【阪田和典】自分の値段を自分で決めるのが怖いあなたへ
記事
ビジネス・マーケティング
もし明日から、あなたのすべての発言や行動に値段がつくと想像してみてください。朝の挨拶が十円、同僚への適切なアドバイスが千円、そして誰にも真似できない独特のアイデアが三万円。こう言われると、多くの人は急に足がすくんでしまうはずです。自分の価値を数字で表現するという行為は、自分の存在そのものを市場という冷徹な審判の前にさらけ出すような、言いようのない恐怖を伴うからです。しかし、この恐怖の正体こそが、実はあなたが新しい扉を開くための最大の鍵であることに、そろそろ気づいてもいい頃かもしれません。
私たちは長い間、誰かが決めた給料や評価という枠組みの中で生きてきました。それは安全な避難所である一方で、自分の可能性を一定の範囲内に閉じ込める檻でもありました。ココナラのような場所で自分のスキルに値段をつけるということは、その檻の鍵を自ら壊し、広大な自由へと飛び出す儀式に他なりません。最初は、自分が一万円だと言い切ることに罪悪感すら覚えるでしょう。誰にも買われなかったらどうしようという不安が、夜の静寂を支配するかもしれません。でも、その震える手で設定した金額こそが、あなたが自分自身に対して初めて示した「敬意」の重さなのです。
商売の基本は、単なる技術の切り売りではありません。相手の悩みという深い闇に、自分の持っている灯火を分け与える行為です。あなたが当たり前だと思っている知識や、苦労して身につけた経験は、それを喉から手が出るほど欲している誰かにとっては、何物にも代えがたい救いになります。価格とは、その感謝の気持ちを可視化したものに過ぎません。高い値段をつけることは、強欲であることではなく、提供する価値に対して最後まで責任を持つという、最高に誠実な態度の表明なのです。
自分の価値を低く見積もることは、一見謙虚に見えますが、実は自分の才能を信じていないという点において、自分への最大の裏切りです。世界は、あなたが自分を扱うようにあなたを扱います。あなたが自分の時間を安売りすれば、世界もあなたを安価な部品として扱います。逆に、あなたが自分の価値を信じて凛としていれば、世界は驚くほど優しく、そして正当な対価を持ってあなたの前に現れるでしょう。
最初の一歩は、完璧でなくていいのです。ただ、自分という唯一無二の存在に、ふさわしい名前と値段をつけてあげること。その決断が、あなたの人生を「雇われる人」から「自ら価値を生み出す人」へと劇的に変えていきます。価格設定に迷ったときは、それが未来の自分への投資だと考えてみてください。あなたが自分に付けたその値段は、あなたがこれから到達するであろう、まだ見ぬ高みの風景を映し出す鏡になるはずです。