「あの人みたいに、気持ちよく歌いたい」
「あんなふうに、思いきり声を出したい」
「こんなに練習しているのに、なかなか変わらない」
一体、どうすればいいのだろう。
憧れている人の歌い方をまねしたり、同じような練習を繰り返したり。
頑張っているのに思うような変化がなく、また別の方法を探す。
そんなループに陥っていませんか?
けれど、声は一人ひとり違います。
身体のつくりも、これまで身につけてきた声の出し方も、声が出しにくくなっている原因も同じではありません。
だから、「自分の声の、どこを変えればいいのだろう」と考える前に、知っておきたいことがあります。
変えるのは、持って生まれた声そのものではありません。
声を出しにくくしている無意識のクセや、これまで当たり前にしてきた身体の使い方です。
そのためには、大きく分けて3つのステップがあります。
1.自分の声と、出しにくくなっている原因を知る
私たちの声は、誰もが同じ楽器から生まれているわけではありません。
骨格や顎の大きさ、舌の長さや厚み、首の長さ、声帯の大きさなど、生まれ持った身体のつくりは一人ひとり違います。
さらに、姿勢や呼吸の仕方、話し方、これまで身につけてきた声の出し方にも、それぞれのクセがあります。
つまり、同じ練習をしても、同じような声が出るとは限りません。
声が出しにくいと感じたとき、多くの方は、
「もっと息を吸おう」
「もっとお腹に力を入れよう」
と、今まで以上に頑張ろうとします。
けれど、その頑張りが、かえって声を出しにくくしていることもあります。
顎に力が入っているのか。
舌が動きにくくなっているのか。
息を一気に吐きすぎているのか。
原因は人によって違います。
大切なのは、自分がどのような楽器を持っていて、今、その動きを何が邪魔しているのかを見つけること。
身体のつくりに優劣があるのではなく、それぞれに合う使い方があります。
まずは自分の声を知ることが、変化の入口になります。
2.無意識にしているクセを自覚する
声を出しにくくしている原因が見つかっても、トレーナーから指摘されただけでは、自分で声の出し方を変えていくことはできません。
大切なのは、実際に声を出しながら、
「今、顎に力が入った」
「声を出す直前に、息を止めていた」
「首に力を入れた瞬間、声が出しにくくなった」
と、自分の身体で起きていることを認識することです。
長いあいだ繰り返してきた声の出し方は、本人にとって「いつもの感覚」になっています。
そのため、力が入っていても、息を押し出していても、自分ではクセだと気づかないことがあります。
ただ「力が入っていますよ」と言われるだけではなく、
「これが、顎に力が入っている感覚なのか」
「これが、息を押し出している状態なのか」
と、自分の体感と結びつけて認識する。
そこまでできて、初めて自分のクセとして自覚できるようになります。
クセを自覚できれば、同じ状態になったときに、自分で気づき、修正するための手がかりが生まれます。
3.今までよりラクに出せる感覚を体験する
声を変えていくためには、説明を聞いて頭で理解するだけでは足りません。
実際に、
「さっきよりラクに声が出た」
「頑張っていないのに、声が前に届いた」
「いつもより息が続いた」
という感覚を、身体で体験することが大切です。
今までとは違う感覚を体験すると、自分のなかに新しい基準ができます。
それまでは、
「声を出すには、これくらい頑張らなければならない」
と思っていたものが、
「こんなに力を入れなくてもいいのかもしれない」
と変わり始めます。
この小さな体感が、その後の練習を変えていきます。
◇この3つのステップを繰り返しながら◇
ボイストレーニングでは、この3つのステップで、すべての問題に一度にアプローチするわけではありません。
声を出しにくくしている原因をひとつ見つける。
自分が無意識にしていることを自覚する。
そして、余計な力や動きを加えなくても声が出る感覚を、少しずつ身体に定着させていく。
ひとつ変化すると、次に取り組むことが見えてきます。
そこでまた、原因を見つけ、自分のクセを自覚し、今までよりラクに出せる感覚を身につけていく。
ボイストレーニングは、この3つのステップを繰り返しながら、自分の身体と声に合った出し方を育てていくものです。
「自分の声、なにを変えればいい?」
その答えは、一人ひとり違います。
誰かの声に近づくために、持って生まれた声そのものを変えるのではありません。
自分の声を出しにくくしている無意識のクセや、これまで当たり前にしてきた身体の使い方。
自分は何を変えればよいのかを、この3つのステップを繰り返しながら見つけていきます。
◇3回で仕上げるのではなく、変化の第一歩を◇
この考え方をもとに、今回「3回完結レッスン」をご用意しました。
3回ですべてを仕上げるレッスンではありません。
長い時間をかけて身についたクセを変えるには、練習と時間が必要です。
けれど、
♪自分の声を出しにくくしている原因を知る。
♪無意識にしているクセを自覚する。
♪今までよりラクに声を出せる感覚を体験する。
この3つのステップを実際にたどることで、声の変化は始まります。
何をどう練習すればいいのかわからない。
頑張っているのに、なかなか変化を感じられない。
そんな方が、自分の声を変えていくための最初の道筋を見つける。
その第一歩となる3回です。