辞める前に、一度だけ引いてほしいカード。
朝、目が覚めた瞬間に「今日も会社か」と思う。
布団から出るまでに、何度も「辞めたい」とつぶやく。
でも、辞表は出さない。出せない。
その繰り返しの中にいる人は、たぶん少なくないと思います。
私のところに届く相談も、いちばん多いのは仕事のことです。
続けるか、辞めるか。転職するか、このままか。
聞いていくと、「辞めたい」と言っている人の中に、二つの違うものが混ざっていることがあります。
ひとつは、仕事の中身そのものへの「辞めたい」
やっている内容が合わない。この先を続けても、なりたい自分に近づかない。
これは、場所を変えないと解決しません。
もうひとつは、ただ「休みたい」
仕事は嫌いじゃない。でも、ここ何ヶ月か走りっぱなしで、もう何も考えられない。
これは、辞めても解決しません。少し休めば、また動けるものです。
この二つは、朝の布団の中では同じ顔をしています。
どちらも「辞めたい」としか言ってきません。
混ざったまま決めると、どうなるか。
「休みたい」だけだった人が、勢いで辞める。
最初の二週間はよく眠れて、体が軽くなる。ああ、正解だったと思う。
でも一ヶ月経つと、次の仕事を探し始めて、面接で「なぜ辞めたんですか」と聞かれて、うまく答えられない。
消耗が抜けただけで、行きたい場所は何も見えていなかったからです。
逆に、本当は中身が合っていなかった人が、「疲れてるだけかも」と自分に言い聞かせて、有給を取ってやり過ごす。
休み明け、机に戻った瞬間に、また同じ気持ちが戻ってくる。
だから、決める前に、まず切り分けます。
ここでカードを使います。
タロットというと、「辞めるべきか、続けるべきか」を当ててもらう道具だと思われがちです。
でも、私はそういう使い方をしていません。
カードは、当たりや外れを教えてくれるものではなくて、いま自分が何に反応しているかを映す鏡のようなものです。
同じ一枚でも、聞き方しだいで、返ってくるものが変わります。
やり方は、こうです。
まず、「辞めるべきですか」と聞くのをやめます。
これはイエスかノーで終わる問いで、カードを占い機にしてしまいます。
代わりに、こう聞きます。
「いまの重さは、どこからきているんだろう」
そして一枚引いて、その絵の中に入ってみます。
描かれている人になったつもりで、まわりを見て、何を持っていて、どんな姿勢でいるか。
たとえば、木の棒を十本、両腕でまとめて抱えて、前かがみで運んでいる人のカードが出たとします。
顔は荷物のかげに隠れて見えません。少し先に、町の屋根が見えています。
その絵に入って、確かめることは一つだけです。
しんどいのは、抱えている棒の「中身」なのか。
それとも、ここまで運んできて、もう「脚」が動かないのか。
棒を一本ずつ見て、どれも自分の運びたいものじゃないと感じるなら、それは中身の話かもしれません。
棒はどれも必要なものだけど、とにかく町まで運びきる体力が残っていないと感じるなら、それは疲れの話かもしれません。
正解を当てる必要はありません。
「あ、こっちだ」と一つだけ心が動けば、それで十分です。
私も、四十代の半ばに、毎朝この「辞めたい」の中にいたことがあります。
そのときは、辞めるのではなく、役職をひとつ下げてもらうことにしました。
仕事そのものが嫌だったのではなくて、背負っている量に、体が先に音を上げていたからです。
あれは「辞める」ではなくて「降りる」でした。
切り分けていなかったら、たぶん会社ごと辞めて、同じ場所に戻っていたと思います。
あなたのその「辞めたい」は、どちらでしょうか。
仕事を替えたいのか。少し、休みたいだけなのか。
切り分けても、そこから先が動かないこともあります。
そんなときは、頭の中でぐるぐるしていることを、カード越しに言葉にする鑑定もやっています。
気になったら、覗いてみてください。