今の仕事が大好きなわけではない。
だからといって、ほかに人生をかけてやりたい仕事があるわけでもない。
「好きなことを仕事にしよう」
「本当にやりたいことを見つけよう」
「自分だけの天職を見つけよう」
そんな言葉を目にするたび、
「やりたいことがない私は、何か足りないのだろうか」
と焦ってしまうこともあるかもしれません。
けれど私は、やりたい仕事がないからといって、その人に何もないとは思いません。
もしかすると、探すものを少し変えてみてもいいのではないでしょうか。
■「やりたい仕事がない=自分に何もない」ではありません
私たちは仕事について考えるとき、つい「何になりたいか」「何をしたいか」という職業名を探そうとします。
でも、人が大切にしているものは、それだけではありません。
仕事が終わったあとに、自分の時間をきちんと持ちたい。
安心できる収入がほしい。
大勢の人に囲まれるより、静かな環境で働きたい。
家族との時間を大切にしたい。
誰かと競争するより、自分のペースで仕事をしたい。
こうした希望も、立派な「人生の方向性」です。
やりたい職業が思いつかなくても、自分がどんな毎日を送りたいのかまで分からないとは限りません。
■「好きなことを仕事にする」だけが幸せではない
もちろん、好きなことを仕事にして、生き生きと働いている人もいます。
それはとても素敵なことだと思います。
ただ、それがすべての人にとっての正解とは限りません。
仕事より趣味を大切にしたい人もいます。
仕事では安定した収入を得て、休日に好きなことを楽しみたい人もいます。
仕事内容そのものより、誰と働くか、何時に帰れるか、どのくらい自由があるかを重視する人もいます。
仕事が人生の中心になる人もいれば、人生を支える一部分であれば十分、という人もいます。
どちらが上で、どちらが下ということではありません。
大切なのは、「世間ではどう働くことが理想とされているか」ではなく、「自分はどんな暮らしをしたいのか」なのだと思います。
■「何をしたいか」が分からないなら、「どう働きたいか」を考えてみる
やりたい仕事が思いつかないときは、職業名を探すことをいったんやめてみてもいいかもしれません。
代わりに、
「私は、どんなふうに働くと楽なのだろう」
と考えてみます。
一人で集中する時間が多いほうがいいのか。
人と深く関わる仕事のほうが満足できるのか。
自分で考えて動けるほうが楽なのか。
ある程度やることが決まっているほうが安心なのか。
変化が多い環境が好きなのか。
同じことを丁寧に積み重ねるほうが得意なのか。
高い収入と自由な時間なら、今の自分はどちらを大切にしたいのか。
こんなふうに考えていくと、「やりたい仕事」は分からなくても、「合わない働き方」や「心地よく働けそうな条件」は少しずつ見えてくることがあります。
それも、十分な自己理解です。
■好きな仕事・向いている仕事・稼げる仕事・続けやすい仕事は、同じではありません
ここも、仕事選びで混乱しやすいところです。
好きだからといって、必ずしも得意とは限りません。
得意だからといって、高い収入につながるとも限りません。
そして、収入が高くても、毎日ひどく消耗する仕事では長く続けるのが難しい場合もあります。
反対に、
「ものすごく好きというわけではないけれど、それほど無理をせずにできる」
「得意なので、ほかの仕事より疲れにくい」
「生活とのバランスを取りやすい」
そんな仕事が、その人にとって長く付き合える仕事になることもあります。
向いている仕事とは、必ずしも毎朝ワクワクしながら出勤できる仕事ではないのです。
■仕事にやりがいを感じなくても、それだけで人生が足りないわけではない
「仕事には、やりがいが必要だ」
そんな考え方もあります。
でも私は、仕事に何を求めるのかは、人それぞれでいいと思っています。
仕事に自己実現を求める人もいれば、生活の安定を求める人もいます。
自由な時間を守るために働く人もいますし、家族との生活を支えることが働く理由になる人もいます。
大切なのは、無理に「仕事を好きにならなければ」と思うことではありません。
むしろ、
「自分は仕事から何を得たいのか」
「仕事以外の時間で、何を大切にしたいのか」
を知っておくことなのだと思います。
■自分に合う働き方を知る、ということ
ここまで考えてみても、自分のことは案外、自分では分からないものです。
得意なことほど、「こんなの誰でもできる」と思ってしまいますし、長く同じ環境にいれば、その働き方が自分に合っているのかどうかも分かりにくくなります。
私は、そんなときに自分を別の角度から眺める方法の一つとして、占星術を使っています。
インド占星術では、「あなたの天職はこの職業です」と一つの仕事を決めつけるのではなく、どんな環境で力を出しやすいのか、人との関わりをどのくらい求めるのか、安定と変化のどちらを好みやすいのか、どんな役割を自然に担いやすいのか、といったことを考える材料にすることができます。
マルチな才能がある方が、職業を1つに絞ってしまうと、もったいない!
あなたの天職を活かせる職場は1社ではないのです。
環境を選び間違えると、ブラック企業で自分を無理させてしまうことにもなりかねないのです。
また、人生の時期によって、仕事に求めるものが変わることもあります。
若い頃には収入や経験を重視していた人が、40代、50代になって「これからは時間を大切にしたい」と思うこともあります。
それは迷いではなく、自分の人生に必要なものが変わってきたということかもしれません。
占いは、人生の答えを決めてもらうためのものではなく、
「私は本当は、何を大切にして働きたいのだろう」
と考える材料として使うこともできます。
■やりたい仕事がなくても、人生の方向は見つけられる
もし今、やりたい仕事が見つからず焦っているなら、無理に職業名を探さなくても大丈夫です。
まずは、
「どんなふうに働きたいか」
「どんな一日を送りたいか」
「仕事のあとに、どんな自分でいたいか」
そんなところから考えてみてもいいのではないでしょうか。
その方の性質や適性だけでなく、現実の生活、仕事に求めるもの、これからどんな人生を送りたいのかを一緒に整理しながら、選択肢を考えていきます。
自分の仕事の適性やこれからの方向性を、一度ゆっくり整理してみたい。
そんなときには、占星術も、自分自身を知る一つのきっかけになるかもしれません。
やりたい仕事がまだ見つかっていなくても、あなたがどんなふうに生きたいかまで、なくなっているわけではありません。
やりたい仕事がないことと、人生の方向がないことは、同じではないのです。