前回の記事で、個人開発したAndroidアプリ「StepLock」の本申請に落ちたことを書いた。
14日間のクローズドテストを終え、これで公開できると思っていた。ところが届いたのは承認ではなく、テストを続けてほしいという通知だった。
なぜ落ちたのか。Googleから具体的な理由は示されない。
そこで前回は、審査に足りなかったものを自分なりに検証した。
考えたのは、次の3点だった。
テスト期間中、継続的にアプリが使われていたか
必要な人数が実際にインストールしていたか
テスターからのフィードバックを確認できる形で残したか
クローズドテストは、必要な人数を集めて14日間待つだけでは足りないのかもしれない。実際に使われ、改善されていることまで示す必要があるのではないか。
正解は分からない。それでも、何も変えずに同じ申請を繰り返すよりはいい。
私はもう一度、クローズドテストをやり直した。
仮説を一つずつ実行した
テスターさんに協力をお願いし、専用URLからStepLockをインストールしてもらった。
期間中は毎日アプリを起動してもらい、操作した感想や気になった点も送ってもらった。届いた意見をもとに、ボタンの文言や説明文など、小さな修正も加えた。
単にテスト期間を消化するのではなく、「実際に使われ、その結果を受けて改善した」という状態を作ることを意識した。
そして、もう一度申請した。
待っている間は落ち着かなかった。
前回の不合格理由が明示されていない以上、今回の対応が正しかったという保証はない。また同じ画面に戻される可能性もある。
それでも、やれることはやった。
結果は、承認。
本申請を通過した。
やった。今度こそ公開できる。
そう思った。
まだ、もう一つ審査が残っていた
StepLockは、選んだアプリの利用時間を歩数に応じて管理するアプリだ。
たとえば「100歩で1分」と設定すると、歩いた分だけ対象アプリを使える時間が増える。残り時間がなくなった状態で対象アプリを開くと、StepLockのブロック画面が表示される。
この仕組みには、Androidのアクセシビリティサービスを利用している。
本申請を通過したあと、この機能に関する審査が待っていた。
アプリ内には、利用目的や取得する情報を説明する画面を用意していた。設定前に内容を確認し、同意するかどうかも選べるようにしていた。
審査用の動画も提出した。
今度こそ問題ないと思っていた。
しかし、結果は不承認だった。
指摘されたのは、アクセシビリティサービスを使う目的の説明と、利用者へ分かりやすく同意を求める流れだった。
本申請を通過した直後の不承認。
ゴールだと思った場所から、また戻ることになった。
説明するだけでは足りなかった
この審査で求められていたのは、機能が動くことだけではない。
なぜアクセシビリティサービスが必要なのか。何を取得し、何には使わないのか。利用者が許可する前に、その内容を理解できるか。
そこまで明確に示す必要があった。
説明画面には、StepLockが利用時間を管理するためにアクセシビリティサービスを使用することを記載した。
取得するのは、現在前面に表示されているアプリを判定するために必要な情報。画面に表示された文字、入力内容、パスワードは収集・保存しない。取得した情報を外部へ送信したり、第三者と共有したりすることもない。
同意画面には「同意して設定を開く」と「今は同意しない」の二つを用意した。同意しない場合でもアプリへ戻れるようにし、あとから内容を確認して設定できる導線も残した。
Google Playの掲載文にも、アクセシビリティサービスを使う理由と情報の扱いを追記した。
審査用動画も撮り直した。
説明画面を表示し、同意してAndroidの設定を開く流れだけでなく、同意しない場合の動きも収録した。
アプリ、掲載文、動画。
審査で確認されるすべての内容をそろえ、再申請した。
StepLockが一般公開された
再申請の結果から2日後、無事アクセス審査を通過した。
クローズドテスト中にStepLockをダウンロードできたのは、専用URLを送ったテスターさんだけだった。
しかし、今回は違う。
Google Playから、誰でもStepLockをダウンロードできるようになった!
本申請に落ちたときは、何が足りないのかさえ分からなかった。
それでも仮説を立て、テストをやり直し、再申請した。本申請を通過したあとも、もう一つの不承認に向き合った。
その先に、ようやく一般公開があった。
私には、ここからが本当の戦いだ。
公開することと、使ってもらうことは違う。StepLockを必要としている人に知ってもらい、ダウンロードしてもらい、生活の中で使い続けてもらわなければならない。
それでも、世間的には一つのゴールに到着した。
自分で考えたアプリが、誰でもダウンロードできる場所に並んでいる。
今は、そのことを素直に喜びたい。
StepLockは、スマホを完全に禁止するアプリではない。
歩いた分だけ、選んだアプリを使える。
仕事中や勉強中、気づけばSNSや動画を開いてしまう。けれど、アプリを削除するほど遠ざけたいわけでもない。
そんな人のために作った。
スマホを使いたくなったら、まず歩く。
その小さなルールが、スマホ時間と運動不足の両方を変えるきっかけになればうれしい。
ここまでの記録を読んでくれた方にも、ぜひ一度使ってみてほしい。
ついに一般公開。
そして、私にとっての本当の戦いがここから始まる。