「自分の財産の一部を、社会のために役立ててほしい」 遺言書で財産を寄付する*遺贈寄付(いぞうきふ)*に関心を持つ方が、年々増えています。
ただ、いざ考えはじめると、多くの方が最初につまずくのが*「どこに寄付すればいいのか分からない」*という点です。寄付を受け付けている団体は数えきれないほどあり、活動の内容もさまざまです。
この記事では、寄付先を考えるときの手がかりとして、代表的な11のジャンルと、それぞれの主な活動、そして寄付先を選ぶときのポイントをまとめました。
まずは「何に心が動くか」から考える
寄付先選びは、団体の名前から探すよりも、ご自身が何に関心を持ってきたかから考えるほうが、納得のいく選択になりやすいです。
・自分や家族が病気で苦労した経験がある
・ずっと動物と暮らしてきた
・子どもや若い人を応援したい
・生まれ育った地域に恩返しをしたい
・ニュースで見た災害や紛争が忘れられない
こうした人生の経験や思いが、寄付先を選ぶいちばんの手がかりになります。 そのうえで、次のジャンルを眺めてみてください。
寄付先団体の11のジャンル
1. 医療
病気の研究や治療法の開発、患者さんや家族の支援などをおこなう分野です。
・がんや難病などの研究への助成
・病気と向き合う患者さん・家族の相談や生活の支援
・医療が届きにくい地域での診療活動
ご自身やご家族が病気を経験された方が、「同じ病気で苦しむ人のために」と選ばれることの多い分野です。大学や病院などへの寄付という形もあります。
2. 動物
動物の命を守り、人と動物がともに暮らせる社会を目指す分野です。
・保護犬・保護猫の保護や、新しい飼い主さんへの譲渡
・盲導犬・介助犬などの育成
・野生動物や絶滅のおそれがある生きものの保護
長年ペットと暮らしてきた方からの関心が高い分野です。なお、「自分が亡くなった後のペットの世話」を考えている場合は、寄付とは別に、遺言書での準備が必要になることもあります。
3. 貧困
経済的に苦しい状況にある人の生活を支える分野です。
・食料の配布(フードバンクなど)
・住まいを失った人への支援や、生活の立て直しの相談
・ひとり親家庭など、生活に困っている家庭の支援
国内の貧困に取り組む団体もあれば、海外の貧困に取り組む団体もあります。「身近な地域の人を助けたい」のか「世界の人を助けたい」のかで、寄付先が変わってきます。
4. 災害支援
地震・豪雨・台風などの災害で被害を受けた地域や人を支える分野です。
・発生直後の緊急支援(物資の提供、避難所の運営支援など)
・被災地の長期的な復興支援
・災害に備える防災の取り組み
日本は災害の多い国です。被災した経験のある方や、被災地への思いがある方が選ばれることがあります。遺贈寄付の場合、寄付が届くのは将来のことになるため、「その時に必要とされる支援に使ってほしい」という形で託すことになります。
5. 国際協力
開発途上国など、海外の人々の暮らしを支える分野です。
・安全な水やトイレの整備
・学校づくりや保健・医療の支援
・農業などの技術支援による、自立した生活づくり
海外で暮らした経験や、旅先で見た光景がきっかけになる方もいます。「貧困」「こども」「教育」など、ほかのジャンルと重なる活動も多いのが特徴です。
6. 障がい支援
障がいのある人が、その人らしく暮らせる社会を目指す分野です。
・就労や生活の支援
・障がいのある子どもと家族の支援
・スポーツや芸術活動を通じた社会参加の支援
ご家族に障がいのある方がいらっしゃる場合などに、身近なテーマとして選ばれることがあります。
7. 難民支援
紛争や迫害によって故郷を追われた人々を支える分野です。
・難民キャンプなどでの食料・医療・住まいの支援
・日本に逃れてきた人への生活や法的手続きの支援
・難民の子どもたちへの教育支援
世界では、故郷を追われた人の数が増え続けているといわれています。「国際協力」と近い分野ですが、より緊急性の高い支援が中心になります。
8. こども
子どもが安心して育ち、未来を選べる社会を目指す分野です。
・虐待や貧困などで困難をかかえる子どもの支援
・児童養護施設などで暮らす子どもの支援
・病気の子どもとその家族の支援
・子ども食堂や、地域の居場所づくり
「次の世代のために」という思いと結びつきやすく、遺贈寄付の寄付先として特に関心の高い分野のひとつです。
9. 教育
学びの機会を広げ、人を育てる分野です。
・経済的に苦しい学生への奨学金
・大学・研究機関への寄付(研究や人材育成)
・学校に通えない子どもへの学習支援
ご自身の母校に寄付される方も多く、「自分を育ててくれた学校に恩返しを」という思いを形にしやすい分野です。奨学金に個人の名前をつけられる仕組みを用意している学校や団体もあります。
10. 文化
芸術・歴史・伝統を守り、次の世代に伝える分野です。
・美術館・博物館の活動支援
・文化財や歴史的な建物の保存
・伝統芸能や地域のお祭りの継承
・若い芸術家や音楽家の育成
趣味や生きがいとしてきた芸術・文化の世界に、最後に恩返しをしたいという方が選ばれることがあります。
11. 環境
地球環境や自然を守り、未来に残す分野です。
・森林や里山、海の保全
・気候変動への対策
・自然環境の調査や、環境教育
山や海に親しんできた方、ふるさとの自然を残したいという方に選ばれる分野です。「動物」の分野と重なる活動も多くあります。
寄付先を選ぶときの4つのポイント
ジャンルの見当がついたら、次は具体的な団体を選びます。そのときに確認しておきたいポイントを4つご紹介します。
① 活動内容とお金の使いみちが公開されているか
信頼できる団体は、活動報告や決算(お金の使いみち)をホームページなどで公開しています。大切な財産を託すのですから、どんな活動に、どのくらいのお金を使っているのかは確認しておきたいところです。
② 遺贈寄付を受け付けているか
団体によっては、遺贈寄付を受け付けていなかったり、受け付けられる財産の種類が限られていたりします。
特に不動産や株式は、売却の手間や税金の問題から、受け付けていない団体も少なくありません。「現金での寄付なら受け付ける」という団体もあるため、遺言書をつくる前に、寄付先が受け入れてくれるかどうかを確認しておくことが大切です。
遺贈寄付の窓口や相談先を設けている団体であれば、事前の相談にも応じてもらいやすいでしょう。
③ 団体の法人の種類
寄付先には、公益財団法人・公益社団法人、認定NPO法人、学校法人、社会福祉法人などがあります。また、国や地方自治体に寄付することもできます。
法人の種類によって、税金の扱いが変わることがあります。たとえば、相続人が相続した財産を一定の期限内に一定の団体へ寄付した場合、その分に相続税がかからない制度もあります。税金のことは個別の事情によって大きく変わるため、詳しくは税理士に確認されることをおすすめします。
④ 将来も活動が続いていそうか
遺贈寄付は、ご自身が亡くなった後に実行されます。遺言書を書いてから実際に寄付されるまで、何年、何十年とかかることもあります。
その間に団体が解散してしまったり、活動内容が変わってしまったりする可能性もゼロではありません。活動の歴史や規模なども参考にしながら、長く続いていきそうな団体かという視点も持っておくと安心です。
寄付先が決まったら、遺言書の準備を
遺贈寄付は、基本的に遺言書がなければ実現できません。どんなに「この団体に寄付したい」と思っていても、その思いが遺言書に書かれていなければ、財産は原則として相続人に引き継がれます。
また、遺言書に書くときにも注意が必要です。
・寄付先の団体名を正確に書く(正式名称・所在地)
・「財産の何を」「どれだけ」寄付するのかをはっきりさせる
・遺言の内容を確実に実現してくれる遺言執行者を指定しておく
・家族の遺留分(最低限の取り分)にも配慮する
特に家族がいらっしゃる場合は、家族への思いと、社会への思いのバランスをどう取るかが大切です。「なぜこの団体に寄付するのか」を付言事項として書き添えておくと、家族の理解も得やすくなります。
おわりに
遺贈寄付は、財産の大きさに関わらず、ご自身の人生の思いを、未来へつなぐ方法です。少額からでも寄付はできますし、「財産の一部だけを寄付する」という形も選べます。
「どのジャンルにするか、まだ決めきれない」 「家族にも財産を残しながら、寄付もしたい」 「気になる団体があるけれど、遺言書にどう書けばいいか分からない」
そんなときは、ココナラの相続・遺言の電話相談をご利用ください。
ご家族の状況やご希望をうかがいながら、遺贈寄付を考えるうえで整理しておきたいことを一緒に確認します。「まだ寄付するかどうかも迷っている」という段階でも大丈夫です。
※税金のご相談など、ご相談内容によっては、税理士・弁護士・司法書士など、他の専門家へのご相談をおすすめすることがあります。
あなたの思いが、未来のだれかの力になりますように。
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