「そのままのわたしでは、足りないの?」──気持ちだけじゃ越えられなかった日々のこと

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コラム
【はじめに:気持ちではどうにもならない現実】

「気持ちはあるんだけどね」
「ほんとは伝えたいんだけど」
そう言いながら、私はたくさんのことを飲み込んできた。
体の不調、波のある痛み、うまく回らない日常。
気持ちでは何とかしたくても、現実がどうにも動かない日もある。
「がんばりたい気持ち」は本物なのに、
がんばれないからって、置いていかれるような気がしていた。

【パーキンソン病とわたしの主な症状】

パーキンソン病には、4つの主な運動症状があると言われています。
・ふるえ(振戦)
・筋強剛(筋肉がこわばる)
・動作緩慢(動きがゆっくりになる)
・姿勢反射障害(バランスがとりにくくなる)
わたしがこの病気と出会ったきっかけは、右足のふるえでした。
服薬治療を始めてから、そのふるえは落ち着いていきました。
一方で、なかなか言葉にできない、つかみどころのない“からだの痛み”に悩まされるようになっていきました。
いつからだったかははっきりしませんが、
初期の頃から、首や肩、背中に「凝りのような痛み」があったことは覚えています。
それが少しずつ、日常の中で気になる頻度が増えていったような感覚です。

【「どこが痛いの?」と聞かれても】

「どこが、どんなふうに痛いの?」
そう聞かれても、うまく答えられなかった。
痛くなる場所はある程度決まっているのに、説明しようとすると言葉が出てこない。
首、肩、背中、腰、太ももの前側、ふくらはぎ、二の腕の外側、前腕──
そのうちのいくつかが、日によって、組み合わせを変えて痛くなる。
じっとしていても痛むときがあるし、
動き出した瞬間に、ジーンと広がるような痛みを感じることもある。
筋肉の奥で静かに張っていたものが、ふっとあふれ出すような、
うまく言葉にできない、でも確かにそこにある痛み。
「この感じを、どう言えば伝わるんだろう」
そう考えているうちに、また飲み込んでしまう。
うまく伝えられないことが、またひとつの苦しさになっていた。
※なお、パーキンソン病の他の主な症状(筋強剛・動作緩慢・姿勢反射障害など)については、今のところ大きく困っていることはありません。

【「わかってほしい」から「伝えていく」へ】

「わかってほしい」──ずっと、そう思っていた。
わたしのからだがどんなふうに痛むのか。
どうして今日はこんなにも動けないのか。
気持ちだけでは追いつかない現実を、誰かにそっと気づいてほしかった。
でも、わかってもらえなかった。
わかってほしくて伝えようとしても、うまく言えなかった。
「しんどい」「つらい」──そう言えば、相手を困らせてしまうかもしれない。
「甘えてると思われるかも」「どうせ伝わらない」
そうやって、ずっと飲み込んできた。
でも、ある日ふと気づいた。
「わかってほしい」だけでは、何も変わらない。
伝えなければ、伝わらない。
怖くても、言葉にならなくても、
まずは「わたしは今、こう感じてる」と言ってみよう。
そこから、少しずつ世界が変わっていった。

【わたしが“聞くこと”を選んだ理由】

わたしは、言えなかった。
でも、ほんとはずっと、聞いてほしかった。
言葉にできなくても、誰かが「そうだったんだね」ってそばにいてくれたら、
それだけで少し、呼吸が深くなるような気がしていた。
だから、今わたしは、“聞くこと”を選んでいる。
うまく言えない思い、誰にも言えなかった気持ち、
飲み込んできた言葉を、そっと差し出してもらえるような時間。
傾聴サービスを始めたのは、「わかってもらえなかった」わたしがいたから。
でも今は、「伝えること」をあきらめないわたしがいる。
誰かの言葉にならない声に、わたし自身の痛みと経験を重ねながら、
やさしく、誠実に、そっと寄り添っていけたら──
そう願いながら、今日もわたしは耳を傾けている。

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