ピザ回しの本を出したら、映画出演のオファーが来ました。

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コラム

僕は最初に所属した劇団がピザ屋を経営していたので、そこで働きながら役者修行をしていました。

その結果、なぜか役者だけではなく、ピザ回しのパフォーマーにもなったんです。

人生、どこで何が身につくのかわかりません。

せっかくなので、ピザ回しに特化したKindle本を出しました。

調べても同じような本は見当たりません。

周りからは「そんなもので本を出して、誰が読むの?」と思われていたようです。

僕自身も、大勢に読まれる題材ではないだろうと思っていました。

実際、飛ぶように売れたわけではありません。

でも、本を出しておくと「ピザ回し 本」で検索した時に、僕が出てきます。

世界で最初かどうかを完全に証明するのは難しいとしても、この題材で本を出した、かなり珍しい人にはなりました。

するとある日、映画の制作側から公式LINEに連絡が入ったんです。

「ピザ回しができる人を探しています。

出演してもらえませんか?」

ピザ回しの本を見つけ、そこから僕の公式LINEまでたどって連絡してくれたそうです。

ところが撮影場所は東京。

僕は福岡在住です。

先方は、なぜか僕を東京の人だと思っていたようでした。

監督や制作側にも相談してもらいましたが、交通費まで含めると予算が合わず、出演は見送り。

ただ、この映画には出演していません。

でも、がっかりだけではありません。

本を出していなければ、会ったことのない制作会社が僕を見つけることはなかったでしょう。。

SNSの投稿は流れていきますが、本は検索される場所に残ります。

売れる本だけが役に立つ本ではないんですね。

珍しい経験を一冊にすると、それが名刺になり、検索の受け皿になり、思いもよらない依頼を運んできます。

あなたにも「こんなの誰が読むの?」と思っている経験がありませんか?

大勢が読む題材ではなくても、必要な人が探している可能性はあります。

ただ、必要な一人が探した時、その本があるかないかで未来は変わります。

出演できなかったと聞いた時は、やはり残念でした。

それでも、誰にも知られなかった僕のピザ回しが、会ったことのない映画スタッフの目に届きました。

その事実は今も嬉しいんです。

あなたが「こんな経験は役に立たない」と思っているものも、必要な一人が探せる場所へ置けば、静かに次の扉をたたいてくれます。
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