大人になっても親に振り回される人へ

大人になっても親に振り回される人へ

記事
コラム
人になっても親に振り回される人へ

罪悪感を手放し、自分の人生を淡々と生きるための処方箋

◆ ◇ ◆

アイリス綾

目次

はじめに4

第一章 なぜ、大人になっても親に振り回されてしまうのか7

第二章 「良い子」の呪縛――振り回される人に共通する思考のクセ11

第三章 具体例で見る、親に振り回される瞬間14

第四章 罪悪感という檻から出るために18

第五章 境界線を引く技術――「淡々と、こだわりなく、粛々と」21

第六章 親を手放し、自分の人生を生きるためのワーク24

第七章 関係性別に見る、振り回されやすいパターン27

第八章 よくあるご質問30

第九章 ビフォー・アフター――変化していった三つの物語34

付録 振り回されタイプ・セルフチェックリスト37

第十章 今日からできる、たった一つの習慣39

コラム 氷河期世代と、親世代の価値観のずれ41

おわりに43

著者紹介45




はじめに



「実家から電話が来ると、それだけで胸がざわつく」

「もう四十歳を過ぎたのに、母の機嫌ひとつで一日が台無しになる」

「親を怒らせてはいけない、悲しませてはいけない。そう思って、自分の気持ちより先に相手の顔色を確認してしまう」

これまで三千件を超えるご相談をお受けしてきましたが、学生さんから経営者、政治に関わる方まで、立場や年齢を問わず、驚くほど多くの方が、この「親との関係」に苦しんでおられます。仕事の悩み、恋愛の悩み、お金の悩み――どんな相談から始まっても、話を丁寧にほどいていくと、その根っこに「親に振り回されてきた自分」が座っていることが、本当に多いのです。

不思議なことに、体は立派な大人になり、社会的にも責任ある立場についていても、親の前に立つと、あるいは親からの一本の連絡を受けただけで、心はあっという間に子どもの頃に引き戻されてしまいます。怒られないように。嫌われないように。がっかりさせないように。そうやって、自分の人生の主導権を、知らず知らずのうちに親に預けたまま生きている方が、本当にたくさんいらっしゃいます。

私自身、二十六年間を金融機関に勤めながら、二十年にわたって高齢者福祉施設を中心にボランティアの傾聴・カウンセリングを続けてきました。数えきれないほどの親御さん世代の本音にも、その子ども世代の本音にも、両方の側から耳を傾けてきた経験があります。だからこそお伝えできることがあります。それは、「親を嫌いになる必要はない」ということ、そして「親のために自分の人生を差し出す必要もない」ということです。この二つは、矛盾するようでいて、実はまったく矛盾しません。

私が大切にしている考え方に、「淡々と、こだわりなく、粛々と」という言葉があります。これは、恩師である小林正観さんや片山鶴子さんの教えに深く影響を受けたものです。感謝を土台にしながらも、執着を手放し、淡々と自分のやるべきことをやっていく。この姿勢は、親子関係という、人生でもっとも根深く、もっとも情のこもったテーマにおいてこそ、力を発揮します。

この本は、親を否定するための本ではありません。親を変えるための本でもありません。あなたが、あなた自身の人生の手綱を、もう一度あなたの手に取り戻すための本です。氷河期世代として、思うようにいかない時代の空気の中で育ってきた私たちだからこそ、わかることがあります。誰かのせいにして立ち止まるのではなく、淡々と、自分の足で歩き出す。そのための処方箋を、この一冊に込めました。

本書では、心理学的な視点と、長年の相談実務から得た実践的な知恵の両方を織り交ぜながら、お話を進めていきます。難しい専門用語は、できる限りかみ砕いてお伝えしますので、専門知識がなくても、安心して読み進めていただけます。

どうか肩の力を抜いて、ご自身のペースで読み進めてください。読み終える頃には、実家からの電話に対する心のざわつきが、少しだけ静かになっているはずです。

内容は下記参照
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