何度か言及しているように、グランドセイコーは近年ブランディングを大きく変えており、かつその試みが成功。力がいや増します。
そのきっかけは2017年。長らく母体であったセイコーから離れ、独立化を果たしました。
この独立化の目的にはグローバルとしての成長」が一つとして挙げられます。事実、海外市場に向けた積極的な施策が行われました。
もともと、技術力やデザイン力と言った様々な「資産」を持つグランドセイコー。初期モデルの見事なリバイバルや新たなる「スポーツコレクション」の充実化。あるいは海外でのショップ展開の促進が功を奏し、グランドセイコーのグローバル化は好調と言っていいでしょう。
こういった海外肩を並べる力は、国内での評価を高めることにも繋がり、最近では若年層のグランドセイコーファンも獲得してきました。
グランドセイコー コンスタントフォーストゥールビヨン
そんなグランドセイコーの、驚くべき新境地が2020年9月に突如としてリリースされました。
これまで「最高の普通」がコンセプトであったことからコンプリケーションモデルはあまりなかった同社。しかしながら、「超複雑」にして「世界初」の、T0 コンスタントフォース・トゥールビヨンを発表したのです。ちなみに2022年にはこれをブラッシュアップし、腕時計への搭載を実現した「Kodo」を発表して世界を沸かせました。
これを契機に、ますますグランドセイコーの力は高まることが容易に想像できますね。
T0を簡単に解説すると、コンスタントフォースおよびトゥールビヨンと呼ばれる超複雑機構を同軸一体化した、世界初の機械式ムーブメントです。
コンスタントフォースとは、精度がゼンマイの持続時間に干渉されない機構のことです。rasupakopi.com
トゥールビヨンとは精度を司る「テンプ」と言うパーツを専用キャリッジに入れてキャリッジごと回転させる仕組みです。これによって時計の姿勢や重力による、機械へのパーツ負荷を平均化させることが目的です。
言うは易し、の通り、この二つの機構は製造すること自体がきわめて難しく、実現しているは限られています。
しかしながらグランドセイコーはこの二つを、さらに同軸上に一体化するという世界で初めての偉業を成し遂げました。
精度を追求し続けてきた、グランドセイコーならではの、希代の銘品と言えるのではないでしょうか。
なお、T0は同年7月に竣工した岩手県岩手郡雫石町の、「グランドセイコースタジオ雫石」で展示されています。