外注先に実データを渡していい?ダミーデータの作り方

外注先に実データを渡していい?ダミーデータの作り方

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法律・税務・士業全般
「お見積りをお願いします」と書いたところで、手元のExcelを添付しようとして止まる。開いて中を見れば、取引先の会社名、担当者の氏名、携帯番号、請求金額がそのまま並んでいる。これを一度も会ったことのない相手に送ることになる。

送らなければ話が進まない気もする。かといって送ったあと、そのファイルがどこに置かれ、いつまで残るのかは分からない。社内で「勝手に外に出した」と言われる筋も思い浮かぶ。そうして相談そのものを先延ばしにしてしまうことがあります。

先に結論を書く。ほとんどの依頼で、実データは要らない。作る側が見たいのは中に入っている人の名前ではなく、列がどう並んでいて、そこにどんな形の値が入っているかのほうだ。今回は、架空のデータへの差し替え方と、それでも実データが要る場面、そして渡した後に決めておくことを順に見ていく。

見ているのは中身ではなく、形

見積りの段階でファイルを見せてほしいと言われるのは、作業量を読むためだ。列がいくつあるか、日付はどう書かれているか、1つのセルに複数の情報が詰まっていないか、空欄がどのくらいあるか。見ているのはだいたいこの4つで、その取引先が実在するかどうかは作業量に一切効かない。

だから氏名がすべて架空の名前でも、会社名が「A商事」「B商事」と並んでいても、見積りの精度は変わりません。むしろ実名が入っていると、受け取った側も扱いに気を使うぶん、やり取りが一段遅くなる。

当方もご相談の際は「データは架空のものに差し替えていただいて構いません」とお伝えしている。列の構成が分かれば作れるからで、これは気を回して言っているのではない。実務として、そのほうが早く正確に出せる。

値は変えてよい。形は変えない

では何をどう置き換えるか。線はひとつで、値は好きに変えてよいが、形は元のままにする。名前や番号そのものは作りに関係がなく、桁数や書き方は作りをそのまま決めてしまうからだ。ここを逆にすると、差し替えた意味がなくなる。

氏名や会社名は別の名前で構わない。ただし文字数は元に近づけてください。3文字の会社名しか入っていないファイルを見せられると、一覧の列幅をその前提で決めてしまう。実際には20文字を超える正式名称が入っていた、と後から分かると、画面の作り直しになる。

電話番号も、番号は変えてよいが桁数とハイフンの有無はそのままにする。金額や日付も同じで、値はずらしてよいけれど、桁の数と書式は動かさない。100円と1,000,000円が同じ列に混ざるのかどうかで、表示も集計も作りが変わります。

架空データにするときの手加減

消すと、同じものが作れなくなる

差し替えのときにいちばん惜しいのが、汚れている行を消してしまうことだ。空欄、全角と半角が混ざった番号、備考欄に手書きのように書かれた一文、日付の欄が「11月中」になっている行。人に見せるのが気まずいから、整っている行だけ選んで送る。これが実は、いちばん困る。

業務が止まるのは、きれいに揃った行のほうではない。空欄をどう扱うか、揃っていない書き方をどちらに寄せるかは、そのまま画面と保存の決まりごとになる。整った100行だけを見て作ったものは、残していた汚れた10行を入れた瞬間に止まります。

備考欄の文面がどうしても気になるなら、中身だけ架空の文に置き換えて、長さと改行の有無は残してください。1行で収まる列なのか、5行の文章が入りうる列なのかで、画面の組み方が変わる。ここを削られると、渡した側の想像と違うものが出来上がる。

実データが要るのは、この二つだけ

とはいえ、実データを渡すことになる場面はある。当方が経験した範囲では二つで、しかもどちらも最初の相談の段階では発生しない。渡す・渡さないの二択で身構えるより、いつ渡すことになるのかを知っておくほうが動きやすい。

ひとつはデータ移行。これまでの記録を新しい器に入れるなら、その中身そのものが移す対象なので、架空データでは代わりにならない。ただし移行の作業が来るのは納品の直前だ。見積りにも設計にも要らないので、渡す時期を後ろにずらせます。

もうひとつが再現しない不具合。特定の1件だけ集計に乗らない、という症状は、その1件を見ないと理由が分からないことがある。原因はたいてい、値そのものではなく形のほうに潜んでいるからだ。これも全件は要らない。その1件と、比較のための前後数件があれば足ります。
「実データが無いと作れません」と言われたら、何のために必要なのかを聞いてください。
答えが「移行のため」「この症状を見るため」であれば、対象と期間を決めて、その範囲だけを渡せばいい。逆に、理由がはっきりしないまま全件を求められるなら、そこは一度立ち止まってよい場面だ。要る理由を説明できる相手なら、範囲を絞る相談にも応じてくれます。

渡した後の扱いを、先に文字にする

渡すかどうかと同じくらい大事なのが、渡した後だ。ここは口約束で流れやすい。「もちろん外には出しません」と言われて、それで終わる。悪意の話ではなく、単にいつ消すかを誰も決めていないから、残り続けてしまう。

決めるのは、渡す範囲、渡す手段、こちらの手元に保管するかどうか、そしていつ消すか。これをやり取りのメッセージの中に、文として残しておく。後から確かめられるのは、残っている記録だけだ。口頭で決めたことは、半年後には双方とも再現できない。

当方は、見積りの段階では実データをお預かりしない前提でお伝えしていて、移行や不具合の調査で必要になったときだけ、範囲と期限を決めてお預かりしている。作業が終わったら消して、消したことをメッセージで返す。この一往復があると、後で聞かれても答えられる。

渡す前に決める5つ

送る道具にも、期限をつける

手段の話も少しだけ。メールにそのまま添付すると、送った側と受け取った側の両方のメールボックスに、そのファイルが残り続ける。転送されればさらに増える。消したくなったとき、どこに何部あるのかを追えない形になっている。

使うなら、期限を設定できる共有リンクのほうがいい。有効期限を切っておけば、双方が忘れていても勝手に閉じます。ダウンロードされた先までは追えないので万能ではないけれど、少なくとも置きっぱなしは減る。パスワードは別の経路で送ってください。

最後にひとつ断っておきます。ここに書いたのは、あくまで運用の手当てだ。その取り扱いが法令上どう位置づけられるか、委託にあたるかどうか、契約書に何を書くべきかは事案によって変わる。当方は法律の判断をしないので、そこは弁護士など専門の方にご確認ください。

当方は元金融系のシステムエンジニアで、Excel・紙で回している1つの作業を、小さなツールにする仕事をココナラでしている。実データをお預かりしなくても、列の構成と値の形が分かればお見積りできるので、中身を架空の値に差し替えたファイルで構いません。「これは頼めるのだろうか」という段階でも構いませんので、ココナラのメッセージからご相談ください。
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