「給料、上げるから。もう少し一緒にやらないか」
会議室で上司にそう言われた瞬間、頭が真っ白になった。
用意していた言葉が、ひとつも出てこない。
気づいたら「…少し考えます」と答えていた。
面談でこの話を聞くのは、めずらしくありません。
退職を伝えたあと、よくあるつまずきが、この「引き止め」です。
はじめまして、ハルです。人材紹介会社の現役キャリアアドバイザーとして、8年で約5,000名の方と面談してきました。退職を伝える日の前後にも、何度も付き添ってきました。
この記事では、よく言われる5つの引き止めの言葉と、角を立てない返し方を例文つきでまとめます。
1回目の返しだけでなく、もう一度押されたときの一言も入れました。
先に結論です。
・よく言われる引き止めの言葉は、だいたいこの5つ
・返し方は「受け止める一言 → 決めたことは変えない」の順でそろえる
・言葉が出なくなったら、「日をあらためて」と席を立っていい
来る言葉が分かっていれば、頭が真っ白になりにくくなります。
■「少し考えます」と答えたあとに、よく起きること
面談でよく聞く流れを、ひとつにまとめるとこうです。
「考えます、と言ったら上司がほっとした顔をして。そこから話が進まなくなりました」
部長との面談が入り、「新しいポジションを用意した」と言われる。
「後任が決まるまで待ってほしい」とも言われる。
断るたびに申し訳なさが増えて、退職日が少しずつ延びていく。
「辞めるって、こんなにしんどいんだ」という声も、よく聞きます。
流れが変わるのは、言われそうな言葉と返事を、紙に書き出してからです。
次の話し合いで、上司の言葉にかぶせず、用意した一言を落ち着いて返せる。
「ありがとうございます。でも、気持ちは変わりません」
そこから、退職日の話が前に進み始めた、という方は多いです。
正直に言うと、私も最初は、返し方を紙に書いて渡せば十分だと思っていました。
声に出す練習まで一緒にやるようになったのは、「紙を見ていたのに、本番で声が出なかった」という声を何度も聞いてからです。
気持ちの強さより、準備のほうがずっと効きます。
ここから、よくある5つの言葉を順番に見ていきます。
面談で「揺れた」と聞くことが多いのは、実は5つ目です。
■【その1】「給料を上げるから、残ってくれないか」
面談でよく聞く引き止めです。
例文:
「ありがとうございます。お気持ちはうれしいです。ただ、条件の話ではなく、次の仕事で◯◯に挑戦したいと決めました」
もう一度押されたら:
「金額をうかがっても、気持ちは変わらないと思います。お気持ちだけ、ありがたく受け取ります」
金額の話に乗ると、「いくらなら残るか」の交渉になります。
理由をいくつも並べるのも避けましょう。1つずつ「それなら解決できる」と返されるからです。
■【その2】「今辞められると、チームが回らない」
まじめな方ほど、ここで胸がぎゅっとなります。
例文:
「ご迷惑をおかけしてすみません。引き継ぎは、最後まで責任を持ってやります」
もう一度押されたら:
「引き継ぎの資料は、◯日までに作ってお渡しします」
申し訳なさは、謝る回数ではなく、日付のある約束で返すと伝わります。
謝るだけで終わると、「考え直してくれるかも」と受け取られやすいからです。
■【その3】「もう少しだけ考えてみたら?」
やさしく聞こえるので、つい「はい」と言ってしまう言葉です。
答えが「考えます」になってしまうのは、この言葉のときが多いです。
例文:
「ありがとうございます。何度も考えた末の答えなので、このまま進めさせてください」
「考えます」と答えると、話はふりだしに戻ります。
やわらかい言葉にも、返事はぶらさないことが大切です。
■【その4】「恩を忘れたのか」「無責任だ」
強い言い方をされると、自分が悪いことをしている気持ちになります。
例文:
「育てていただいたことには、本当に感謝しています。そのうえで、次に進むと決めました」
感謝は、心から伝えて大丈夫です。
ただ、「だから残ります」とはつなげません。感謝と決断は、別のものです。
■【その5】「後任が決まるまで、待ってくれないか」
面談で「揺れた」と聞くことが多いのが、この言葉です。
もっともらしく聞こえて、断ると自分が冷たい人に思えてくるからです。
例文:
「引き継ぎはしっかりやります。退職日は◯月末でお願いしたいと考えています」
「後任が決まるまで」を受けると、辞める日がずるずる延びることがあります。
上で紹介した流れで退職日が延びたのも、話を先送りにする言葉が続いたからでした。
「新しいポジション」「後任を待ってほしい」が、その代表です。
引き継ぎは約束しつつ、退職日はこちらから具体的に伝えましょう。
■それでも言葉が出てこなかったときは
準備しても、本番で詰まることはあります。
上司の顔を見た瞬間に、のどがきゅっとしまる方も多いです。
そのときは、無理に言い返さなくて大丈夫です。
「気持ちは変わりません。日をあらためてお話しさせてください」
これだけ言って、いったん席を立ちましょう。
話し合いは、1回で終わらせなくていいのです。
■よくある質問
Q. 何回も引き止められたら、折れたほうがいいですか?
A. 気持ちが変わっていないなら、同じ返事を繰り返して大丈夫です。回数で決めることではありません。
Q. 退職届を出せば、引き止めは止まりますか?
A. 書面で意思を示すと、話が進みやすくなることは多いです。まずは上司に口頭で伝えてから、が基本です。
■まとめ:来る言葉は5つ。返事を先に決めておく
・よく言われる引き止めの言葉は、だいたいこの5つ
・返し方は「受け止める一言 → 決めたことは変えない」の順でそろえる
・言葉が出なくなったら、「日をあらためて」と席を立っていい
まずは、あなたの上司が言いそうな言葉を1つ思い浮かべてください。
その返事を、今日のうちに紙に1行書いておきましょう。
それだけで、本番の景色が少し変わるはずです。
■一人で練習するのが不安な方へ
ここまで読んで、「返し方は分かった。でも、あの上司の前で言える気がしない」と感じた方もいると思います。
紙に書いた言葉は、声に出して一度言ってみるだけで、ずいぶん出やすくなります。
相手役がいると、なおさらです。
ココナラでは、あなたの職場と上司に合わせて返し方を一緒につくり、私が上司役になって練習します。
会社への連絡はしません。伝えるのは、あなた自身です。
・【竹】ビデオで声に出して練習し、伝える日まで付き添ってほしい方(最長30日)
・【松】引き止めが強そうな職場で、2回目の引き止めや退職日の話し合いまで付き添ってほしい方(最長60日)
・【梅】まずは台本とチャット練習で、言える準備をしたい方(7日間)
一人ひとりにしっかり付き添うため、同時にお受けできるのは1件までにしています。
どれにするか迷うときは、購入前のメッセージで気軽にご相談ください。
「気持ちは変わりません」と、落ち着いて言えるあなたを応援しています。