年末に向けて案件が重なり、「来週から急ぎでコーディングを手伝ってくれる人がほしい」「今月中に納品が必要なページを、どこかに巻き取ってもらいたい」という場面が増えてくる時期です。急いで外注先を探すと、「対応できます」という返事をもらえた時点でほっとして、そのまま依頼してしまいがちです。
ところが、駆け込みの外注で困るのは、依頼したあとに「実は他の案件と重なっていて、作業に入れるのは来週後半です」「この部分は対応範囲外でした」と分かるケースです。繁忙期は外注先も忙しいため、「対応できます」という言葉の中身が、制作会社様の期待とずれていることがあります。
結論から言うと、駆け込みの外注先を選ぶときは、依頼前に次の3つを質問するだけで、本当に対応できる相手かどうかをかなり見分けられます。
・質問1:いつから作業に入れて、1日にどのくらい時間を割けますか?
・質問2:この資料を見て、確認したいことはありますか?
・質問3:間に合わなくなりそうなとき、いつ、どう連絡してもらえますか?
この記事では、それぞれの質問で何が分かるのか、どんな答えなら安心できるのかを、外注を受ける側の目線も交えてまとめました。
駆け込みの外注でトラブルが起きやすい理由
繁忙期の駆け込み外注には、普段の外注とは違う難しさがあります。
外注先も同じ時期に忙しい
制作会社様が忙しい時期は、外注先のフリーランスや小さな制作チームも同じように忙しいことが多いものです。「対応できます」と返事をしていても、実際には複数の案件を並行していて、作業に使える時間が限られていることがあります。
確認やすり合わせの時間が取れない
急ぎの案件ほど、依頼前の打ち合わせを省いて作業に入ってもらいたくなります。しかし、すり合わせが足りないまま進めると、上がってきたものを直す時間がかかり、結果として納期が苦しくなります。
「対応できる」の基準が人によって違う
「対応できる」が「技術的には作れる」という意味なのか、「その納期で、その品質で仕上げられる」という意味なのかは、相手によって違います。ここを確かめないまま依頼すると、すれ違いが起きやすくなります。
だからこそ、依頼前に短い質問をいくつか投げて、「この納期・この範囲で本当に動けるか」を確かめることが大切です。
質問1:いつから作業に入れて、1日にどのくらい時間を割けますか?
1つ目は、スケジュールの具体性を確かめる質問です。「納期に間に合いますか?」と聞くと、多くの場合「間に合います」という答えが返ってきます。そこで、納期ではなく「作業に入れる日」と「作業に使える時間」を聞くのがポイントです。
安心できる答えの例
・「明日の午後から作業に入れます。今週は他の案件もあるので、1日あたり4時間ほどです」
・「水曜までは別件の納品があるため、木曜から本格的に入れます。下層ページ5枚なら、木曜・金曜で仕上げて月曜に確認していただく流れが現実的です」
このように、開始日・作業時間・他の案件との兼ね合いまで具体的に答えてくれる相手は、自分の稼働状況を把握できています。作業量と期間を照らし合わせて、無理があれば自分から言ってくれる可能性も高いと言えます。
少し注意したい答えの例
・「大丈夫です、すぐやります」
・「納期までには必ず仕上げます」
もちろん、こうした答えでも実際にはきちんと対応してくれる方もいます。ただ、具体的な数字がないと、途中で予定が崩れたときに気づくのが遅れがちです。もう一歩踏み込んで「最初の1ページはいつ頃見られそうですか?」と聞いてみると、相手の見通しが分かります。
依頼する側が用意しておくと良い情報
この質問を有効にするために、依頼する側も「ページ数」「デザインカンプの有無」「最終納期」「途中で確認したいタイミング」をまとめておきましょう。情報がそろっているほど、外注先も正確な見通しを答えやすくなります。
質問2:この資料を見て、確認したいことはありますか?
2つ目は、案件の中身を理解してくれているかを確かめる質問です。デザインカンプや指示書、既存サイトの情報などを共有したうえで、「何か確認したいことはありますか?」と聞いてみます。
安心できる答えの例
・「スマホ表示のカンプがないページは、他のページの作りに合わせる形でよいですか?」
・「お問い合わせフォームは見た目だけの実装でしょうか、それとも送信まで動く状態にしますか?」
・「既存のテーマに組み込む形ですか、それとも静的なページとして納品しますか?」
資料を見たうえで具体的な質問が返ってくる相手は、作業に入る前に案件を頭の中で組み立ててくれています。質問の内容から、その人がどこに気をつけて作業するのかも見えてきます。
少し注意したい答えの例
・「特にありません、大丈夫です」
資料がよほど細かくまとまっていれば別ですが、初めての案件で質問がまったく出ない場合は、資料を十分に見ないまま返事をしている可能性もあります。その場合は、「スマホ表示はどう作る予定ですか?」など、こちらから1つ質問を投げてみると、相手の理解度を確かめられます。
この質問は、そのまますり合わせにもなる
質問2のやり取りは、見極めになるだけでなく、そのまま作業前のすり合わせにもなります。急ぎの案件ほど打ち合わせを省きたくなりますが、質問への回答という形で認識を合わせておけば、短い時間でも手戻りを減らせます。
駆け込みの案件でも、資料を拝見して確認したい点をまとめてお送りしたうえで、対応できる範囲と開始日をお伝えしています。まずは状況だけでも、こちらからお気軽にご相談ください。
質問3:間に合わなくなりそうなとき、いつ、どう連絡してもらえますか?
3つ目は、問題が起きたときの動き方を確かめる質問です。繁忙期は、体調不良や他案件の急な修正など、予定どおりに進まないことが起こり得ます。大事なのは「遅れないこと」を約束してもらうことよりも、「遅れそうなときに、早めに知らせてもらえること」です。
安心できる答えの例
・「遅れそうだと分かった時点で、その日のうちにトークルームでご連絡します。どこまで終わっていて、残りがどのくらいかも合わせてお伝えします」
・「毎日夕方に進捗を共有します。その時点で予定より遅れていれば、対応策もご相談します」
連絡のタイミングと、何を伝えるかまで答えてくれる相手であれば、万が一のときも早めに手を打てます。制作会社様の側でも、別のメンバーに一部を振り直す、クライアント様に事前に相談するといった判断がしやすくなります。
少し注意したい答えの例
・「遅れることはないので大丈夫です」
自信があるのは心強いことですが、問題が起きたときの動き方が決まっていないと、締め切り直前になって初めて遅れが分かる、ということにもなりかねません。「念のため、途中経過はいつ頃共有してもらえますか?」と、確認のタイミングだけでも決めておくと安心です。
3つの質問とあわせて確認しておきたいこと
3つの質問で稼働状況・理解度・連絡の仕方を確かめたら、あわせて次の点も確認しておくと、さらに安心して任せられます。
機密情報の扱い
クライアント様の案件を任せる場合は、NDA(秘密保持契約)に対応できるか、本人確認が済んでいるかを確認しておきましょう。制作会社様の名前を出さずに作業する「黒子」としての対応が必要な場合も、最初に伝えておきます。
修正対応の範囲
急ぎの案件では、修正の往復にかけられる時間も限られます。「確認後の修正は何回まで含まれるか」「デザイン自体の変更が入った場合はどうするか」を、依頼の時点で決めておくと、納品前後のやり取りがスムーズです。
連絡手段と返信の目安
普段どのくらいの時間で返信できるのか、土日や夜間の連絡はどうなるのかも確認しておきます。急ぎの案件ほど、返信の速さがそのまま進み具合に影響します。
依頼する側ができる、駆け込み外注をスムーズにする準備
外注先を見極めるのと同じくらい、依頼する側の準備も大切です。駆け込みの外注をスムーズに進めるために、次の点を意識してみてください。
・任せる範囲を「このページのコーディングだけ」のように具体的に区切る
・デザインカンプや素材は、編集できる形式でまとめて渡す
・最初の1ページを早めに確認して、認識のずれがないかを確かめる
・途中で決めたことは、やり取りの中で流れないように一か所に記録する
・余裕があれば、繁忙期の前に小さな案件で一度お願いしておく
特に最後の点は、来年以降の繁忙期にも役立ちます。一度一緒に仕事をした外注先がいれば、次の駆け込みのときに見極めの手間を大きく減らせます。
私自身が外注先としてお受けするときに意識していること
私はWeb制作歴6年で、HP・LP・ECサイトの制作を100件以上手がけてきました。繁忙期のご依頼をお受けするときは、作業に入れる日と1日に使える時間を具体的にお伝えし、資料を拝見して確認したい点をまとめてお送りするようにしています。予定どおりに進まない可能性が出てきたときは、分かった時点でご連絡し、どこまで進んでいるかも合わせてお伝えします。
NDA対応・本人確認済みで、制作会社様の黒子としての対応も可能です。平日日中は1時間以内の返信を目安にしており、その納期・その範囲では難しい場合は、最初に正直にお伝えするよう心がけています。
まとめ:「対応できます」の中身を3つの質問で確かめる
繁忙期の駆け込み外注では、「対応できます」という返事だけで判断せず、その中身を確かめることが大切です。
・いつから作業に入れて、1日にどのくらい時間を割けるか(稼働状況)
・資料を見て、確認したいことはあるか(案件の理解度)
・間に合わなくなりそうなとき、いつ、どう連絡してもらえるか(問題が起きたときの動き方)
この3つを依頼前に聞くだけで、急ぎの案件でも安心して任せられる外注先かどうかを見分けやすくなります。
「年末に向けて手が足りなくなりそう」「急ぎのコーディングだけ巻き取ってほしい」という制作会社様は、お気軽にご相談ください。案件の内容とスケジュールを伺ったうえで、対応できる範囲と作業に入れる日をお伝えします。
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