また、珈琲を淹れた。
深夜2時。国分寺の街は静まり返り、僕の部屋だけが
青白い光に照らされている。
スタートアップのクライアントから預かったシステムに、原因不明のバグが
潜んでいる。明日の朝までに解決しなければならない。
マグカップから立ち上る湯気を見つめながら、ふと思う。
SIer時代は、こんな夜を過ごすことに意味を見出せなかった。
巨大なシステムの中で、自分は交換可能な歯車のひとつ。
誰のために、何のために書いているのか、見えなかった。
でも今は違う。
この画面の向こうには、僕のコードを信じて待ってくれる人がいる。
このバグを解決すれば、明日誰かの業務がスムーズに回る。
そう思うと、不思議と疲れなんて感じない。
珈琲を一口飲む。苦みが舌に広がる。「もう少しだ」って、
珈琲が言っている気がする。
フリーランスになって学んだことがある。技術と真摯に向き合うって、
完璧なコードを書くことじゃない。誰かの「困った」に寄り添い、
最後まで諦めないこと。生成AIも自動化も、全部その手段だ。
ログを見直す。パターンが見えてきた。もう少しで、光が見える。
珈琲はまだ温かい。今夜も、僕は走り続ける。