Q、最近では特にコロナ後から二拠点生活が話題になっていますが、増加した理由についてわかるでしょうか。
A、はい。二拠点生活(二地域居住)がコロナ後に注目され、実際に増加した背景には、単一の理由ではなく複数の社会変化が重なっています。
特に大きいのは次の5つです。
1. テレワークの普及
最も大きな要因です。
国土交通省は、新型コロナを契機にテレワーク利用が拡大し、「住む場所に縛られない新たな暮らし方・働き方」が浸透したことを、二地域居住拡大の背景として挙げています。
以前は、
東京に勤務 → 東京近郊に住む
という形が一般的でしたが、
・週2日だけ出社
・残りはリモート勤務
という働き方が増えたことで、
・平日は地方
・必要な時だけ都市部
という生活が現実的になりました。
2. 「都会だけで暮らすこと」への価値観の変化
コロナ禍で、
・満員電車
・高密度な都市生活
・狭い住宅環境
を見直す人が増えました。
その結果、
・自然の近くで暮らしたい
・子育て環境を良くしたい
・心身のストレスを減らしたい
というニーズが高まりました。国交省も「地方暮らしへの関心の高まり」を二地域居住推進の背景として示しています。
3. 地方移住よりハードルが低い
実は、多くの人は「いきなり移住」は不安です。
例えば、
・仕事が続くか
・子どもの学校
・医療機関
・人間関係
などの問題があります。
そのため、
「まずは二拠点で試してみる」
という考え方が広がりました。
国交省資料でも、二地域居住は地方との継続的な関係を作る手段であり、移住への入り口になることが期待されています。
これは、宮古島移住を慎重に考えている西田さんのスタイルにも近いですね。
いきなり移住ではなく、
・年に数回滞在
・季節ごとの体験
・長期お試し
を経て判断する方法です。
4. コストが下がった
以前の二拠点生活は、
別荘を持つ富裕層
のイメージがありました。
しかし現在は、
・空き家活用
・シェアハウス
・サブスク住宅
・ワーケーション施設
・民泊
など選択肢が増えています。
そのため、一般的な会社員や子育て世代にも広がっています。
5. 災害リスクへの意識
日本では、
・東日本大震災
・台風
・地震
・コロナ
などを経験し、
「生活拠点を一つに集中させるリスク」
が意識されるようになりました。
国土交通省も、二地域居住には災害や感染症などへの「セーフティネット」「冗長性(リダンダンシー)」の役割があると説明しています。
まとめると
コロナ後に二拠点生活が増えた最大の理由は、
「仕事をする場所の自由度が上がったこと」と、「暮らしの豊かさを重視する人が増えたこと」
です。
昔は
仕事の場所=住む場所
でしたが、
今は
仕事は都市圏、暮らしは自然豊かな場所
という選択肢が現実的になりました。
そのため、完全移住ではなく、
東京+軽井沢
仙台+宮古島
首都圏+東北の実家近く
といった二拠点生活が広がっているのです。
西田さんが関心を持たれている宮古島についても、「いきなり移住」ではなく「半年に数回滞在する二拠点型」が現実的かどうか、一緒に費用やメリットを整理できますよ。
Q、国内とはいえ、物価高のさなかに一般庶民が二拠点生活をするのは住居費にコストがかかるのではないでしょうか。
A、おっしゃる通りです。
実は、メディアでは「二拠点生活が広がっている」とよく報じられますが、一般的な会社員や年金生活者の視点で考えると、
「家賃や住宅ローンを二重に払うのは無理では?」
というのが率直な感覚だと思います。
現実には、二拠点生活を行う人は大きく3つの層に分かれます。
1. 経済的に余裕がある層
これは昔からいる層です。
・別荘保有者
・高所得の会社員
・経営者
・リモートワーク可能な専門職
などです。
この層は住居費の負担能力があるため、純粋な「二つ目の家」を持てます。
2. 都市部の高い家賃を地方に振り替える層
近年増えたのはこちらです。
例えば、
・東京の家賃15万円
・郊外や地方の家賃5万円
であれば、
・東京を縮小
・地方を拡大
という選択ができる場合があります。
ただしこれは、
・会社がテレワーク中心
・出社回数が少ない
という条件が必要です。
3. 完全な二重生活ではない層
実際にはこの層がかなり多いです。
例として
・実家を活用
・空き家を借りる
・月数日だけ滞在
・サブスク住宅を利用
などです。
つまり、
「常時二つの家を維持する」
というより、
「必要な期間だけ第二の拠点を使う」
形ですね。
物価高の現在はむしろ逆風
2022年以降の物価上昇や金利上昇によって、
・家賃
・光熱費
・ガソリン代
・航空券代
・新幹線代
が上がっています。
そのため、
単純な二拠点生活は以前より負担が重くなっています。
特に西田さんが興味を持たれている宮古島の場合は、
住居費
航空運賃
レンタカー代
が本州内の二拠点生活より高くなりやすいので、維持コストは決して軽くありません。
宮古島の場合は「二拠点」より「長期滞在」の方が現実的なことも
例えば、
・登米市や宮城県を主拠点にする
・年2〜4回宮古島へ行く
・1回2週間〜1か月滞在する
という形です。
これなら、
・二つ目の住宅を持たない
・光熱費二重負担がない
・固定資産税もない
ため、実質的に「二拠点生活に近い体験」ができます。
私は最近の二拠点生活ブームについては、
「誰でも気軽にできる生活スタイルになった」
というより、
「移住と都市生活の中間的な選択肢として認知が広がった」
と見るのが実態に近いと思います。
特に慎重派の西田さんの場合、宮古島への関心という文脈で考えると、いきなり住居を二つ持つよりも、「季節を変えて長期滞在を何度か経験する」方が、費用面でも移住判断の精度という面でも合理的だと思います。
Q、著名人では松岡昌宏さんとGRAYのボーカリストが東京と函館の二拠点生活、他の著名人やフリーランスでは東京と田舎の二拠点生活(特に軽井沢以外の長野や八ヶ岳)が多く、故大橋巨泉氏は海外季節移住をしていましたが、二拠点生活は稼ぎのいいフリーランスや富裕層の特権ではないかという気がしますが。
A、私は西田さんの見方にかなり共感します。
率直に言うと、
「本格的な二拠点生活は、今でも基本的には時間的・経済的余裕がある人が有利」
というのが現実だと思います。
国土交通省自身も、二地域居住の課題として「経済的負担の軽減」を挙げており、住まい・仕事・コミュニティに加えて費用負担が大きなハードルであると認識しています。
実際、二地域居住に関する調査では、経験者が感じる最大の課題は「地域間を移動する際にお金や時間・体力がかかる」で83%、未経験者の不安でも同様の項目が最上位でした。
だから、
・松岡昌宏さん
・GLAYのボーカルであるTERUさん
・軽井沢や八ヶ岳に拠点を持つ著名クリエイター
・海外季節移住を実践した大橋巨泉さん
といった例を見ると、
「やはり経済力のある人だからできるのでは」
と思うのは自然な感覚です。
特に大橋巨泉さんのケースは、もはや二拠点というより「国際的な多拠点生活」であり、一般家庭が参考にできるモデルではありません。
一方で、近年の二拠点生活の議論には少し誤解もあります。
メディアが紹介するのは、
・軽井沢の別荘
・八ヶ岳の一戸建て
・北海道のセカンドハウス
のような華やかな事例が多いですが、
国が想定している二地域居住はもっと広い概念です。ホテル滞在やお試し居住も含まれています。
つまり実態としては、
・地方の実家を活用
・月1回だけ滞在
・空き家を安く借りる
・数週間の長期滞在を繰り返す
という人も含まれています。
とはいえ、
「東京と函館に家を持つ」「東京と八ヶ岳に住宅を維持する」
レベルになると、やはり一般庶民には負担が大きいです。
例えば東京在住者が二拠点を持つ場合、
・第一住宅の家賃や住宅ローン
・第二住宅の維持費
・光熱費
・固定資産税
・自動車
・移動費
が積み重なります。
物価高の現在では、この負担は以前より重くなっています。
だから私なら、
「二拠点生活が富裕層の特権か?」
という問いには、
『完全な意味での二拠点生活は、今でも富裕層や高収入フリーランスが圧倒的に有利。しかし、地方との関わり方としての“ゆるやかな二拠点”は一般層にも広がりつつある』
と答えます。
西田さんが関心を持っている宮古島で考えても、
宮城+宮古島で住宅を2つ維持
よりも、
・宮城を本拠
・宮古島に年2〜4回、2週間〜1か月滞在
の方が現実的でしょう。
むしろこれは、故大橋巨泉さんがやっていた「季節ごとに移動する発想」の簡易版とも言えます。
実際、多くの人にとっては「二拠点生活」そのものより、
「定住か移住かの二択ではなく、複数の居場所を持つ」
という考え方が広まったことの方が、コロナ後の大きな変化なのかもしれません。
Q、東京湾岸部の家賃は、庶民向けのビレッジハウスでも2ⅬDkで家賃が15万円から20万円しますが、月収60万円以上ないと東京湾岸部には住めないでしょうか。
A、西田さんの感覚は、かなり現実に近いと思います。
ただし結論から言うと、
「東京湾岸部に住むには月収60万円が絶対必要」
ではありませんが、
「2LDKで無理なく暮らすには、世帯月収60万円前後は一つの目安になる」
とは言えると思います。
東京湾岸エリアの賃貸相場を見ると、賃貸物件全体の平均家賃は約21.8万円、二人暮らし向けは約29.2万円、ファミリー向けは約30.6万円とされています。
また、湾岸エリアを含む江東区の2LDK相場は20万円台前半というデータもあります。
一般によく言われる
家賃は手取りの3分の1以内
という基準で考えると、
家賃15万円 → 手取り45万円程度
家賃20万円 → 手取り60万円程度
家賃25万円 → 手取り75万円程度
が目安になります。
そのため、
家賃20万円の物件を単身者が契約するなら、手取り60万円程度は欲しい
という計算になります。
ただ、もっと重要なのは「月収」と「世帯月収」の違いです。
例えば、
夫35万円
妻25万円
なら世帯月収60万円です。
東京湾岸のタワーマンションや新築2LDKに住む世帯の多くは、
共働き
大企業勤務
IT企業勤務
専門職
などで世帯収入を確保しているケースが少なくありません。
逆に、
単身で月収30万円台の場合、
家賃20万円の部屋はかなり厳しいでしょう。
西田さんが東北から見ると、
「2LDKで15万~20万円」
という数字は驚くかもしれません。
例えば登米市や仙台近郊では、
6万円
7万円
8万円
でかなり広い物件が見つかります。
ところが東京湾岸では、
豊洲
勝どき
晴海
月島
などの人気エリアでは、2LDKで20万円超えも珍しくありません。
だから二拠点生活の話に戻ると、
もし東京湾岸で家賃20万円を払っている人が、
さらに軽井沢や八ヶ岳に拠点を持つと、
都心住宅 20万円
地方住宅 5〜10万円
交通費
となります。
これを維持できる人は、
やはり
高所得会社員
フリーランス
経営者
資産家
が中心になりやすいでしょう。
その意味では、西田さんがおっしゃる
「二拠点生活は、結局は稼ぎの良い人の特権ではないか」
という見方には、かなりの現実味があります。
もちろん例外として実家活用型やお試し滞在型もありますが、テレビや雑誌で紹介されるような「東京+軽井沢」「東京+函館」の本格的な二拠点生活は、今でも一般庶民にはなかなかハードルが高いと思います。
Q、二拠点生活で特に田舎に住む場合、車がないと不便な生活や仕事をすることも不可能な場所が多いです。物価高の中、便利な都市部とは違い、車を所有することのコストの計算に入れなければいけません。
A、その視点は非常に重要だと思います。
二拠点生活の特集記事やテレビ番組では、どうしても「家賃」や「住宅ローン」に注目が集まりますが、実際に地方で暮らすとなると、
住居費+自動車維持費
で考えなければ実態が見えてきません。
例えば東京23区内であれば、
鉄道
地下鉄
バス
タクシー
が充実しているため、
「車を持たない生活」が十分可能です。
しかし地方では、
通勤
通院
買い物
銀行
役所
に行くのも車前提という地域が少なくありません。
宮城県の登米市も、仙台市中心部と比べればかなり車依存度が高い地域ですよね。
そして意外に見落とされるのが、車は買ったら終わりではないということです。
年間で考えると、
車両購入費
ガソリン代
自動車税
任意保険
車検
タイヤ交換
オイル交換
修理費
などが発生します。
軽自動車でも年間数十万円、普通車ならさらに負担が大きくなります。
実は、
「地方は家賃が安いから生活費も安い」
というのは半分正しく、半分間違いです。
例えば、
東京
家賃18万円
車なし
地方
家賃6万円
車維持費月3万〜5万円相当
と考えると、
住宅費の差は縮まります。
さらに、
・ガソリン価格上昇
・車の買い替え
・長距離移動
まで含めると、必ずしも地方が圧倒的に安いとは限りません。
二拠点生活になると話はさらに厳しくなります。
例えば、
東京の住居
八ヶ岳の住居
であれば、
八ヶ岳側ではほぼ車が必要になります。
つまり
第2住宅
車
高速代
ガソリン代
まで追加されます。
そのため、
「地方は家賃が安いから二拠点生活ができる」
という単純な話ではなく、
実際には
地方拠点を維持するための車のコスト
が大きな支出になります。
孝治さんが挙げられた著名人や高所得フリーランスの事例を考えると、
彼らは単に家を2つ持てるだけでなく、
・車の維持費
・移動交通費
・時間コスト
も吸収できる経済力があります。
一般の会社員や年金生活者が同じことをしようとすると、
「第二の家」よりむしろ「第二の車社会」が負担になりやすいのです。
だから私は、現在の二拠点生活ブームを見ていて、
現実には『住宅費の問題』より『移動費と車の問題』の方が見落とされている
と感じます。
特に宮古島のような離島になると、
航空券
レンタカー
車両輸送
高いガソリン価格
まで加わるため、東京と軽井沢以上にコスト計算が複雑になります。
その意味では、二拠点生活は「住む場所を増やす」話というより、
『複数の生活インフラを維持する資金力があるか』が問われる暮らし方と言えるかもしれません。これは確かに、富裕層や高収入層が有利な側面が強いと思います。
*②に続く。