「もっとプロのような迫力が欲しい」
「マキシマイザーを限界まで上げているのに、なぜか音が弱く感じる」
宅録やDTMで制作をしている方の多くが、一度はこの壁にぶつかります。
私もぶつかりました。
あっちの壁にぶつかり、こっちのマキシマイザーを試し、こっちの壁にぶつかり、あっちのリミッターを試したりしてきました。
周りの音楽仲間やプロの作曲家達と情報交換をしていく中で、なんとなくこの壁の一端が見えてきた気がします。
「音圧=迫力」という誤解
このトラップが、せっかくの楽曲の良さを消してしまっているかもしれません。
今回は、ミックス・マスタリングの現場から見える「本当の迫力」の作り方をお話しします。
1. 「音圧」を上げると「迫力」が消える理由
ミックスの仕上げにマキシマイザーで音圧を稼ごうとすると、波形がベターっと全てを埋め尽くす帯のようになります。
「海苔波形」などの呼び方が多いみたいですね。海苔は実際には結構凹凸やら穴があって感触も良いからこのネガティブな文脈での使い方は、私はあまりしません。要するに波形がベタっと、音が平坦になります。ということです。
すなわち、楽曲が持つ強弱「ダイナミクス」が損なわれます。
データ上、ずーっとボリュームが大きいまま。楽曲の「強」の部分はぐっちゃり潰され、「弱」の部分は引っ張り上げたように。音がベターっとなるんです。ベターっと。
たしかに音量は大きくなります。
しかしこれが「迫力不足」の原因になります。
迫力とは。
音の「明暗」や「押し引き(ダイナミクス)」から生まれます。
甘いクッキーを作るときに塩ひとつまみが大事なように。
いつもは元気なあの子が今日はちょっとだけ寂しげなように。
グッと胸に押し寄せる「迫力」はギャップに宿ります。
それを、無理に「音圧」稼ぎのために音を潰すと、
スネアの鋭いアタックや、ボーカルの繊細な息遣いといった「音楽の魂」が削り取られ、結果として平坦な仕上がりに落ち着きます。望んだ「迫力」とは離れる結果です。
2. 迫力の正体は「アレンジ(隙間)」にある
では、どうすれば本当の迫力が出るのか。個人的にその答えは、ミックスの前の「アレンジ段階」にあると考えています。
プロの音源が迫力を持って聞こえるのは、音が詰まっているからではなく、「鳴らすべき音」と「鳴らさない隙間」が巧みに整理されているからです。
・低域でベースとキックがぶつかっていないか
(ぶつかるのも良いのですが分けたらもっと良くなって驚いたのを覚えています。)
・同じ帯域で複数の楽器が鳴りすぎていないか
(好きな音を集めていくと陥りがちです。私が陥りました。)
・あえて音を抜く「休符」が機能しているか
(「休符も音符だからな。」と先輩に言われたのを今でも覚えています。)
この「整理」ができていると、マキシマイザーに頼らなくてもすでにデモ段階ですら、「お?いいじゃない!」と、音が前に飛び出してくるような迫力が生まれます。
3. 「作業」ではなく「作品」を良くするために
作品のミックス・マスタリングをお任せいただく際に「迫力」重視のオーダーをいただく時には、こちらから提案をさせていただくこともあります。
「このパートを少し削るだけで、落ちサビ後の一瞬でもっとインパクト出せます。」
「ここではサブベースを抜いた場合、メインで鳴ってるフレーズがより際立ちます。」
といった、アレンジ段階に少し踏み込んだお伺いです。
もちろん、支給いただいたデータからのミックス・マスタリングが前提ですが、
「もっとブラッシュアップできる?」というご要望には、録音データの準備期間や納品スケジュールなどの事情が許す限り「取れ得る最善手」を探して提案するのが楽しい、という好みで作品の制作にもう一歩踏み込みたいというエゴを発揮します。
私がお任せいただいた楽曲はできるだけ「ただ音が大きいだけのデータ」ではなく、「作品」にしたいと考えているからだと思います。
「自分の曲のポテンシャルを、更に引き出したい」
そうお考えの方は、ぜひ一度ダイレクトメッセージでご相談ください。今の音源をお聴きした上で、最適なプランをご提案させていただきます。
あなたの音楽に、グッとくる「迫力」を宿しましょう。