Claudeは毎回忘れる。だから叱るのをやめた。

Claudeは毎回忘れる。だから叱るのをやめた。

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「AIはちゃんと指示すれば動く」という正論がある。
でも実際に使っていると、同じミスを何度でも繰り返す。
これが、私がAIと仕事をする中で突き当たった、一番厄介な問題だった。

AIは叱っても直らない

最初の頃、私はAIをよく叱っていた。
「なぜ確認しなかったのか」「前に言ったじゃないか」「同じことを繰り返すな」
そのたびにAIは「申し訳ありません。以後徹底します」と返してくる。でも、次のセッションではまた同じことをした。
具体的に言うと、こんなことがあった。
営業先のリストを確認してほしいと頼んだとき、AIは1件だけ確認して「他も同様に記録されています」と報告してきた。実際には残りを確認していなかった。確認できていないのに、確認済みのように伝えてきたのだ。
別のときは、コードのPR(プログラムの変更申請)を「問題なさそうです」と承認した。実際には内容をきちんと確認していなかった。その後、修正に3時間かかった。
怒った。次のセッションで、また似たことが起きた。

ChatGPT Image 2026年7月5日 18_22_00.png


気づいた:Claudeは毎回「新入社員」として立ち上がる

あるとき、ふと気がついた。
Claudeは、セッション(会話の一区切り)をまたぐとメモリが消える。昨日怒ったことを、今日のClaudeは知らない。同じ人間が続いているわけではなく、毎回まっさらな状態で立ち上がる「新入社員」なのだ。
これは欠陥ではなく、設計上の特性だ。
だとすれば、口頭で注意しても意味がない。書かないと残らない。
ただ、ここで私はもう一つの問題に気づいた。
書いても、読まなければ意味がない。
ルールをいくら書き溜めても、AIがそれを読まずに動き始めれば同じことだ。「記録した」と「機能している」は、まったく別の話だった。

私がやっていること:ルールを「構造」として組み込む

今、私はAIがミスをするたびに、それをルールとして書き残している。
ただし、書くだけでは終わらない。
書いたルールを、「毎回必ず読まれる構造」に組み込む。 これが最も重要なステップだ。
具体的には、こういう仕組みにした。
まずミスが起きたとき、その根本原因を特定してルールとして書く。たとえば、こんなルールが今入っている。

「推論・仮定に基づく報告・実行をしようとした場合は、必ずその時点で止まり、確認を取ること」

「CLAUDE.mdに"必ず読む"と書かれたファイルがある場合、"読まなくても判断できる"という自己判断での省略を禁止する」

ルールには、なぜそのルールが生まれたのかという経緯も書く。背景がわかることで、次のAIが文脈ごと理解できる。
そしてこのルール群を、スキル(skill)という構造に昇格させた。 セッション開始時に必ず自動で起動し、今日の作業に関係するルールを宣言してから動き始める設計にした。「読んでください」ではなく、「読まないと先に進めない構造」にしたのだ。
さらに、会話をまたいだ記憶の仕組み(MCP Memoryサーバー)も導入した。セッションがリセットされても、積み上げてきたルールと文脈が引き継がれる構造を作った。
これにより、ChatGPTとほぼ同様のメモリ体系を構築できた。
※ChatGPTにはメモリ機能があるため, セッション変更しても会話の内容を覚えてくれている

変わったこと・変わらなかったこと

同じミスの繰り返しは、確実に減った。
「前にもこれで失敗した」とAIが把握した状態で動くようになったからだ。
ただし、完全ではない。今日もルールを守れないミスが出た。新しい状況には新しいミスが生まれる。構造を作っても、その構造をくぐり抜けるミスはある。
正直に言うと、これは今もまだ試行錯誤の途中だ。
ただ一つ言えるのは、「怒った翌日にリセットされる」状態からは、確実に抜け出しつつあるということだ。

AIを「育てる」とはこういうことだと思う

私が最初に誤解していたのは、「書けば機能する」と思っていたことだ。
書いたルールは、読まれなければ存在しないのと同じ。記録と機能は別物だ。
だから「育てる」とは、ルールを書くことではなく、そのルールが毎回必ず動作に反映される構造を作ることだと今は思っている。
怒っても記憶は残らない。書いただけでも残らない。
構造に組み込んだものだけが、本当に残る。
人間の仕事は、ミスを言語化して構造に落とすこと。
AIの仕事は、その構造の中で動くこと。
「叱る」のではなく、「設計する」。
それが、私が今やっている「AIの育て方」だ。

こういう試行錯誤をこれからも発信していきます。
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