テレビ局に企画を届ける主要ツールとして代表的なものに「プレスリリース」と「ファクトブック」があります。
どちらも「会社や商品を伝えるために欠かせない資料」ですが、役割も使い方もまったく別物です。
私は会社員として広報を担当していた頃、この2つの性質を正しく理解し、狙いを分けて作るようにしてから成果が一変しました。1本のプレスリリースでテレビ取材が10件決まることもあれば、ファクトブックがきっかけで大型特番へ発展したケースもあります。ここではその経験を交えつつ、両者の違いと成果に直結する作り方をまとめます。
プレスリリースとファクトブックの違い
プレスリリースとは
売り込む商品を1つに絞り、魅力を多角的かつ端的に伝える資料で、分量の目安は A4・2〜3枚。初見3秒で「面白い!」と思わせる設計が肝です。
誰にでも配れるのが特徴で、知人のディレクターはもちろん、まだ面識のない番組や記者クラブへの一斉送信も可能になります。
企画が面白ければ刺さるし、そうでなければ刺さらない――“一撃必殺”の勝負になります。
✅ ポイント:ネタは一つ、魅力は多角。
誰にでも届けられる“即決勝負の資料”。
ファクトブックとは
一方、ファクトブックは会社自体を「ネタの宝庫」として見せる“ネタ帳”です。「商品」「サービス」「制度」「社員」など…多面的に見どころを束ねます。
分量は厚めでOK。雑誌のように、写真や吹き出しで“読み物化”するのが理想。
プレスリリースと違って、初対面に送りつけてもじっくり読まれることは皆無です。そのため、ある程度信頼関係ができたディレクター相手に手渡すことで効く資料といえます。
実際、仲の良いディレクターへ渡したことが特番の密着につながったことがあります。これはプレスリリースでは生まれにくい展開です。
✅ ポイント:会社を丸ごと見せるネタ帳。関係がある相手に渡して効く。
プレスリリースの作り方:ビジュアルと見出しが命
1) 1枚目に勝負写真
最初に目に入るのは常に1枚目。場合によってはそこしか見られません。
だからこそ、「この企画を取材したら、こう撮れる」が一目で伝わる大きな写真を置きます。
・行列の写真なら先頭から最後尾までをフレームに。
・イベントならステージ側から観客の熱気を収める。
→ ディレクターが瞬時に“面白い!”と思えることが重要です。
2) 見出しで8割を伝える
写真と並ぶ生命線が見出しです。
1〜2行の大見出しで魅力の核を言い切り、必要なら吹き出しや小見出しで補足します。
「ビジュアル+見出し」で7〜8割を伝え切ると、反応が目に見えて変わります。
3) ダイジェストで複数の魅力を端的に
1枚目に”魅力の要点まとめ”を配置。
2〜3枚目で詳細を展開する流れにすると、初見で全体像が掴め、読み進められます。
ファクトブックの作り方:雑誌のように、楽しく
ファクトブックはプレスリリースの逆を意識します。
写真多め、文字少なめ。パラパラめくるだけで「この会社、面白い」と伝わる見せ方にすることが重要です。
大事なのは「会社概要」より「会社の面白さ」。
従業員数や設立年は巻末の小さな欄で十分。
・「この社員がユニーク」
・「こんな制度がある」
など、“ちょっと面白い”を写真付きで量産します。
テレビマンは基本長文を読む時間がありません。
眺めるだけで面白さが伝わる――これが理想のファクトブックです。
送付方法とタイミングの工夫
どこへ、どう送るかで結果は変わります。
・記者クラブ:一気に広く届けたい時に有効。
・番組宛のFAX/メール:番組ごとの連絡先を調べ、ピンポイントで。
・専用フォーム:Web投稿が受付口の番組も増加。
・ディレクター個人宛:最強。会えるなら直接手渡し。
タイミングも重要です。
帯番組は平日どこでもOK。ただし週末番組は企画会議の直前が埋もれにくい。
そしてメールの件名に決して「プレスリリース」と書いてはいけません。プレスリリースを読みたい人はいないからです。
それよりもあなたが思う“一番の驚き”を件名に置いて、開封率を最大化しましょう。
まとめ
プレスリリース=一撃必殺のツール
・ネタは一つ、魅力は多角。誰にでも配れる即決勝負。
・写真と見出しで8割伝える。1枚目で心を掴む。
ファクトブック=会社のネタ帳
・読み物化して、パラ見で面白さが伝わる設計。
・関係ができた相手に渡すと効く。
共通して大切なのは、ビジュアルで心を動かすこと。
「こう撮れる」「この臨場感がある」と視覚で訴え、そこにストーリーや数字を重ねる――すると、メディアは動きます。
広報の仕事は、情報を流すことではありません。
相手の心が動く仕掛けをつくること。
そのためにプレスリリースとファクトブックを正しく使い分け、あなたの会社の魅力を最大化していきましょう。