人は前向きにはなれない。まずは後ろを向く必要がある

よく「過去を振り返らず、前を向いて」というフレーズを聞くことがある。しかし、実際にはこんなことは無理だと思っている。

なぜなら、人間は過去の自分の経験をもとにして未来の予測をしているからである。なお、多くの学術研究や、天気予報なども過去のデータを使って未来のことを予測したりしている。

ただし人間の場合、過去は学術研究のデータのように客観的な事実としてあるのではない。過去の自分の経験は、事実がありのままに保存されているのではなく、何らかの意味づけや評価がされていることが多い。人間の記憶は、単なる記録ではないのである。

ポジティブな意味づけや評価をしている過去（記憶）が多いと、明るい未来を想像しやすいだろう。だが、もしネガティブな意味づけや評価をしている過去（記憶）が多いと、どうしても明るい未来を想像するのは難しい。

だから、未来に前を向いてもらうには、その前に過去をどのように意味づけや評価をしているか、振り返ってもらう必要があるのである。