精神科で患者さんと話す中で感じた、共通する不安とは?

精神科で患者さんと話す中で感じた、共通する不安とは?

記事
コラム

はじめに

こんにちは、ibushiroです。

私は2012年から病院薬剤師として勤務し、精神科領域で服薬指導や心理教育に携わってきました。

これまで多くの患者さんとお話しする中で感じてきたことがあります。

それは、病気や症状、生活環境は一人ひとり違っていても、不安や悩みには重なる部分があるということです。

もちろん、すべての患者さんが同じ悩みを抱えているわけではありません。

今回は、精神科で患者さんと接してきた経験をもとに、私が大切だと感じていることをお話ししたいと思います。

① お薬についての不安


精神科のお薬については、専門用語が多く、分かりにくいと感じることもあると思います。

例えば、

「この薬は何のために飲んでいるの?」

「副作用が出たらどうしたらいいの?」

「これからも飲み続けるのかな?」

といった疑問です。

お薬の役割を理解することは大切ですが、説明を受けただけですべて納得できるとは限りません。

だからこそ、薬剤師として一方的に知識を伝えるのではなく、どこに疑問や不安があるのかを一緒に整理することを大切にしています。

また、実際に私が関わっていた患者さんに、

「薬についてどう思っていますか?」

と、質問をしたところ、

「薬を飲むと症状が安定するから大事です」

という意見が約7割程度ありましたが、

「副作用があって怖い」

「あんまり薬が効いてるのかわからない」

と不安を抱えている意見も8割以上の方でみられました。

こういった意見は自分一人で治療を行なっていると、

「自分だけがそう思うのかな?」

と不安に感じてしまうと思いますが、精神疾患の治療を行っている方の多くが同じように不安を抱えて悩まれていました。

あなたにとって薬とは?.png


② 病気やこれからの生活についての不安


精神科での悩みは、お薬だけではありません。

体調の変化、仕事、家庭、周囲の人との関係など、生活のさまざまなことが関わってきます。

「これからどうなるんだろう」

そんな先の見えない不安を感じることもあると思います。

もちろん、医療者がすべての悩みに答えを出せるわけではありません。

それでも、何に困っているのか、どんなことが心配なのかを整理することで、次に誰に相談すればよいか、どんな支援が利用できるかを考えるきっかけになることがあります。

服薬指導や心理教育を通じて、病気と向き合いながら、それぞれのペースで日々の生活を送ろうとする患者さんの姿を見てきました。

しかし、その一方で、病気に対する周囲の誤解や偏見、職場や家庭で十分な理解を得られないことなどから、つらい思いをされている方にも出会ってきました。

ご本人がどれだけ頑張っていても、周囲の環境によっては、思うように生活できなかったり、社会の中で居場所を見つけにくかったりすることもあります。

精神科の病気は、外見からは分かりにくいことも多く、その苦しさが周囲に伝わらないこともあります。

だからこそ、私は病気やお薬のことを理解するだけでなく、周囲の理解や、困ったときに頼れる人・場所があることも大切だと感じています。

病気とうまく付き合っていくために、ご本人だけが頑張り続ける必要はありません。

医療者やご家族、地域の支援者など、周囲の人たちと一緒に考えていくことも大切なのだと思います。

病気と生活の不安相談マップ.png

③ 「自分だけなのかな」という不安


精神科で患者さんとお話しする中で、もう一つ感じてきたことがあります。

それは、「こんなことで悩んでいるのは自分だけなのかな」と感じている方もいるということです。

病気の症状やお薬の副作用、日常生活での困りごとは、一人ひとり違います。

それでも、周囲に相談しにくかったり、自分のつらさをなかなか理解してもらえなかったりすると、一人で悩みを抱えてしまうこともあります。

私がそのことを特に感じたのが、複数の患者さんと一緒に行ってきた心理教育でした。

参加者同士で症状やお薬について話していると、ほかの方の経験を聞いて、

「こういった症状が出るのは自分だけだと思っていた」

「自分と同じようなことで悩んでいる人もいるんだ」

といった気づきにつながる場面がありました。

また、ほかの方の話をきっかけに、自分が感じている体調の変化について「お薬と関係があるのかな?」と疑問を持ち、医療者に確認するきっかけになることもありました。

もちろん、同じような症状でも原因は人によって異なるため、ほかの方の経験がそのまま自分にも当てはまるわけではありません。

それでも、「悩んでいるのは自分だけじゃないんだ」と気づけることは、大きな意味があると感じています。

そして、無理に自分のことを話さなくても、ほかの方の経験を聞くことで得られる気づきもあります。

私自身、患者さんと接する中で、病気やお薬について説明することだけでなく、安心して疑問や悩みを話せることの大切さを感じてきました。

不安から安心へ導く薬局相談シーン.png


④私が患者さんと接するときに大切にしていること


薬剤師なので、お薬について正確に説明することはもちろん大切です。

でも、それと同じくらい、相手が安心して質問できることも大切にしたいと思っています。

「こんなこと聞いてもいいのかな?」

「うまく説明できないんだけど……」

そんな段階でも、話してもらえるとうれしいです。

すぐに答えを出すことよりも、まずは相手の話を聞いて、何に困っているのかを一緒に考える。

これまでの経験を通じて、そんな関わり方を大切にしてきました。

⑤最後に


悩みや不安は、人によって本当にさまざまです。

一度話しただけで解決することばかりではありません。

それでも、自分の気持ちを言葉にしたり、分からないことを整理したりすることで、少し違った見方ができることもあると思います。

これからも薬剤師としての知識だけでなく、精神科でさまざまな方と接してきた経験を活かして、誰かのお役に立てればと思っています。

お薬に関する不安があれば、どんな些細なことでも大丈夫ですので是非ご相談ください。



最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

※この記事は一般的な経験や考え方を紹介するものであり、個別の患者さんの情報や診療内容を紹介するものではありません。


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