徒然 第二十七幕 手放すことは新たなものを掴むこと

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人は何かを失うことに恐怖や不安を覚えます。これは心理学でも提唱された概念にもある「損失回避の心理(プロスペクト理論)」というものです。

一万円をもらえる嬉しさよりも、1万円を失うことのショックの方が大きいという例のように、私たちは損を避けるための行動を最優先にするのです。

これは感覚的にも当然の反応に思えます。今あるものを失えば、今ある安心を失うことになるかもしれません。安全な環境、安心な状態を確保できなければ、私たちは前に進みにくくなってしまいます。

ところが、人生はそう単純なものではありません。失わないように必死に握りしめても、ありとあらゆる原因で、私たちは今あるものを手放さなくてはならないときがいつか来ます。

それは痛烈な痛みを引き起こしたり、未来への不安を呼び起こしたりします。溜め込みたい、ずっと掴み続けたい人にとっては、恐怖でしかないでしょう。

しかし、この「手放す経験」は、私たちの成長や拡大に必ず必要です。なぜならば、物を握りしめたままでは、新たなものを掴むことはできないからです。何かを得るには、何かを失わなくてはならないのです。

ときとしてそれは時間であったり、労力であったり、今ある人間関係であったり、職だったりします。手放してからまた新しいものを掴むことによって、私たちは前進するのです。グレードを上げるには、「手放す」ことは必要なことです。

必死になって握りしめているだけでは、得られないものがあります。手放すことは何かを失うことだけを意味するわけではありません。新たな物を迎え入れるための準備とも言えるのです。

手放した何かよりも価値あるものが、きっとあなたの元にやってきます。失ったことを嘆かなくても大丈夫です。執着を手放した次の瞬間には、あなたの手の中に新しい何かが芽生えていることでしょう。


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