【Vol.1】大手コンサルのAI戦略説明会で感じた、強烈な「違和感」の正体。「完璧なデータ整備」を待つ間に、AI時代は終わってしまう。

【Vol.1】大手コンサルのAI戦略説明会で感じた、強烈な「違和感」の正体。「完璧なデータ整備」を待つ間に、AI時代は終わってしまう。

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コラム
先日、とある大手コンサルティングが開催した「AIリープ」に関するセミナーに参加しました。

内容は非常に充実していました。戦略策定から、実際のシステム構築、そして泥臭いデータの整理整頓(データマネジメント)まで、企業がAIを活用するための「正解」がそこにはありました。

特に、データガバナンスやセキュリティを徹底し、PoC(実証実験)を繰り返してROI(費用対効果)を証明してから本番へ…というプロセスは、大企業が失敗しないための鉄則でしょう。

しかし、その完璧なロードマップを聞きながら、私の頭の中には強烈な違和感が渦巻いていました。

「これを全部やり終える頃には、もう時代が変わっているんじゃないか?」

もっと言えば、「そんな大掛かりなことをする前に、GeminiやChatGPTをセキュアな環境で全社員に配ったほうが、圧倒的に早く成果が出るんじゃないか?」

今回の連載では、コンサルティング会社が提示する「重厚長大」なAI戦略と、現場が肌で感じている「AIのリアルなスピード感」のギャップについて考えてみたいと思います。

「立派な図書館」を建てるか、「今の検索」を使うか
セミナーで強調されていたのが、D&A(Data & Architecture)の重要性です。 「AIは魔法の杖ではない。データが汚ければ、AIも正しい答えを出せない(Garbage In, Garbage Out)」という理屈です。だからこそ、まずはデータを綺麗にし、ルール(ガバナンス)を作り、基盤を整えよう、と。

これは、従来のITシステム開発では100点満点の正論です。

しかし、生成AI(LLM)の進化は、この前提を少しずつ崩しています。 例えば、Googleの「Gemini 3.0 Pro」などの最新モデルを使ってみてください。整理されていない長文の議事録や、バラバラのフォーマットの資料をそのまま放り込んでも、文脈を読み取り、驚くべき精度で要約や分析をしてくれます。

コンサルタントが提案するのは、「本を読む前に、完璧に分類された図書館を建設しましょう」というアプローチです。 対して、今のAIの実力は、「散らかった部屋のままでも、超優秀な秘書が書類の山から必要な情報を見つけてくれる」レベルに達しています。

前者に数億円と数年をかける間に、後者で明日から業務を効率化したほうが良いのではないでしょうか?

ROI(費用対効果)の考え方がズレ始めている
セミナーでは、「ROIの可視化」や「クイックPoCによる検証」が重要だと語られました。「このAI導入で〇億円の効果が出ます」と証明してから予算を取る、という企業特有のプロセスです。

しかし、ここにも罠があります。

例えば、社員一人ひとりが月額数千円のAIツールを使い、毎日30分の残業を減らせたとします。これだけで、全社的には莫大なコスト削減になります。 わざわざ数ヶ月かけて「特定の業務専用のAIシステム」を開発しなくても、「汎用的なAI」をそのまま使うほうが、ROIが出るまでのスピードが段違いに速いのです。

「建設」ではなく「拡張」へ
もちろん、全社の基盤システムや、絶対にミスが許されない領域(医療や金融取引など)には、ア◯ームコンサルティングのようなプロフェッショナルによる綿密な設計が必要です。そこを否定するつもりはありません。

しかし、多くのオフィスワークにおいて今必要なのは、ダム建設のような大規模プロジェクトではなく、「喉が渇いた人が、今すぐ水を飲めるコップ」です。

私が感じた違和感の正体。 それは、「個人の能力を拡張するツール(AI)」を、「従来のシステム開発の枠組み」で管理しようとしすぎていることへの危惧でした。

では、なぜ企業は「とりあえず使ってみる」ができないのか? その最大の壁として立ちはだかるのが「セキュリティ」です。

「社内情報が漏れたらどうするんだ」

「AIが嘘をついたら誰が責任を取るんだ」

次回は、この「セキュリティの壁」について考えます。実はこれも、数億円かけずともクリアできる方法があるのです。

(過去記事の再掲載です)(つづく)


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