これまでの会社生活を振り返ると、管理職になってからも、副所長、副課長、副部長といった「副」のつく役職を務める時間が長かった。
もちろん、所長や課長、部長といった役職を経験したこともある。しかし、振り返ってみると、自分にはトップを支える立場の方が合っていたのではないかと思う。
私は、自分で方針を打ち出し、強力なリーダーシップで組織を引っ張っていくタイプではない。
むしろ、リーダーの参謀役として実務を担ったり、周囲を支えたりすることの方が性にあっていた気がする。
そして、部下が気持ちよく仕事に取り組めるように環境を整え、一人ひとりが力を発揮できるようにサポートする。
そうした役割に、自分らしさがあると感じている。
日本の会社では、管理職になれば、さらに上の役職を目指すことが期待される。組織を率いる立場に進むことが、キャリアアップの一つの形として捉えられているからだ。
しかし、役職が上がることと、自分に合った仕事ができることは、必ずしも同じではない。
最近、自己理解のためのツールを使いながら、自分の特性を改めて考える機会があった。
その中で見えてきたのは、組織を強力に統率することよりも、人を支え、その人が力を発揮できるようにすることの方が、自分には向いているのではないかということだ。
考えてみれば、これは会社生活に限った話ではない。
私が所属する音楽サークルでも、代表として組織を引っ張る立場ではなく、マネージャーとして代表や幹部をサポートし、組織がうまく回るようにする役割を担ってきた。
会社でも、音楽サークルでも、自然と自分が担ってきたのは、誰かを支え、組織がうまく機能するように働きかける役割だったのである。
そう考えると、これまでの自分の経験には、一貫した傾向があるのかもしれない。
そして今、改めて考えていることがある。
それは、退職後に研修講師や組織変革の支援、あるいはキャリアコンサルタントとして一人で起業するという選択が、本当に自分に合っているのだろうか、ということだ。
もちろん、それらの仕事を否定するつもりはない。
しかし、自分で事業を立ち上げ、方針を決め、営業し、すべてを自分で切り盛りしていくことが、本当に自分の性に合う働き方なのか。少し立ち止まって考えてみたいと思うようになった。
自分で何かを成し遂げることだけが、働くことの価値ではないはずだ。
誰かを支えること。人が安心して力を発揮できる環境をつくること。組織がうまく回るように、目立たないところで力を尽くすこと。
そうした仕事にも、十分な価値がある。
そして、自分自身も、そうした役割を担うときにこそ、無理なく力を発揮できるのかもしれない。
大切なのは、世間一般のキャリアアップの形に自分を合わせることではなく、自分の特性を理解し、それに合った働き方を選ぶことではないだろうか。
自己理解とは、自分の強みを知るだけではない。自分が何にストレスを感じ、どのような環境で自然に力を発揮できるのかを知ることでもある。
合わない方向に無理やり進もうとするのではなく、自分に合った方向を見つけ、そこに進んでいく。
定年後の働き方を考える今だからこそ、そんな視点を大切にしたいと思う。
まだ、具体的な答えが見つかったわけではない。
ただ、これからのキャリアを考えるうえで、自分の特性を理解することの大切さを、今、改めて感じている。