読書がくれた新しい世界

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うつの症状がひどかった頃は、本を読んでも映画を観ても内容が頭に入らず、物語を追うことすらできなかった。それが何より苦しかった。
 投薬治療を始めてから、少しずつ症状が落ち着き、ようやく文章を読めるようになってきた。
 当時はネットに自分で書いた記事を投稿しており、ネタ探しも兼ねて図書館へ通い、本を借りて読んでいた。振り返ってみると、あの時間は読解力を取り戻すための、とても良い訓練になっていたのだと思う。
 図書館は発見に満ちている。本棚に並ぶ本の中には、地味な装丁からは想像もつかないほど面白い内容が詰まっているものがある。そのことに気づいてからは、宝探しに出かけるような気持ちで、足しげく図書館へ通うようになった。
 小説だけではない。科学、歴史、宗教、旅行記――ジャンルを問わず、興味を引かれた本を片っ端から読んでいく。そうして一見役に立ちそうもない知識が少しずつ積み重なっていくと、不思議なことに、これまで無関係だと思っていた情報同士が頭の中で結びつき始める。
 「あれとこれがつながるのか」
 そんな瞬間が何度も訪れる。その快感は、一度味わうと癖になる。
 三十を過ぎた今でも、この世界は私の知らないことだらけだ。
 だからこそ、これからも図書館へ通い、本を読み、知らないことを知る喜びを大切にしていきたい。

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