こんにちは、ibushiroです。
私は2012年から病院薬剤師として勤務し、精神科領域で服薬指導や心理教育に携わってきました。
今回は、精神科で行われる「心理教育」について、少しお話ししたいと思います。(医療機関によっては行われていることが異なることもあるので、今回は一般的な心理教育と、私が携わった病院での心理教育についてお話します。)
心理教育って何をするの?
「心理教育」と聞くと、少し難しい印象があるかもしれません。
心の持ち方を教えられるのかな?と思う方もいるかもしれませんが、そういうものではありません。
心理教育とは、「病気や治療について正しい情報を知り、生活の中での困りごとへの対処方法などを一緒に考えていく取り組み」です。
もう少しかみ砕いて言うと、
「病気やお薬についての疑問や不安を一緒に整理し、これからどう付き合っていくかを考える時間」
というイメージです。
とはいっても、これだけでは少し分かりにくいですよね。
では、実際にどんなことをするのか、身近な例で考えてみましょう。
例えば、病気と診断されても、
「そもそも、どんな病気なの?」
「どうして薬を飲む必要があるの?」
「副作用が出たらどうしたらいいの?」
といった疑問が出てくることがあると思います。
こうした疑問について、病気や治療を理解しながら、自分に合った対処方法を考えていくことも心理教育の大切な部分です。
精神科の心理教育ではどんなことを学ぶ?
例えば統合失調症の心理教育では、次のようなテーマを扱うことがあります。
- 統合失調症とはどんな病気なのか
- どのような症状がみられることがあるのか
- お薬にはどのような役割があるのか
- どんな副作用に注意する必要があるのか
- 体調の変化にどう気づき、医療者へ伝えるか
- 日常生活で困ったとき、どんな工夫や相談先があるのか
こうした内容について、医師、看護師、臨床心理士、精神保健福祉士(PSW)、薬剤師など、さまざまな職種がそれぞれの専門性を活かしながら関わります。
例えば、病気や症状のこと、お薬の役割や副作用、日常生活での工夫などについて、それぞれの立場から説明し、参加する皆さんと一緒に考えながら理解を深めていきます。
もちろん、関わる職種や進め方は病院やプログラムによって異なります。
そして、心理教育はただ説明を聞くだけの時間ではありません。
参加する方が疑問に思ったことを質問したり、自分の経験と照らし合わせながら考えたりすることも大切です。
また、ご本人だけでなく、ご家族に向けた心理教育もあります。
薬剤師はどんな役割をするの?
私はこれまで、医師や看護師、臨床心理士、精神保健福祉士など、多職種と連携しながら心理教育に薬剤師として携わってきました。
統合失調症などの心理教育には、延べ300人以上に関わってきました。
薬剤師として特に大切にしてきたのは、お薬のことをできるだけ分かりやすく伝えることです。
抗精神病薬の作用や副作用には専門用語が多く、初めて説明を受ける方には難しく感じられることもあります。
だからこそ、一方的に説明するのではなく、
「この言葉で伝わるかな?」
「もっと簡単に説明できないかな?」
と考えながら話すことを心がけてきました。
また、心理教育で大切だと感じているのは、病気やお薬の知識を伝えることだけではありません。
グループで行う心理教育では、薬の話はもちろん、参加者の皆さんが日頃感じている症状や副作用への不安、生活の中での悩みなどを共有する時間もあります。
そうした話を聞くことで、
「同じようなことで悩んでいる人もいるんだ」
「悩んでいるのは自分だけじゃないんだ」
と感じられることもあります。
もちろん、自分のことを無理に話す必要はありません。
ほかの方の話を聞くだけでも、新しい気づきがあったり、困ったときの対処方法を考えるきっかけになったりすることがあります。
私自身も、お薬について分かりやすく説明することと同じくらい、参加する皆さんが安心して疑問や悩みを話せる雰囲気を大切にしてきました。
心理教育は、ただ知識を学ぶだけではなく、「一人で抱え込まなくてもいいんだ」と感じられるきっかけにもなると思っています。
私が心理教育で大切だと思っていること
心理教育は、医療者が知識を一方的に伝えるだけの時間ではないと思っています。
同じ説明を聞いても、分かりやすいと感じる部分や、難しいと感じる部分は人によって違います。
また、説明を受けたその場では理解できても、あとから疑問が出てくることもあると思います。
そんなときに、分からないことを質問できたり、自分の言葉で確認できたりすることも大切です。
病気について知ることは、何でも一人で解決できるようになることではありません。
分からないことや困っていることを整理して、必要なときに周りの人や医療者に相談できるようになることも、大切な一歩だと考えています。
最後に
今回は、精神科で行われる心理教育についてお話ししました。
「心理教育」という少し難しそうな名前ですが、病気や治療を理解し、日々の生活で困っていることへの向き合い方を一緒に考えていく取り組みです。
私は現在、ココナラでも、統合失調症についてご本人やご家族が病気・お薬・副作用などを学べる60分のオンラインサービスを提供しています。
病院で多職種が行う心理教育そのものではありませんが、これまでの経験を活かし、一般的な医学・薬学情報を分かりやすくお伝えしています。
「病院で説明を聞いたけれど、まだよく分からない」
「聞きたかったことが、うまく聞けなかった」
そんな疑問を整理する時間として、お役に立てればと思います。
※この記事は一般的な医学・薬学情報を紹介するものであり、個別の診断や治療方針の判断を行うものではありません。