間違いを止める必要があるのか」
だと思っています。
■ 自動化しやすい仕事は、「何度も同じことをしている仕事」
私が自動化しやすいと思うのは、
過去に何度も同じことをしている仕事
です。
同じ条件なら、同じ処理をする。
同じ資料から、同じ項目を拾う。
同じ形式で登録する。
こういうものは、自動化しやすい。
ただし、
何度も同じ仕事をしていても、
判断に必要な情報が頭の中にしかない場合は別です。
AIやシステムが判断するための情報が、どこにもデータとして残っていない。
そんな仕事は、そのままでは自動化しにくい。
つまり、
繰り返し作業であること+判断材料がデータとして存在すること。
この2つがそろっていると、自動化しやすいと感じています。
■ 急がなくていい仕事は、まとめてやる
もうひとつ、かなり効果があったのが、
「発生するたびに処理する」をやめること。
たとえば有給休暇の届出。
1枚届くたびに仕事を止めて入力する必要はありません。
夕方にまとめて入力しても結果は同じです。
購入依頼書も同じ。
届くたびに処理するのではなく、
10時。
15時。
と時間を決めて、その時点でたまっているものをまとめて処理する。
さらに、
「17時以降に来たものは、翌日対応します」
と決めておく。
すると不思議なことに、
本当に急ぎの仕事以外は、だんだんそのルールに合わせて入ってくるようになります。
一日中、誰かから仕事を差し込まれ続ける状態より、
自分で仕事の時間をまとめた方が、ずっと楽です。
AIを使わなくてもできる業務改善です。
■ 人間がやった方がいい仕事もある
もちろん、何でも自動化すればいいとは思っていません。
私が人間に残したいと思うのは、
人と人をつなぐ仕事。
それから、
業務と業務の間を調整する仕事。
そして、
最後の確認と判断。
このあたりです。
たとえば小口現金なら、
スキャンされた書類をAIが拾って、処理用のデータを作るところまでは自動化できます。
でも、実際に金庫から現金を出して、封筒へ入れる。
これは現実世界の仕事なので、人間がやります。
作業着の管理も、
データ上の処理は自動化できても、
実際に在庫数を確認したり、現物を渡したりする部分は人間です。
デジタルの中で完結するところは仕組みに任せる。
現実世界に触れるところと、最後の責任は人間が持つ。
私はこのくらいの分け方が好きです。
■ 効率が悪く見えても、残している仕事もある
全部が全部、自動化できるわけではありません。
たとえば、うちの会社には毎日作る回覧があります。
これがなかなか自動化しにくい。
その日の出来事。
社内で伝えたいこと。
頭の中にある情報。
その時々によって内容が変わります。
AIが参照できる場所に、必要な情報が全部そろっているわけでもありません。
つまり、判断材料が人間の頭の中にあります。
こういう仕事を無理に自動化しようとすると、
かえって説明する手間の方が増えます。
なので今のところ、ここは人間がやっています。
自動化できない仕事が残っていてもいい。
全部なくすことが目的ではありません。
■ 他部署の仕事は、勝手に決めない
自分の仕事なら、
「これ、いらないな」
と自分で判断できるものもあります。
でも、他部署の仕事は別です。
営業課の仕組みを作るなら、
まず、
「何がしたい?」
を聞きます。
工場なら、
「最終的にどうなれば楽?」
「今はどうやっている?」
を聞きます。
そして、
「これって本当に必要ですか?」
「これは残した方がいいですか?」
と確認する。
一見無駄に見える仕事でも、その部署にしか分からない理由があることがあります。
だから、
業務を知らない人が、外から見て勝手に消さない。
これはかなり大事だと思っています。
■ 最初の棚卸しは、「定期的にやっている仕事」から
もし初めて業務棚卸しをするなら、
私は、
定期的に繰り返している仕事
から始めるのをおすすめします。
毎月やっている。
毎週やっている。
毎日やっている。
こういう仕事は流れが決まっているので、整理しやすいです。
たとえば以前、うちでは毎月、税理士さんへ資料を送っていました。
銀行通帳のコピー。
請求書のコピー。
必要書類を紙でまとめて、郵送する。
でも考えてみると、
税理士さんに情報が届けばいいのであって、紙で郵送する必要はありませんでした。
そこでDropboxで共有する形へ変更しました。
さらに今では、請求書自体もWebで受け取るものが増えています。
以前は、
Webで受け取る。
紙に印刷する。
紙で保管する。
そこから税理士さんへ渡す。
という流れでした。
でも、Webで受け取ったものをわざわざ紙に戻す必要はありません。
今はデータのまま保管。
必要なPDFをAIに整理してもらい、Dropbox経由で税理士さんへ渡しています。
「毎月必ずやっている仕事」
を一つ見直しただけでも、
印刷。
コピー。
紙の整理。
郵送。
いくつもの作業が消えました。
■ 自動化の前に、3回くらい「本当に?」と聞いてみる
私は、業務改善するとき、
すぐに、
「じゃあAIで自動化しよう」
とは考えません。
その前に、
これ、本当に必要?
本当にこの頻度で必要?
本当に人がやる必要ある?
と考えます。
必要なら残す。
急がなくていいならまとめる。
同じことを繰り返しているなら、自動化を考える。
誰も使わないなら、やめる。
人が判断するべきところだけ、人に残す。
そうやって仕事を削ってから、
残ったものにITやAIを使う。
その方が、仕組みも小さくなります。
費用も手間も減ります。
そして何より、
やらなくていい仕事を、上手にやり続けなくて済みます。
業務改善の最初の一歩は、
新しいシステムを探すことではなく、
自分たちが普段やっている仕事を、一度並べて眺めてみること。
そこから、
「これ、なんでやってるんだっけ?」
を一つずつ聞いてみる。
私は、そこから始めています。
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