「競売物件なら、相場より安く仕入れられる」
不動産の仕入れを考え始めたとき、
一度はこう考える方もいるかもしれません。
確かに競売には、
一般の市場とは違う価格で物件を取得できる可能性があります。
しかし、
「競売=安く買える物件」
と単純に考えるのは危険です。
良い物件には複数の入札が入り、
想定していた価格より高くなることもあります。
一般的な中古住宅の売買とは違い、
購入前に得られる情報にも限界があります。
さらに、
物件の占有状況によっては、
取得後に引き渡しの手続きが必要になることもあります。
裁判所も、競売物件については「物件明細書」「現況調査報告書」「評価書」のいわゆる3点セットを確認し、権利関係や占有状況などを十分に調査するよう案内しています。これらの資料だけですべてが分かるわけではなく、現地や権利関係について自ら確認する重要性も示されています。
だから今回のMTGでは、
「どうやって競売物件を安く落札するか」
ではなく、
その一歩手前について話しました。
競売になってから物件を探すのではなく、競売になる前に相談してもらうことはできないか。
ここには、
仕入れという視点だけではない、
不動産会社だからこそ提供できる価値があります。
■1. 「競売=安く仕入れられる」とは限らない
競売という言葉を聞くと、
「市場価格よりかなり安く買える」
というイメージを持つ方もいます。
しかし、
競売も入札です。
当然、
自社だけがその物件を見ているわけではありません。
立地が良い。
再販しやすい。
権利関係が比較的シンプル。
リフォーム後の商品イメージを描きやすい。
こうした物件であれば、
他の不動産会社や投資家も注目します。
入札者が増えれば、
落札価格も上がります。
ここで買取再販会社が考えなければならないのは、
「市場価格より安いか」ではありません。
重要なのは、
落札価格
+取得に伴う費用
+明け渡し等に備えるコスト
+リフォーム費
+保有費
+販売費
+想定外への予備費
まで含めても、
出口価格から逆算して利益が残るのか。
ということです。
通常の仕入れと同じく、
「安く見える」と「事業として安い」は別物です。
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■2. 競売物件では何を調べる必要があるのか
競売物件を検討するときに重要になるのが、
いわゆる「3点セット」です。
裁判所が公開している、
「物件明細書」
「現況調査報告書」
「評価書」
です。
例えば物件明細書では、
買受人が引き継ぐ必要のある賃借権などの権利関係について確認します。
現況調査報告書では、
物件の状況だけでなく、
誰が占有しているのか、
その占有にどのような権原があるのか、
といった情報も確認します。
評価書からは、
評価の前提や物件の状態などを読み取っていきます。
しかし重要なのは、
3点セットがあるからリスクがなくなるわけではない
ということです。
裁判所自身も、これらを参考資料としたうえで、現地や登記などを自ら調査・確認することが重要だと案内しています。
だからこそ競売では、
価格だけを見るのではなく、
「分からないことに、どれだけ余白を持たせるか」
という判断も必要になります。
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■3. 安く買えても、最終的に利益が残るとは限らない
これは競売に限らず、
買取再販全般で重要な考え方です。
例えば、
通常なら2,500万円程度で仕入れる物件を、
競売で2,200万円で取得できたとします。
300万円安く買えた。
一見すると、
非常に良い仕入れに見えます。
しかし、
室内の状態が想定より悪く、
リフォーム費が200万円増えた。
さらに引き渡しまで時間がかかり、
保有期間が延びた。
想定外の対応にも費用がかかった。
これなら、
最初から2,500万円で状態を確認したうえで仕入れた物件の方が、
結果的に利益が残る可能性もあります。
買取再販で見るべきなのは、
仕入れ値の安さではなく、事業全体の利益です。
これは、
「競売だから安い」
という言葉だけで判断してはいけない理由の一つです。
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■4. 本当に重要なのは「競売になる前」かもしれない
今回のMTGで、
特に話したかったのがここです。
競売になった物件を、
どうやって安く仕入れるか。
もちろん、
それも一つの仕入れ戦略です。
しかし、
もう少し前の段階を見ることもできます。
例えば、
住宅ローンの支払いが厳しくなった。
税金の滞納が続いている。
収入が減った。
相続した住宅を維持できない。
離婚などで住宅を手放す必要が出てきた。
こうした段階です。
まだ競売になる前であれば、
状況によっては売却など、
別の方法を検討できる可能性があります。
つまり、
「競売物件を探す」のではなく、「競売になる前に困っている人と出会う」
という考え方です。
ここで不動産会社が介在できれば、
単なる仕入れとは違う価値が生まれます。
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■5. 任意売却という選択肢が残っている場合もある
住宅ローンの返済が難しくなったからといって、
必ずすぐに競売になるわけではありません。
状況によっては、
債権者と調整しながら住宅を売却し、
売却代金を返済に充てる、
いわゆる任意売却を検討できる場合があります。
住宅金融支援機構も、返済継続が困難になった場合、任意売却によって残債務を圧縮する方法を案内しています。
同機構は任意売却について、通常の不動産取引として売買されるため、一般的には競売より高値での売却が期待でき、債務の縮減につながると説明しています。
ただし、
ここは誤解してはいけません。
「ローン残高より安く売ればいい」
という単純な話ではありません。
抵当権が設定されている場合、
売却するには債権者との調整が必要です。
住宅金融支援機構の任意売却でも、
販売活動を行い、
購入希望者が現れた後に、
抵当権抹消に応じられるか審査する流れになっています。
だからこそ、
問題が深刻になる前に相談することが重要です。
早い段階ほど、
検討できる選択肢を整理しやすくなります。
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■6. 「困っている売主」とどうやって接点を持つのか
ここからが、
不動産会社の仕組みづくりです。
「競売になる前に相談してください」
と言うだけでは、
なかなか相談は来ません。
住宅ローンの返済に困っている方は、
そもそも、
「誰に相談すればいいのか分からない」
という状態になっていることがあります。
銀行なのか。
不動産会社なのか。
弁護士なのか。
司法書士なのか。
税理士なのか。
相談先が分からないまま、
時間だけが経ってしまうこともあります。
だから地域の不動産会社が、
例えば、
「住宅ローンの返済が厳しくなったときの相談」
「相続した家を維持できないときの相談」
「税金の滞納がある不動産の売却相談」
「離婚に伴う自宅売却」
など、
“物件を売りたい人”ではなく、“住宅について困っている人”の入口をつくる。
これも集客設計の一つです。
もちろん、
法律・税務・債務整理など、
不動産会社だけでは判断できない領域もあります。
その場合は、
弁護士。
司法書士。
税理士。
金融機関。
などの専門家につなぐ。
重要なのは、
すべてを自社だけで解決することではありません。
「まずここに相談すれば、次に何をすればいいか分かる」
という窓口になることです。
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■7. 買取再販会社にとって“相談される仕組み”は仕入れになる
これは、
以前noteで書いた、
「物件を探す会社から、物件情報が集まる会社へ」
という話にもつながります。
仕入れというと、
ポータルサイトを見る。
仲介会社を回る。
競売情報を見る。
DMを送る。
こうした「物件を探す活動」に目が向きます。
しかし、
もう一つあります。
売却に困ったときに、最初に相談される会社になること。
です。
例えば、
地域で、
「相続した空き家なら○○さん」
「住宅ローンの返済相談なら○○さん」
「古い家でも相談できるのは○○さん」
という認知ができれば、
まだ市場に出ていない段階で相談が入る可能性があります。
これは単なる広告ではありません。
日頃から、
SNS。
ホームページ。
相談会。
地域の専門家との連携。
過去のお客様からの紹介。
などを通じて、
「どんな問題を相談できる会社なのか」
を発信しておく必要があります。
仕入れ力は、
物件検索の速さだけで決まるものではありません。
相談が集まる仕組みそのものが、仕入れルートになる。
買取再販会社にとって、
これは非常に重要な考え方です。
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■8. 不動産会社の価値は「安く買うこと」だけではない
競売になった物件を安く取得する。
そして、
リフォームして販売する。
それも、
買取再販会社の一つのビジネスです。
しかし、
不動産会社が介在する価値は、
それだけではないと思います。
例えば、
住宅ローンの支払いが難しくなっている売主から、
早い段階で相談を受ける。
状況を整理する。
売却できるのか確認する。
必要なら金融機関や専門家と連携する。
そして、
売主にとって現実的な方法を探す。
結果として、
その住宅を自社で買い取れる場合もあるでしょう。
仲介で一般のお客様へ売却する場合もあります。
あるいは、
不動産売却以外の対応になることもあります。
重要なのは、
「自社が安く買えるか」から考えないことです。
まず、
この売主にとって、
どんな着地点があるのか。
そのうえで、
自社がどこで関われるのかを考える。
そうすることで、
売主にとっても、
買主にとっても、
不動産会社にとっても、
より良い取引につながる可能性があります。
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■まとめ
「競売なら安く仕入れられる」
確かに、
競売によって一般市場とは違う価格で物件を取得できるケースはあります。
しかし、
競売だから必ず安いわけではありません。
競争があれば、
落札価格は上がります。
物件について確認できる情報にも限界があります。
占有状況などによっては、取得後に引渡命令などの手続きが必要になるケースもあります。裁判所にも、そのための手続きが設けられています。
だから、
「いくらで落札できるか」
だけを見ていてはいけません。
そして、
もう一つ考えたいことがあります。
競売になってから、その物件を取り合う必要があるのか。
住宅ローンの返済が難しい。
税金の支払いが厳しい。
相続した住宅を維持できない。
そんな段階で相談してもらえれば、
まだ選択肢が残っている可能性があります。
競売物件を探すことも仕入れ。
仲介会社から情報をもらうことも仕入れ。
そして、
問題が大きくなる前に相談してもらえる関係をつくることも、仕入れです。
不動産会社の仕事は、
安い物件を見つけることだけではありません。
売主が抱えている問題を整理し、
必要な専門家とも連携しながら、
より良い着地点を探す。
その結果として、
物件の売却や買取につながる。
私は、
「物件を探す力」だけでなく、「困ったときに相談される力」も、これからの不動産会社の仕入れ力の一つ
だと考えています。
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■最後に
競売は、買取再販にとって一つの仕入れルートです。
しかし、
「競売で安く買う方法」だけを考えていると、
すでに問題が大きくなった後の物件だけを見ることになります。
その一歩前に、
不動産会社だからできることがあります。
競売になる前に相談してもらうこと。
そして、
「売ってください」
から始めるのではなく、
「今、どんな状況なのか一緒に整理しましょう」
から始める。
この接点を地域の中につくれる会社は、
売主の問題解決に貢献しながら、
結果として独自の仕入れルートも築いていけます。
今後もセバラボでは、
「どこから物件を探すか」だけではなく、
“どうすれば物件情報や売却相談が集まる会社になれるのか”
という視点からも、
買取再販の実務について発信していきます。
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