💬 「返してもらえなくてもいい。嫌な思いだけはさせたい」
そんな依頼が、たまに来ます。今回の対象は、元カレのような立場の男性。
依頼人は女性。
内容は、お金(10万円ほど)と、預けていた私物の回収。
でも、普通の債権回収とは少し違いました。
🔹 対象者は“あちこちに借金がある男”
まず前提として、この男性はいろんな人からお金を借りているようです。
合計いくらかは不明。
でも、依頼人曰く「少なくとも数人から請求を受けているはず」とのこと。
こういう相手にとって、**“誰からの圧か分からないけど不安”**という状況はかなり効きます。
「あれ、これって誰の件だっけ?」
「なんか知らない人から言われたけど…まさかアイツ?」
「そろそろヤバいかも…」
本人が抱える“曖昧な後ろめたさ”に対して、こちらは“名前を出さない圧”をかけていく形になりました。
🔹 最初の接触:名乗らずにプレッシャーを与える
まずは接触。
ただし、名乗りません。
「お金、返してないですよね?」
「また来ますから」
それだけ。
名前も名刺も出さず、何の借金のことかも言いません。
でも相手は、明らかに驚き、焦る様子でした。
こういう接触の仕方が成立するのは、
相手の過去に“心当たりがありすぎる”ときだけです。
🔹 張り込みと、ただ“見る”という行為
その後は、在籍確認や訪問などを挟みつつ、
対象者の住まい周辺で張り込み。
目的はただひとつ、「見ること」。
こちらから声をかけたりはしません。
ただ、見て、記録して、存在を感じさせる。
対象者はだんだんと出勤時間をズラすようになり、
不安そうに周囲を気にするようになります。
“誰かに見られている”という感覚は、ジワジワ効くのです。
🔹 管理会社にも“さりげなく”仕掛ける
加えて、本人が住んでいるアパートの不動産会社にも連絡。
第三者のふりをして、こう伝えました。
「最近、取り立てみたいな人がアパートに来ていてうるさい」
「ちょっと怖い。迷惑している」
これにより、管理会社が本人および保証人に連絡を入れました。
結果的に、本人も保証人も焦ることになります。
管理会社側にも「面倒な住人」として認識されはじめ、
“自宅が安全ではなくなる”演出に成功しました。
🔹 なぜか物は返ってきた。でも…
途中、理由はわかりませんが、私物は返ってきました。
しかし、お金はまだ返ってきていません。
また、訪問後に対象者の家に女性が入っていき、2人で急いで外出する姿も確認済み。
それが依頼人かどうかは不明ですが、
依頼人なのではないかな、と考えています。
🕵️♂️ 違和感と考察
依頼人はこう言いました。
「お金が返ってこなくてもいい。嫌な思いはしてもらいたい」
でも実際には、私物を返させ、お金も回収を継続。
しかも、名乗らずに動いてくれという条件付き。
ここから私が読み取ったのは――
・本人と依頼人は、まだ関係が続いている
・依頼人は、「返してほしい」と思っていることを本人に知られたくない
・つまり、“優しい人”と思われたままでいたい
・でも、なめられっぱなしではうまくいかないと感じている
たぶん彼女は、関係を終わらせたいわけじゃない。
でも、ずっと下に見られていることには耐えられない。
これはもう、心理戦の依頼に近いのかもしれません。
🔚 依頼の終わり方
10万円の貸しに対して、依頼料は明らかにそれ以上。
少しの“弱み”や、“別の目的”も見え隠れしました。
最終的には、特に完了なく依頼は自然消滅したような雰囲気に。
でもまだなにかやるとは思います。依頼人からは、
「また何かあったら、お願いします」と。
💬 最後に
取り返すだけがゴールじゃない。
人の感情が絡むと、依頼の意味はもっと複雑になる。
探偵が動くのは、見えない気持ちの代行者として、ということもあるんです。
🧭 今後のnoteについて
こんなふうに、探偵として実際に受けた依頼を
「どんな背景があって」「どんな動きをして」「どんな結末になったのか」
できる範囲でリアルに綴っていこうと思います。
人の感情や関係が絡む依頼ほど、
マニュアルでは語れない“微妙なグラデーション”があります。
探偵の仕事ってどんな感じ?
裏側では何を見ているの?
…そんな興味がある方は、ぜひ今後も読んでいただけると嬉しいです。