戸籍謄本の英訳は、文章としてはそれほど難しくありません。それでも窓口で止まることがあります。止まる場所はだいたい決まっていて、文章の上手さではなく、書き方の約束ごとのところです。
実際に手を動かしていて、繰り返し出てくる3つを挙げます。
■ 1. 和暦をそのまま訳してしまう
戸籍は和暦で書かれています。「昭和55年4月1日」「令和2年10月1日」のように。
これを Showa 55 や Reiwa 2 と訳すと、受け取る側が読めません。提出先が海外の機関なら、なおさらです。
西暦に直したうえで、原本の和暦も残すのが安全です。
April 1, 1980(昭和55年4月1日)
October 1, 2020(令和2年10月1日)
西暦だけにしてしまうと、今度は原本と見比べたときに対応が取れません。窓口の担当者は、訳文と原本を並べて確認します。両方あるのが一番親切です。
■ 2. 氏名のつづりを、訳者が決めてしまう
日本の戸籍に載っているのは漢字とふりがなだけで、ローマ字表記はありません。そこで訳者がローマ字に直すわけですが、ここで勝手に決めてはいけません。
基準は1つで、パスポートまたは在留カードと同じつづりです。
・「ゆういち」は Yuichi か Yuuichi か Yuichi(長音符つき)か
・「おおの」は Ono か Ohno か Oono か
パスポートが OHNO なら、翻訳も OHNO にします。訳文だけ Ono になっていると、同じ人だと確認できません。
ご依頼のときにパスポートか在留カードのつづりを教えていただくのは、このためです。まだお持ちでない場合は、確認のしかたをご案内しています。
■ 3. 「1通」の数え方が人によって違う
ここは料金の話にもなるので、先に確認したほうがいいところです。
戸籍謄本は、1通が複数ページになることがよくあります。改製原戸籍や除籍まで取ると、3〜5ページになることも珍しくありません。
このとき、
・発行番号ごとに「1件」と数える人
・1ページごとに「1通」と数える人
の両方がいます。3ページの戸籍なら、前者は1件、後者は3通です。同じ書類でも、見積りが3倍変わります。
購入する前に、「この枚数で、いくらになりますか」と聞いてください。写真を見れば即答できるはずの質問です。
■ ついでに:翻訳者の署名について
入管や大使館に出す翻訳には、誰が訳したかを書くことが求められます。書くのは、
・翻訳者の氏名
・日付
・「原本の正確な翻訳である」という一文
・署名
の4つです。
ここで注意していただきたいのが、「認定翻訳者」「公認翻訳者」といった肩書きです。日本には、翻訳者の国家資格がありません。そうした肩書きを掲げている場合、何を根拠にしているのかを確認したほうがいいです。
必要なのは資格ではなく、誰が訳したかが分かることです。
■ まとめ
・和暦 … 西暦に直し、原本の和暦も併記する
・氏名のつづり … パスポート・在留カードに合わせる。訳者が決めない
・枚数の数え方 … 購入前に「この枚数でいくらか」を確認する
どれも、訳す前に決めておけば起きないことです。
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