「どっちが正解ですか」 「どっちの方が、いいと思いますか」
多くの人は、キャリア選択に「正解」を求めていると感じている。
しかし、重要なキャリア選択ほど、正解は存在しないと私は考えている。
「良し悪し」でキャリアを選ぼうとする限り、一生、迷い続ける。 なぜなら、そこに正解は存在しないからだ。今日はこのことについて私なりの考えを話してみたいと思う。
そもそも「良し悪しで選べる選択」は、悩まない
まず、当たり前の事実から確認したい。
人が本当に悩む選択には、ある共通点がある。それは、どちらも良さそうに見える、ということだ。
考えてみてほしい。「給料が上がり、やりがいもあり、人間関係も良い会社」と「給料が下がり、つまらなく、人間関係も最悪な会社」。この二択で悩む人はいない。前者を選べばいい。良し悪しがはっきりしているなら、それは選択ですらない。ただの答え合わせだ。
本当に悩むのは、こういうときだ。
A社は安定しているが、B社は成長できる
今の仕事は得意だが、あの仕事はやってみたい
残れば安泰だが、飛び出せば自由がある
どちらにも良さがある。そして、その良さを比べる共通のモノサシが、存在しない。安定と成長は、同じ物差しで測れない。得意と憧れも、比較できない。だから悩む。
つまり、あなたが本気で悩んでいるという事実こそが、「これは良し悪しで決まる問題ではない」という証拠なのだ。
「良し悪し」で選ぶと、なぜ迷い続けるのか
にもかかわらず、多くの人は「良し悪し」で決めようとする。そして、迷宮に入る。理由は3つある。
理由1:正解がないものに、正解を求めているから
存在しない答えを探しているのだから、見つかるはずがない。どれだけ情報を集めても、比較表を作っても、決着はつかない。むしろ、調べるほど「どちらにも良さがある」ことが分かり、余計に決められなくなる。
理由2:他人のモノサシを、借りてきてしまうから
「良し悪し」で決めようとすると、外に基準を求める。年収ランキング、企業の評判、周りの意見。だが、それは他人にとっての良し悪しであって、あなたのものではない。他人のモノサシで選んだキャリアは、他人の人生になる。
理由3:決めた後も、正解だったか確認できないから
良し悪しで選んだつもりでも、正解が存在しない以上、「これで正しかった」と確認する術がない。だから、選んだ後もずっと「あっちが正解だったのでは」と揺れ続ける。選んだのに、決まらない。
だから、「好き嫌い」で選ぶしかない
では、どうすればいいのか。答えは、いたってシンプルだと思う。
外的な基準がないなら、自分の内側にある基準で選ぶ。それが「好き嫌い」である。
良い選択肢と良い選択肢の間で、優劣がつけられないとき、最後に頼れるのは、「どっちが好きか」という、あなただけの感覚しかない。
これは、いい加減な決め方ではない。むしろ逆だ。正解がない問題において、「好き嫌い」は、最も信頼できる、そして最もブレない判断軸になる。なぜなら、年収や評判は状況で変わるが、「自分が何を好きか」は、あなたの芯にあるものだからだ。
良いことと悪いことのどちらかを選ぶのは、意思決定ではない。本当の意思決定とは、良いことと良いことの間で、外的な基準に縛られず、自分の基準で選ぶことだ。あなたの人生の意思決定を、あなたの「好き」で下す。 これ以上、正当な選び方はない。
「好き嫌い」で選ぶ、3つの実践的メリット
「好き嫌いで選ぶなんて、無責任では?」と思うかもしれない。僕は逆の立場で、好き嫌いでキャリアは選んだ方が良いと思う。理由を挙げる。
1. 決断が速くなり、迷いが消える
外に正解を探すのをやめ、「自分はどっちが好きか」だけを問えば、答えは意外とすぐ出る。しかも、自分の基準で決めたことには、後悔が残りにくい。「好きな方を選んだ」という事実は、結果がどうであれ、揺るがない。
2. 選んだ後、心が折れにくい
好きで選んだ道は、続けるのが苦にならない。試し、改善し、学び続ける。このループが、指示されなくても回る。良し悪しで選んだ道は、うまくいかないとすぐ心が折れる。好きで選んだ道は、うまくいかなくても粘れる。この差が、長期的な成果を分ける。
3. その人固有の強みになる
好きだからこだわる。こだわるから質が上がる。質が上がるから、他人には真似できない領域ができる。「好き」を軸に選んだキャリアは、余人をもって変えがたい強みへと育っていく。年収で選んだキャリアは、より高い年収を提示されれば揺らぐ。好きで選んだキャリアは、揺らがない。
よくある問いに対する私の考え
とはいえ、以下のような問いも生まれると思うので、私なりの見解を書いておきたい。
「好きなことでは、食べていけない」
これは、好き"だけ"で選んだ場合の話だ。好きを軸にしつつ、それが求められる場所(Must)と、できること(Can)を掛け合わせれば、食べていけると考える。これは順番の問題だ。まず好きを軸に据え、そこに市場性と能力を接続する。好きを起点にするな、ではなく、好きを起点に"設計"しよう、ということだ。
「自分の好きが、分からない」
これが本当の問題であることが多い。だが、好きは大げさな情熱として現れるとは限らない。「時間を忘れる」「苦にならない」「他人が嫌がっても平気」この地味な感覚の中に隠れていると思う。これは自分のこれまでの過去の記憶や経験を振り返るなり、第三者の意見を聞くことで、自ずと整理はできてくるものだと思う。
もし興味があれば、こちらのセッションを試してみてほしい。
「好きで選んで、失敗したらどうする」
残念ながら、良し悪しで選んでも、失敗はする。正解がないのだから、どう選んでも「失敗のリスク」はゼロにならない。でも、そこに後悔はない。自分の場合、同じ失敗リスクを負うなら、他人のモノサシで選択したことを後悔するより、自分の好きで選択して失敗しても、自分の選択に後悔がない人生を送りたい。
今日からできる、納得できるキャリアの選び方
キャリアの岐路に立ったとき、ぜひ以下のキャリア選び方を試してみてほしい。
これまでの選び方:「どっちが正解か?」「どっちが良いか?」
↓
これからの選び方:「どっちが好きか?」「どっちに、心が動くか?」
心の動く方を選択し、行動し続けた先に、きっと誰の意見にも左右されず、あなた自身が一番納得できるキャリアを歩んでいけるはずです。
まとめ
キャリアの重要な選択に、正解はない。「どっちの道が正解か」を問い続ける限り、あなたは他人のモノサシに振り回され、決めた後も迷い続けるでしょう。
問うべきは、「どっちが好きか」どうか。外的な基準に物事の判断軸を委ねるのではなく、自分の内側の基準で選ぶ。好きで選んだ道を歩んでいく。これこそが、ご自身が納得できるキャリアの入り口だと思う。
良し悪しで、キャリアを選ぶな。好き嫌いで、選べ。
そのハンドルは、他の誰でもなく、あなたの「好き」が握っている。
Drive Your Career.(自分のキャリアのハンドルを握れ)