「無性に食べたくなる」
「つい食べすぎてしまう」
そんなことはありませんか?
食べすぎてしまうと、「自分の意志が弱いから」と考えてしまうこともあるかもしれません。
でも、食欲は意志の強さだけで決まるものではありません。
生活習慣や環境など、さまざまなことが関係しています。
この記事では、食欲が強くなったり、食べすぎてしまったりするときに考えられる主な原因と、無理なく取り入れやすい対策を紹介します。
「食べる量を一気に減らす」「食べたいものをすべて我慢する」といった厳しい方法ではなく、できそうなところから少しずつ見直していきましょう。
私は、病院での勤務経験がある管理栄養士です。
これまで栄養について学んできた知識をもとに、食欲が強くなったときに「まず何を見直せばいいのか」を、できるだけ分かりやすくまとめています。
この記事を読むことで、
食欲が強くなるときに考えられる原因
食欲が強いときにできる、無理のない工夫
食べ過ぎてしまった後の考え方
などを知ることができます。
できそうなところから少しずつ見直してみましょう。
まず確認:薬の影響はありませんか?
もし、うつ病などの治療で薬を服用していて、薬を飲み始めてから食欲が強くなった、体重が増えてきたという場合は、薬の影響が関係している可能性もあります。
そのため、
「薬を飲み始めてから食べる量が増えた気がする」
という場合は、まず主治医に相談してみましょう。
薬を変えることで、この後お伝えする内容を意識しなくても改善する可能性があります。
食欲が強くなる主な要因
冒頭でお伝えしたとおり、食欲が強くなるのは、さまざまな要因が関係しています。
ここでは、特に見直しやすいものを紹介します。
睡眠不足
睡眠が不足すると、食欲に関係するホルモンなどの働きに変化が生じ、食欲が強くなったり、高カロリーな食品を選びやすくなったりすることがあります。
「食べたい衝動にかられやすい」「間食が増えた」というときは、食事だけでなく、最近の睡眠時間や、起きてよく眠れた感じがあるかについても振り返ってみましょう。
ストレス
ストレスが続いていると、食べることで気分転換をしたくなったり、甘いものや脂っこいものが欲しくなったりすることがあります。
「お腹が空いているから食べたい」のか、「疲れやストレスを感じて食べたくなっている」のか、少し振り返ってみるのも一つの方法です。
次の章からは主な要因となっている睡眠とストレスを見直す方法を解説します。
コツ①|睡眠やストレスを見直す
寝る環境を整える
睡眠をとりやすくするために、寝る環境を少し工夫してみるのもよいでしょう。
例えば、
寝る前にリラックスできる音楽を聞く
寝る前はスマートフォンなどの刺激を減らす
アイマスクをつけて寝る
など、取り入れやすい方法から試してみましょう。
ストレスを和らげる~筋弛緩法~
ストレスがたまっているときは、食事だけでなく、ストレスそのものを和らげることも考えてみましょう。
リラックスできる音楽を聞く
信頼できる人やAIに愚痴を話すほか、
筋弛緩法を試してみるのも一つの方法です。
筋弛緩法の方法を以下の図にまとめました。
自室など落ち着ける場所で行い、
特に緊張を感じる部分だけでもOK。
寝る前なら仰向けの状態でもOKです。
力を入れる時、以下の点を意識します。
③肩を上げる
④顔全体をすぼめる
⑧つま先を上げる
まずは、緊張や疲れを少し和らげるための方法の一つとして、できそうなときに試してみてください。
軽く体を動かす
日中に少し体を動かすことは、生活リズムを整えたり、睡眠をとりやすくしたりすることにもつながります。
「運動する気力がない」という日は、
スクワットを数分
テレビや動画を見ながら椅子から立ち上がったり座ったりする
といった短時間の運動でも睡眠不足やストレスの軽減につながります。
風呂に入る
入浴も、リラックスして睡眠をとりやすくするための方法の一つです。
時間がない時はシャワーのほうが時短になりそうな気もしますが、
寝る前1時間~1時間半前に10分ほど入浴することで寝付きもよくなり、結果的に深い睡眠をとりやすくなる、とされています。
ここまで生活習慣やストレスに着目しました。
ただ、長年続いている習慣を変えるには、時間がかかることもあります。
そこで次の章では、今、食べたい気持ちが強いときに、その場で取り入れやすい工夫を紹介します。
コツ①にすぐ取り組むのが難しい場合は、まずコツ②から試してみるのも一つの方法です。
食欲のつらさが少し落ち着いてから、できそうな範囲でコツ①にも取り組んでみましょう。
コツ②|食べ方を工夫する
手っとり早く食べたい衝動を減らすコツを
空腹を感じたときや食事の前
食事のとき
のシーン別に紹介します。
A 空腹を感じたとき・食事の前
水分をとる
空腹を感じたときは、まず水やお茶などを飲んでみるのも一つの方法です。
おなかを刺激することで食べたい衝動が弱くなる可能性があります。
ガムを噛んでみる
食べたい衝動にかられているときは、ガムを噛んでみるのも一つの方法です。
ガムを噛むことで、空腹感から一度意識をそらせる可能性が複数の研究で示唆されています。
B 食事のとき
よく噛んでゆっくり食べる
よく噛むことで食欲を調節する脳の仕組みに刺激が伝わり、満腹感を得やすくなると考えられています。
実際に、食事をしっかり噛んで食べた場合、あまり噛まずに食べた場合と比べて、食後の満腹感が高くなった研究もあります。
よく噛むことを意識すると、自然とゆっくり食べることにもつながります。
満腹感は食事を始めてから10分~20分ほどかかるとされています。
ゆっくり食べることで満腹感を得られ、食べすぎを防ぎやすくなります。
とはいえ、毎食ゆっくり噛むのは難しいと感じるかもしれません。
その場合、夕食や休日など時間に余裕のある食事から意識してみましょう。
野菜・きのこ・海藻から食べてみる
野菜・きのこ・海藻などは食物繊維を多く含みます。
食物繊維が多いと自然と噛む回数も増え、満腹感を得やすくなります。
生野菜だけでなく、カット野菜や 冷凍野菜、乾燥わかめなど、取り入れやすいものでも構いません。
毎食きちんと野菜を食べることが難しい場合は、できる食事から少しずつ取り入れてみましょう。
食べ過ぎてしまったときは?
食欲は、私たちが生きていくために必要なものです。
そのため、食べたい気持ちを意識の力だけで完全に抑えることは、簡単ではありません。
また、仕事の帰り道に飲食店やコンビニがあるなど、食べ物が身近にある環境も、食べ過ぎにつながることがあります。
このように考えると、食べ過ぎを完全に防ぐことは難しいものです。
1回食べ過ぎてしまったからといって、「自分の意志が弱い」と考えすぎる必要は全くありません。
食べすぎると、つい次の食事を抜かしたり、極端に減らしたりしたくなるかもしれません。
しかし食事を極端に減らすと、その反動で食べたい気持ちが強くなり、かえって次の食事の食べすぎを招きやすくなります。
食べすぎたら次の2~3日程度の間、
主食のごはんをやや少なめにするなど、
おおざっぱに1週間平均では体重を維持できている週の1週間平均と大きく変わらなければいい、くらいの意識をもつといいでしょう。
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「一度食べ過ぎると、そのままダイエットをやめてしまう」
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おわりに
食欲が強くなったとき、「食べないようにしなければ」と考えてしまうかもしれません。
でも、食欲には睡眠やストレス、普段の食べ方など、さまざまな要因が関係しています。
まずは、
睡眠を意識する
ストレスや疲れを少し和らげる
よく噛んでゆっくり食べる
野菜・きのこ・海藻から先に食べる
など、できそうなことから一つ試してみてください。
すべてを一度に変える必要はありません。
少しずつ、無理なく、自分に合った方法を見つけていきましょう。
本ブログでは、この記事以外にも
うつ病の方向けの
食事・栄養に関する記事をいくつか書いています。
もし余裕があるときに、
目に留まったものだけ読んでもらえたらうれしいです。
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参考書籍・サイト
功刀 浩, 阿部 裕二: 臨床に役立つ精神疾患の栄養食事指導. p12-25 , 講談社. 2025
健康づくりのための睡眠ガイド 2023
Effects of Chewing Gum on Satiety, Appetite Regulation, Energy Intake, and Weight Loss: A Systematic Review : Nutrients . 2025 Jan 25;17(3):435
噛(か)むことの大切さを見直そう ~野菜の効用と食べるタイミング~
Naho KOMAI, etc.
Thorough Mastication Prior to Swallowing Increases Postprandial Satiety and the Thermic Effect of a Meal in Young Women : Journal of Nutritional Science and Vitaminology. 2016. Vol.62 (5) pp 288-294