リーディングセラピー21 夏の手紙

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小説
※まずは深呼吸
リラックスして読み進めてください



どうして、いつもこうなんだろう。
窓の外に広がる青い空を見上げながら、ふと、そんな考えが頭をよぎった。
外は驚くほど静かで、時折、遠くで風鈴が揺れている音だけが響く。
さわやかな風がカーテンを揺らし、肌に触れるその冷たさが気持ちいい。
目を閉じると、風の音が少しだけ大きくなり、その音に包まれると自分が世界から切り離されていくような感覚がする。

何かをしなきゃいけない、ずっとそんな思いが心のどこかにあった。
でも、気づけばもう何日も同じような日々が続いている。
あのノートは、まだ真っ白のまま手元にある。
たぶん、もう何週間も前に新しく買ったものだ。
いつか何かを書くために、とりあえず買っておこう、そんな軽い気持ちで手に取ったのを思い出す。

いつからだろう、この「とりあえず」が積み重なって、結局何もしていないまま時間だけが過ぎていく感じ。
ノートの白いページを見つめるたびに、言葉が浮かんでくるような気がしては、すぐにそれが消えていく。
まるで、自分の中にある何かがどこかに逃げていってしまうような感覚。

「なんで、こうなんだろう」

声に出してみると、その問いかけが部屋の中に響いて、さらに自分を追い詰めるような気がした。
答えはわかっている。
怠けているんだ。
それは間違いない。
でも、怠けたくないのに怠けてしまう。
動きたくても動けない。
どこかに原因があるはずだけれど、その原因が見えないまま、ただ足が止まってしまう。

外の世界は、動いている。
風は吹き、空はどこまでも続いている。
街の遠くから、子どもたちの笑い声が聞こえてくる。
目を閉じて、もう一度その音に集中してみる。
何かを感じ取ろうとしている自分がいる。
外の音がどこか懐かしく響くのは、きっとあの頃の自分がまだ動けていたからだ。
まだ、何も恐れずに進んでいた時期。

でも今は違う。
怖い。
新しいことを始めるのが、怖い。
何かを始めたら、きっと途中で投げ出してしまう。
そう思ってしまうから、始めることさえできない。
それなのに、時間だけは容赦なく進んでいく。
もう、夏も終わる。
窓から吹き込む風の冷たさが、少しずつそのことを教えてくれる。

「何かを変えたい」

そう思う。
でも、どうすればいいのかがわからない。
その一歩が、どうしても重くて踏み出せない。
頭の中で何度も自分に問いかけてみる。
何をしたいのか、何を変えたいのか。
けれど、その問いに対する明確な答えが浮かんでこない。
ぼんやりとした思いだけが、霧のように漂っている。

ノートにペンを置く。
その感触は、手に少しだけ冷たく感じる。
いつもなら、何かを書き始めるのが怖くて、この瞬間でやめてしまう。
白いページが汚れるのが怖い、そんな馬鹿げた理由をつけて。
それでも、今日は少し違う気がした。

ペンを動かし、一行目を書いた。
最初はぎこちなかったけれど、次第に手の動きが自然になる。
何を書いているのか、自分でもよくわからなかった。
それでも書き進めるうちに、少しずつ胸の奥にあったもやが晴れていくような気がした。

「これが最初の一歩かもしれない」

そんな風に思う。
何が変わるわけでもない。
でも、こうして何かを始めることで、自分の中で何かが動き出す。
そう信じたい。風が少し強くなって、カーテンが大きく揺れる。
その音がまるで自分を励ますかのように聞こえる。

もう少しだけ、書いてみよう。
手が止まらないうちに。
ペンを動かしていると、まるでその動きが自分の思考を整理してくれているような気がしてきた。
思えば、何かを始めることが怖かったのは、失敗するのが怖かったからだ。
始めてしまったら、途中で投げ出してしまうんじゃないか、そんな恐れがいつも自分の背中を押さえつけていた。

けれど、今は違う気がする。
少なくとも、こうして何かを始めることで、自分の中の恐れが少しずつ溶けていくのがわかる。
確かに、いつも最初の一歩は重い。
それでも、その一歩を踏み出せば、次の一歩は少しだけ軽くなる。
そうやって少しずつ進んでいけばいいんだと、自分に言い聞かせる。

ノートのページはまだまだ白い部分が多い。
でも、その白さが今は少しだけ希望に見えた。
これから何かを書き足していくことができる。
その可能性が、自分の手の中にある。

外では、風鈴がまだ静かに揺れている。
夏の終わりが近づいている。
だけど、まだ終わっていない。
そのことが、どこか安心感を与えてくれる。

「大丈夫だよ」

自分にそう呟いてみると、その言葉が思ったよりも心地よく響いた。

自分に「大丈夫だ」と言い聞かせたあと、少しの静寂が部屋を満たす。
心の中で言葉がゆっくりと反響し、その響きが身体中に広がっていく。
そんなに急ぐ必要はない。
これまでは何もできていないと焦っていたけれど、今はそう感じなかった。
ただ一つ、確実に進んでいる感覚があった。
ノートの端に小さく書かれた言葉たちは、今の自分の思いそのものだった。

ペンを置き、深く息を吸う。
風の音が再び耳に届き、涼しさが身体に沁み込んでくる。
いつの間にか、自分の周りのすべてが少しずつ動いているように感じる。
ほんの小さな変化かもしれないけれど、確実に何かが変わった。

窓の外に目をやると、空の色は少しだけオレンジに染まり始めていた。
夕方が近づいている。
夏の終わりの独特な光だ。
その光はどこか切ないけれど、同時に安らぎも与えてくれる。
過ぎ去っていくものを見送る準備が、少しずつ整っているような気がした。

「このままじゃいけない」

その思いが胸に再び湧き上がる。
でも、今は焦りではなかった。
もっと静かで、ゆったりとした確信に近い感覚だ。
怠けていることを責める気持ちはもうなくなっていた。
むしろ、その怠けた日々が今の自分に必要だったのかもしれない、とさえ思えてくる。
立ち止まる時間も、自分にとって大切なものだったのかもしれない。

ふと思い立って、部屋の窓を全開にした。
風が一気に部屋の中に流れ込んでくる。
カーテンが大きく揺れ、部屋の中に新しい空気が混ざり込む。
頬に当たるその風は心地よくて、まるで自分を新しい場所へ連れて行ってくれるようだ。

「今日から始めよう」

その言葉が自然に口をついた。
何を始めるか、具体的なことはまだわからない。
だけど、それでもいい。
重要なのは、その一歩を踏み出すことだと今は思える。
その感覚を手放したくなかった。
風の中に自分の迷いを少しずつ溶かし、軽くなっていく感覚を楽しむ。

ペンをもう一度握りしめ、ノートの新しいページをめくる。
そして、ただ思うがままに書き続けた。
書かれている言葉が何を意味しているのか、自分でもわからなかった。
それでも、その行為自体が心地よかった。
ペンが紙の上を走る音が、風鈴の音に溶け込んでいく。

空は次第に色を変え、オレンジから深い青へと移り変わっていく。
その過程が、まるで自分の心の中の変化を映し出しているように感じた。
外の音は少しずつ静かになり、日が沈むとともに、夜の静けさが訪れる。
だけど、その静けさも今は心地いい。

窓の外には、いつの間にか星がぽつりと輝き始めていた。
まだ少し淡く、夜の始まりを告げるように。
星は小さく輝いているけれど、その光は確かにそこにある。
自分の中にある希望もきっと、こんな風に少しずつ輝き始めているんだろう。

ノートを閉じ、立ち上がる。
今の自分は、少しだけ軽くなった気がする。
頭の中にあった重い雲が、少しずつ晴れていくのを感じる。
今はもう、立ち止まっている自分を責める気持ちはない。
どんなに小さな一歩でも、それは確かに前進だ。
そして、その一歩がこれからの自分を変えていく。
外に出て、夜空を見上げる。
空気がひんやりとして、夏の終わりを告げている。
けれど、その冷たさが心地よく、胸の奥に安心感をもたらしてくれる。
これでいい。今は、これでいい。
焦らず、ゆっくりと進んでいけばいいんだ。

風が静かに吹き、髪を揺らす。
その感触を感じながら、もう一度深く息を吸い込んだ。
夏の匂いが、まだ少しだけ残っている。
今回は、怠け癖の改善を目指して催眠スクリプトを組み込んで書きました。
違和感がないように催眠スクリプトを組み込むにはどうしたらいいか?
スクリプトの改良と試したいことがあったので実験も兼ねて少し長めの物語にしてみました。
時間があるときにぼーっとしながら読んでみてください。


最後までご覧いただきありがとうございます。
この投稿が少しでもあなたの役に立ちますように。


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