タイトルがなぞなぞみたいになってしまいました。
今回は、歌ってみたのコラボ制作について、少しお話ししてみようと思います。
皆さまは、コラボ相手から送付された歌唱ガイドに違和感を覚えたことはありますか?
例えば、デュエット曲のハモリパート。
「このフレーズを歌唱ガイド通りに歌ってください」と音源を渡されたものの、原曲と音程が違う。
そんな時、皆さんならどうしますか?
ここからは、実際にあった歌ってみたコラボでの出来事をお話していきます。
以前、スタッフ(絶対音感持ち)が、とある歌ってみたのデュエット曲に参加をしたときの話です。
その企画では、コラボ相手の方が色々と手配をしてくださり、ハモリについても歌唱用のガイド音源が用意されておりました。
ところが、そちら音源を確認したスタッフが、『原曲と異なっているフレーズや、実際には歌唱されているがガイドにはないフレーズがある』ことに気が付きました。
そこで、親切心から
「ここの音程が原曲と違うようなのですが、大丈夫でしょうか?」
と確認をしたそうです。
すると、返ってきたのは、
「いつも担当してくれているMIX師に確認したところ、間違いないとのことでした。ですので、送った音源で合っています。」
という趣旨の回答でした。
結局、スタッフはコラボ企画ということもあり、指定されたフレーズで歌唱したそうです。
※現在は削除されております。
この話を聞いて、僕はかなり考えさせられました。
まず大前提として、原曲と異なるハモリを歌うこと自体が、悪いわけではありません。
また、原曲と違う音程=音楽的に間違いという事でもありません。
意図的にハーモニーを変更したり、原曲とは違うアレンジを加えたりすることもあります。※権利関係がクリアな場合。
例えば、主旋律が「ド」のとき、本家では「ミ」を重ねているけれど、別のアレンジでは「ソ」を重ねる。
これはあくまで説明用の例ですが、選ぶ音が変われば、主旋律との音程関係も響きも変わります。
つまり、スケール内の音だからといって、何を選んでも原曲どおりになるわけではありません。
原曲を再現するのか。
それとも、独自のアレンジを加えるのか。
ここは制作する側で共通認識を持っておく必要があると思います。
「MIX師がそう言ったから」は、確認の答えになっているのか?
今回、一番気になったのはこちらの部分です。
原曲との違いを指摘された際に、担当のMIX師が正しいと言っていることを理由に、そのまま制作を進めてしまったこと。
そもそも、コラボ相手の方が音程を理解出来ていない事も明白です。
もちろん、MIX師に確認すること自体は何も悪くありません。
むしろ、分からない部分を専門の方に相談するのは良いことだと思います。
ただ、第三者が正しいと言ったからといって、疑問が解消されたことになるのでしょうか。
MIX師というのも、あくまで『自称』です。技術レベルにはかなりの差がありますし、資格も要りません。『ミックスエンジニア』とは全く別の存在です。
例えば、
「原曲とは異なりますが、今回は意図的にハモリを変更しています。」
という回答なら、理解をする事ができると思います。
あるいは、
「確認したところ、こちらのガイドに誤りがありました。しかしながら、スケール内にはおさまっておりますので今回はガイドのフレーズでの歌唱をお願いいたします。」
などでも、誠実だと思います。
人間なので、誰だって間違えることはあります。
大切なのは、指摘されたときに改めて確認すること。
誰が正しいと言ったかよりも、なぜ正しいと判断したのか。
僕は、そこが大切だと思っています。
もう少し踏み込みましょう。
ここからは『信用問題』のお話です。
もし、ご自身がフレーズに疑問を持ったうちのスタッフ側だとしたら、上記の対応についてどのように感じるでしょうか。
僕の場合は、
・そもそも音程を把握出来ていない可能性
・指摘した箇所について自分で調べる能力や知識がない
・根拠の無いものを盲信してしまう傾向がある
・自身が間違っている可能性を考える事が出来ない
など、非常に多くのマイナスな感情が湧いてきてしまいます。
つまり、今回の件では『正確な音程』だけではなく、不誠実な対応により『信用』も失うことになります。
歌ってみたのコラボでは、企画を立てる人、歌う人、MIXを担当する人など、複数の人が制作に関わることがあります。
それぞれ得意なことが違うのは当然です。
音程を聴き取るのが得意な人もいれば、歌唱表現が得意な人もいる。
だからこそ、分からない部分を補い合えることが、コラボの良さでもあると思います。
ただし、誰かに作業をお願いすることと、判断をすべて委ねてしまうことは別です。
自分が用意したガイド音源について質問されたのであれば、必要に応じて担当者と再確認し、コラボ相手にも内容を共有する。
そういったやり取りも、共同制作の大切な一部分ではないでしょうか。
そして、歌い手さんにも伝えたいことがあります。
渡された音源に違和感があれば、遠慮せず確認してみてください。
もちろん、相手を責める必要はありません。
「原曲ではこのように聴こえるのですが、今回はアレンジでしょうか?」
と伺うだけでもいいと思います。
逆に、自分がガイド音源を用意する立場であれば、相手からの質問を否定的に受け取らず、一緒に確認できる関係であるべきだと考えます。
間違いを指摘することは、相手を否定することではありません。
より良い作品を作るための、大切な確認作業だと思います。
大切なのは、間違えないことよりも確認できること。
また、真摯に向き合うこと。
だからこそ、何かを指摘されたときには、一度立ち止まって確認する姿勢を大切にしたいと思っています。
技術や経験があるからといって、すべての判断が必ずしも正しいわけではありません。
そして、誰かの意見を尊重することと、その人の判断を無条件に正しいとすることも違います。
間違えることよりも、間違っている可能性を指摘されたときに、改めて確認できないことの方が問題なのではないか。
今回の話を聞いて、強くそう感じました。
歌ってみたのコラボが、お互いに遠慮して疑問を飲み込む場所ではなく、より良い作品を目指して意見を交わせる場所になればとても素敵ですね。
project AMBIVALENCEでは歌ってみたのMIXも承っております。
お気軽にご相談ください。