知人夫婦の結婚披露宴で、乾杯の発声を依頼された。
非常に名誉なことである。
一方で、正直なところ、自分は話がそれほどうまいわけではない。若い頃は、むしろ人前で話すことが苦手であった。
管理職になってからは、朝礼や会議で社員へのメッセージを伝えたり、企業内の研修の講師を務めたり、行事での乾杯の発声をしたりする機会はあった。
しかし、「これはうまく決まった」と思えることは、正直なところ、ほとんどない。
そうしたこともあって、文化センターの話し方講座に通うなど、話し方について勉強してきた。それでも、まだまだである。
今回、このような機会をいただいたことをきっかけに、改めて自分なりに考えている「話し方で高めていきたいこと」を整理してみたい。
一つ目は、事前にしっかり準備することである
まず大切なのは、話す内容をあらかじめ決めておくことである。
当然、結婚式の乾杯の発声のような場では、紙を見ながら話すわけにはいかない。そのため、いかに短くまとめるかが重要になる。
緊張すると、考えていたことの8割くらいしか言えないものである。
だからこそ、8割しか話せなくても、きちんと伝わる簡潔なメッセージに、事前にまとめておく必要がある。
二つ目は、話す態度と表情である
これについては、文化センターの講師から何度も指摘された。
「あなたの話はそんなに下手ではない。でも、笑顔がなくて表情が固い。それで話されても部下は前向きになれない」
これは、もう笑顔を作るしかない。
緊張すると、どうしても表情が硬くなり、笑顔が消えてしまう。だからこそ、笑顔を作るトレーニングや、姿勢を正すトレーニングをしていくしかないと思っている。
話す内容だけではなく、どのような表情や姿勢で話しているかも、相手に与える印象を大きく左右する。
三つ目は、自分の話し方の癖を知ることである
自分ではそのつもりはなかったのだが、録音して聞いてみると、自分には早口になる傾向があることが分かった。
「時間内に相手に伝えなければ」と思うと、ついつい言葉を急いでしまう。
しかし、早く話しても、相手に伝わらなければ意味がない。
だからこそ、一言一言をかみしめながら、相手に届けるように話すことを心がけたい。
乾杯の発声は、発言している間、出席している方々を立たせることになるので、焦りそうであるが、内容を最小限にしたうえで、できるだけゆっくり話すことを意識してみようと思っている。
四つ目は、なるべく自分のことを話さないことである
当然ながら、結婚式では、新郎新婦を立てる発言だけにすべきだが、それ以外の場では、自分自身について話さなければならないこともある。
その場合、話し方講座の講師から教わったのが、
「関西芸人のように、すべる、こける」ということである。
つまり、かっこつけないことである。
自分をよく見せようとするのではなく、すべる、こける。
かっこわるい自分を見せる方が、相手の注意を引いて親近感を抱いてもらえるのである、
これは、話し方のテクニックというだけではなく、人とのコミュニケーションにおいて大切なことなのかもしれない。
「自分が、自分が」とならない。
いい年をした大人として、これは身につけておきたいことである。
「話すこと」は「自分を伝えること」だけではない
結婚式という特別な場面に限らず、普段のコミュニケーションについても、同じことが言えると思う。
いろいろな人のコミュニケーションを見ていると、「自分が、自分が」となっている人の話は、どうしても面白く感じられない。
そして、そういう人は、なかなか信用されにくいようにも思う。
一方で、相手の話をしっかり受け止める人、相手の立場に立って発言する人には、自然と人が集まる。
そういう人は、周囲からの信望も厚い。
では、自分はどうか。
まだまだ前者に近いのではないか。
自分が、自分が、となりがちだったり、相手の気持ちを考えないまま、自分の考えを伝えてしまうところがあるという自覚はある。
だからこそ、普段から発言する際は、焦って言葉を口に出さず、一歩立ち止まって考えたい。
「相手にどう受け止められるのか」
そうしたことを考えること自体が、話し方のトレーニングになるのではないかと思う。それを重ねていくしかない。
さらに言うと、私はキャリアコンサルタントである。
相談者の気持ちを受け止めつつ、相談者自身が整理するのお手伝いをする仕事である。
柔らかい表情で傾聴し、相手の気持ちを確認していく。決して焦らずに。
そんなコミュニケーションを普段から心がけたい。
結婚式まであと少し。
当日は緊張しそうだけど、しっかり事前に準備して、人生の門出の日のお手伝いが少しでも出来たらと思っている。