仕事を辞めたいほど嫌なわけではない。
かといって、この仕事を10年続けたいとも思えない。
恋愛だって、何もかも絶望的というわけではない。
生活できないほどお金に困っているわけでもない。
傍から見れば、それなりに普通に暮らしている。
それなのに、ときどき思うのです。
「私、このままでいいのかな」
友人が結婚した。
同級生が家を買った。
元同僚が転職して、楽しそうに働いている。
少し年下だった後輩が昇進した。
SNSを開けば、誰かが転職したり、結婚したり、起業したり、新しいことを始めたりしている。
みんな、それぞれの人生を前へ進めているように見える。
その一方で、自分だけが同じ場所に立っているような気がする。
何かを変えたい。
でも、何を変えればいいのか分からない。
仕事なのか。
住む場所なのか。
付き合う人なのか。
恋愛なのか。
それとも、自分自身なのか。
考えれば考えるほど分からなくなって、ふと、
「もしかして私、どこかで人生を間違えたのでは」
そんなことまで考えてしまう。
少し強い言葉を使えば、
「正直、人生が詰んでいる」
そんな気持ちになることが、あるかもしれません。
でも、こういう時。
本当に、人生そのものが詰んでいるのでしょうか。
私は、ときどき思います。
人生がどうにもならなくなっているというよりも、
仕事、恋愛、お金、年齢、将来、周囲との比較、自分への期待。
いくつもの問題が頭の中で絡まって、
「全部ダメ」
に見えていることがあるのではないか、と。
今日は、そんな状態を少しずつほどいてみたいと思います。
なぜ今、こんなに苦しいのか。
まずはそこを、一緒に整理してみたいのです。
■何かが最悪なわけではない。でも、全部がうまくいっていない気がする
人生に大きな問題が起きたときは、意外と悩みの正体が分かりやすいものです。
会社を辞めたい。
失恋した。
お金に困っている。
人間関係がつらい。
原因が一つなら、「ではどうするか」を考えることもできます。
ところが、20代後半から30代・40代くらいになると、もっと説明しにくい苦しさが出てくることがあります。
仕事は、ものすごく嫌なわけではない。
でも、やりがいがあるとも思えない。
恋愛も完全に諦めたわけではない。
でも、このままでいいのか少し不安。
生活はできている。
でも、将来のことを考えるとお金も心配。
今すぐ困っていることはないのに、
「この生活をあと10年続けたいか」
と聞かれると、答えに詰まる。
一つ一つを見ると、そこまで深刻ではない。
なのに、全部を合わせると、
「私の人生、何か違う気がする」
となってしまう。
この「何となく全部違う」という感覚は、案外やっかいです。
何を直せばいいのか分からないからです。
■20代後半から30代前半は、人生の「答え合わせ」が始まりやすい
学生の頃は、未来にはたくさんの可能性がありました。
どんな仕事に就くかも分からない。
どこに住むかも分からない。
誰と出会うかも分からない。
結婚するかもしれないし、しないかもしれない。
これから何者になるのかも、まだ決まっていない。
言ってしまえば、人生の大部分が「これから」でした。
でも、社会人になって何年か経つと、少しずつ状況が変わってきます。
今の仕事。
これまで積み上げてきた経験。
収入。
住んでいる場所。
人間関係。
恋愛。
結婚。
親のこと。
自分の体力や年齢。
そういうものが、少しずつ「現実」になっていきます。
すると、
「私はどんな人生を送りたいんだろう」
という問いが、学生時代とは違う重さを持って戻ってきます。
20歳の頃なら、
「違ったらまた変えればいい」
と思えたことも、
30歳が近づいてくると、
「今から変えて大丈夫なのかな」
に変わる。
転職するにも、
結婚を考えるにも、
新しいことを始めるにも、
なんとなく「時間」というものを意識し始めます。
選択肢が本当に減っているかどうかとは別に、
「もう好きなだけ遠回りしている場合ではないのでは」
という感覚が生まれやすくなるのです。
■この感覚には「クォーターライフ・クライシス」という名前がある
こうした20代後半から30代前半頃の、
「このままでいいのだろうか」
「自分は何をしたいのだろう」
「周りは進んでいるのに、自分だけ止まっている気がする」
という不安や焦りは、
「クォーターライフ・クライシス」
と呼ばれることがあります。
人生の4分の1ほどを過ぎた頃に訪れやすい、人生や仕事、将来への迷いを表した言葉です。
この言葉を知ったからといって、悩みが消えるわけではありません。
でも、
「こんなことで悩んでいるのは自分だけなのでは」
と思っていた人にとっては、少し意味があります。
なぜなら、
あなた一人だけが人生の進め方を分からなくなっているわけではないからです。
むしろ、この年代だからこそ考え始めることがあります。
それまで何となく選んできたものを、
「私は本当にこれでいいのだろうか」
と見直したくなる。
これは珍しいことではありません。
ただし、大切なのは、
「クォーターライフ・クライシスだから仕方がない」
で終わらせることでもありません。
名前が分かったその次に、
では、自分はいったい何に苦しくなっているのか。
そこを見ていく必要があります。
■苦しいのは、悩みが一つではないから
「人生が詰んでいる」と感じるとき。
実際には、人生そのものではなく、
複数の問題が同時に頭の中に置かれていることがあります。
たとえば、
今の仕事にそこまで満足していない。
友人が結婚して少し焦った。
給料もこのままでいいのか気になる。
親も年を取ってきた。
自分ももう若手ではない。
やりたいことも特にない。
でも、何も変えないまま年齢だけ重ねるのも怖い。
こうしたことを一度に考えると、
頭の中では、
「仕事」
「結婚」
「お金」
「年齢」
「将来」
という別々の問題ではなく、
「私の人生はうまくいっていない」
という一つの巨大な問題に見えてきます。
これが苦しいのです。
巨大な問題には、巨大な答えが必要な気がするからです。
転職したほうがいいのか。
結婚したほうがいいのか。
引っ越したほうがいいのか。
資格を取ったほうがいいのか。
副業を始めるべきなのか。
思い切って人生を変えなければいけないのか。
でも、本当は、
そんな大きな決断をする前にやることがあります。
■人生を変える前に、「何が苦しいのか」を分けてみる
私は、人生に行き詰まったときほど、
すぐに答えを出そうとしなくていいと思っています。
まず、
問題を分ける。
これだけでも、少し見え方が変わります。
たとえば、
「仕事がつらい」
と思っているなら、
仕事そのものが嫌なのか。
職場の人間関係が嫌なのか。
給与が不満なのか。
評価されないことが苦しいのか。
毎日同じことを続けることに意味を感じられないのか。
それぞれ、話はまったく違います。
「結婚しなければ」と焦っているなら、
本当に結婚したいのか。
一人でいる未来が怖いのか。
周りが結婚しているから不安なのか。
子どもを持つことを考えて時間を意識しているのか。
親を安心させたいのか。
これも、全部違います。
そして、
「人生を変えたい」
と思っているときも同じです。
本当に人生を大きく変えたいのか。
それとも、
今の生活の中に一つだけ、どうしても合っていないものがあるのか。
ここを分けないまま人生を変えようとすると、
必要以上に大きな決断をしてしまうことがあります。
ですから私は、
「何をすれば正解なのか」
より先に、
「何が今、一番苦しいのか」
を考えることが大事だと思っています。
さらにもう一つ。
意外と大切なのが、
「もう望んでいないもの」を知ることです。
昔は出世したいと思っていた。
でも今は、そこまで思わない。
都会でバリバリ働くことに憧れていた。
でも今は、穏やかな生活のほうに心が動く。
絶対に結婚したいと思っていた。
でも、本当に欲しかったのは「結婚」という形ではなく、安心できる関係だった。
人の価値観は変わります。
20歳の自分が決めた「理想の人生」を、
30歳の自分が守り続けなければならない理由はありません。
■「やりたいことがない」からといって、何もないわけではない
人生に迷っている方から、
「やりたいことがありません」
という話を聞くことがあります。
この言葉にも、少し注意が必要です。
なぜなら私たちは、
「やりたいこと」
と聞くと、すぐに職業名を探してしまうからです。
起業したい。
デザイナーになりたい。
海外で働きたい。
資格を取りたい。
そういう分かりやすい目標が見つからないと、
「自分にはやりたいことがない」
と思ってしまう。
でも、
何をしたいか分からなくても、
「これは嫌だ」
は分かることがあります。
人と競い続ける環境は疲れる。
毎日同じ場所にいるのは苦しい。
逆に、変化が多すぎる職場は落ち着かない。
人から感謝される仕事にはやりがいを感じる。
一人で集中する時間が必要。
収入よりも自由な時間が欲しい。
あるいは、自由より安定が大事。
そういう感覚も、立派な手がかりです。
人生は、
「何者になりたいか」
だけで決めるものではありません。
どんな毎日なら、それほど無理をせず生きられるのか。
そこから考えてもいいのです。
■自分のことほど、自分では見えなくなることがある
ここまで読んで、
「確かに、一度整理してみようかな」
と思った方もいるかもしれません。
ノートに書き出してみるのもいいと思います。
信頼できる人に話してみてもいい。
仕事のことならキャリア相談。
心の問題なら、必要に応じて専門家に相談する方法もあります。
自分以外の視点を借りる方法は、いくつもあります。
そして私は、
その一つとして「占い」も使えると思っています。
占いというと、
「いつ結婚しますか」
「転職したら成功しますか」
「未来はどうなりますか」
というように、
未来を当ててもらうもの、というイメージを持っている方も多いかもしれません。
もちろん、未来について見ることもできます。
でも私は、それだけが占いの使い方だとは考えていません。
むしろ、
自分で自分のことを考えすぎて、何が本音なのか分からなくなったとき。
少し違う角度から、自分の人生を眺め直すために使う。
そんな使い方もあると思っています。
■私は、占いを「人生の答え」ではなく、「別の角度から眺める方法」だと思っています
私は鑑定で、
「あなたは絶対にこの仕事をするべきです」
「この人とは別れたほうがいいです」
「今年中に人生を変えなければいけません」
というように、相談者さんの人生を一方的に決めることはしたくありません。
占いだけで人生を決めてほしいとも思っていません。
人生を生きるのは、その方自身だからです。
その一方で、
自分一人では見えにくくなっているものを整理する材料として、占いが役に立つことはあります。
私が鑑定で使っているインド占星術でも、
「未来に何が起こるのか」
だけを見るわけではありません。
どのような環境にいると力を発揮しやすいのか。
仕事では何を求めやすいのか。
どんなことにストレスを感じやすいのか。
人との関係で何を大切にしやすいのか。
人生の中で、変化や見直しが起きやすい時期はいつなのか。
今は積極的に動いていく時期なのか。
それとも、急いで答えを出さず、足元を整える時期なのか。
そういったことも見ていきます。
たとえば、
「今の仕事が合っていない気がする」
という悩み一つを取っても、
すぐに
「では転職ですね」
とは限りません。
仕事そのものが合っていないのか。
仕事内容は合っているけれど、環境が合っていないのか。
組織よりも個人で動くほうが力を出しやすいのか。
反対に、自由すぎる環境では不安定になりやすいのか。
同じ「仕事がつらい」でも、整理していくと中身は違います。
その違いを見るために、占いを使う。
私は、そんな鑑定をしています。
■今は「動く時期」なのか、「整える時期」なのか
人生に迷うと、
早く決めなければ。
早く変わらなければ。
このままでは手遅れになる。
そんな焦りが出てきます。
でも、いつでも大きく動けばいいわけではありません。
転職したほうがいい時期もあれば、
まず今の仕事を続けながら準備したほうがいい時期もある。
新しいことを始めるときもあれば、
一度立ち止まって、
「私は何を望んでいるんだろう」
と考える時間が必要なときもあります。
止まっているように見える時間が、全部無駄とは限りません。
ただし私は、
「今は停滞期だから何もしなくて大丈夫です」
と簡単に片づけるのも違うと思っています。
大切なのは、
今の自分にとって、
何を変える必要があって、
何はまだ変えなくてよくて、
何をもう少し考える必要があるのか。
そこを分けることです。
■人生そのものが詰んでいるのではなく、少し絡まっているだけかもしれない
「正直、人生が詰んでいる」
そう思う夜はあると思います。
周りがみんな先へ進んでいるように見える日もある。
学生時代に思い描いていた自分と、
今の自分を比べて、
「こんなはずではなかった」
と思うこともあるでしょう。
でも、
人生全部を「成功」「失敗」の二つに分けなくてもいいのではないでしょうか。
今の仕事がしっくりこないことと、
あなたの人生全体が失敗していることは、同じではありません。
今、結婚していないことと、
人生に遅れていることも、同じではありません。
やりたいことが分からないことと、
何も持っていないことも、同じではありません。
いろいろな問題が頭の中で絡まって、
人生全部がダメに見えているなら、
まず、その糸を一本ずつ分けてみる。
私は、その作業だけでも意味があると思っています。
人生を変えるのは、そのあとでも遅くありません。
■「私の場合はどうなんだろう」と思った方へ
ここまで読んで、
一般的な話としては分かった。
でも、
「では、私の場合はどうなんだろう」
という気持ちが残った方もいるかもしれません。
私はインド占星術を使いながら、
その方がもともと持っている性質や、
仕事・人間関係で大切にしやすいこと、
今どのような人生の流れの中にいるのかを整理する鑑定をしています。
未来を決めつけるためではありません。
「これが正解です」と、人生の答えを渡すためでもありません。
むしろ、
今まで自分一人で考えてきた人生を、
一度別の角度から眺めてみる。
そして、
これから何を選ぶのかを考える材料を増やす。
そんな時間にできればと思っています。
もし今、
転職するべきなのか。
このまま今の生活を続けるのか。
何か新しいことを始めたほうがいいのか。
そもそも自分は何を望んでいるのか。
考え過ぎて分からなくなっているなら、
一度、自分の人生を整理してみてもいいかもしれません。
大きな答えを出す必要はありません。
「私は何に困っているんだろう」
そこが少し分かるだけでも、
次に考えることは変わります。
人生が詰んでいるのではなく、
今はただ、
少しだけ道が見えにくくなっている。
そんな時に、
自分のことをもう一度知るところから始めてみる。
それも、これからの人生を選び直す一つの方法なのだと思います。