『はるみ、朝の光の中で』

『はるみ、朝の光の中で』

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学び
第一章 英語って、おもしろい

はるみが英語を好きになったのは、小学3年生のときだった。
くもんのプリントに出てくる短い英文が、まるで秘密の暗号みたいで、
読めるたびに胸の奥がふわっと温かくなる。

「英語って、おもしろい」

その気持ちは、3年生のときからずっと変わらなかった。

でも、算数は違った。
数字が並ぶと、頭の中が急に霧みたいに白くなる。
だから、5年生の終わりにリバティの教室に入ったとき、
はるみは少しだけ自信をなくしていた。

けれど、センセは言った。

「算数だけじゃなくて、なんでも聞いてええよ」

その言葉に、はるみの胸の霧が少し晴れた。



第二章 4級への挑戦

去年の10月。
はるみは英検4級を受けると決めた。

「センセ、特訓してください」

そう言ったとき、センセは笑ってうなずいた。

でも、特訓といっても、
毎日教室に来てプリントをもらい、
自分で解いて、また持ってきて、
間違えたところを直す──
そんな“自分勉強”だった。

はるみは、
「自分でやる」
ということが、こんなに気持ちいいものだと初めて知った。

そして、結果は──合格。

通知を見た瞬間、
胸の奥がじんわり熱くなった。

「やった……!」

その声は、誰に聞かせるでもなく、
自分の心の中に静かに響いた。



第三章 3級への道のり

年が明けて、はるみは6年生の冬を迎えた。
次の目標は、英検3級。

4級よりずっと難しい。
でも、はるみは迷わなかった。

「やる。やってみたい」

その気持ちだけで、
2週間、毎日お弁当を持ってリバティに通った。

教室の窓から差し込む冬の光。
プリントの白い紙。
鉛筆の音。
センセの「ええやん」という声。

全部が、はるみの背中を押してくれた。



第四章 苦手との対面

試験前日の夜。
センセが英検のホームページから直近の過去問を印刷してくれた。

リーディングも、リスニングも、英作文も、
手応えはあった。

でも──
Eメールの応答問題だけが、どうしても上手くいかない。

「なんでやろ……」

はるみは、鉛筆を握ったまま、
机にうつむいた。

WHクエスチョンの答え方。
主語と動詞の並べ方。
頭ではわかっているのに、
文章にすると、どこかがズレる。

胸の奥がぎゅっと縮まる。

そんなはるみを見て、
センセは静かに言った。

「はるみ、ちょっと待っとき」

そして、
特別な文法問題を作ってくれた。

「これ、やってみ」

その声は、
不思議と安心できる声だった。



第五章 試験当日の朝

試験は午前11時すぎから。
でも、はるみは朝9時にリバティへ行った。

「最後の特訓、お願いします」

センセはうなずき、
特別文法問題を丁寧に、ゆっくり教えてくれた。

「主語は誰か。動詞は何をするか。
 まずはそこから考えるんやで」

センセの言葉が、
はるみの胸にすっと入っていく。

10時になったとき、
はるみは深呼吸をした。

「よし。行ってきます」

その声は、
昨日より少しだけ強かった。



第六章 試験の時間

会場の空気は、
冬の冷たい風とは違う緊張で満ちていた。

問題冊子を開いた瞬間、
はるみの心臓がどくんと鳴った。

でも、
リーディングは落ち着いて読めた。
リスニングも、耳が英語に慣れていた。
英作文も、練習した通りに書けた。

そして──
Eメールの応答問題。

昨日まで苦手だった問題。

でも、
センセの声が頭の中で響いた。

「主語は誰か。動詞は何をするか」

はるみは、
ゆっくり、丁寧に、
一文ずつ書いた。

書き終えたとき、
胸の奥がふっと軽くなった。



第七章 帰り道

試験が終わった帰り道。
冬の空は高くて、
風は冷たいのに、
はるみの心はどこか温かかった。

「難しかったけど……悔いはない」

自分でそう思えたことが、
何より嬉しかった。

来週の月曜日には解答速報が出る。
不安はある。
ドキドキもする。

でも──

「がんばった自分が、ちょっと好き」

はるみは、
そんな気持ちを胸に抱きながら、
ゆっくり歩いた。

冬の光が、
はるみの背中をやさしく照らしていた。



終章 はるみの青春は、もう始まっている

青春は、中学生になってから始まるわけじゃない。
大人になってからでもない。

自分で決めて、自分で動いた瞬間から、
青春は始まる。

はるみは、
英語が好きで、
努力ができて、
不安と向き合いながらも前に進んだ。

その姿は、
まぎれもなく青春の真ん中にいる。

そして、
これからもっと広い世界へ歩いていく。

はるみの青春は、
まだ始まったばかりだ。

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