外出先でのちょっとした出来事が、わたしの日常にささやかな彩りを与えてくれます。
今回は、見知らぬ人によく話しかけられるわたしの、ちょっぴり変わった体験談を書こうと思います。
スーパーで出会った気のいいおじさん
昔、スーパーでの買い物中のことです。
レジを済ませ、買った商品をビニール袋に詰めていると、隣にいた見知らぬおじさんが、わたしの手元を覗き込みながら大声で話しかけてきました。
「あんちゃん、料理作るんかい?」
一瞬、時が止まりました。「あんちゃん」?
わたし、一応女なんすけど…。
その日、わたしは初めての美容院で希望がうまく伝わらず、どう考えても変なマッシュヘアにカットされていました。
時々鏡を見て「これはナイな」と心の中でつぶやいていたのですが、一方で「いや、待てよ、見方を変えれば、まるで宝塚の男役じゃないか!」と無理やりポジティブに解釈し、一人ガッツポーズを決めていました。
服装はごく普通のジーンズにTシャツ。
そんな状態でまさか初舞台を踏むことになるとは。
気を取り直しておじさんを見ると、満面の笑み。
手際よく袋詰めをするわたしの姿にすっかり感心したようでした。
そして続けて放たれた言葉。
「あんた、若いのにえらいなぁ。ちゃんとしたもん、作ってるんかい?」
この質問に、わたしは心の中で(お前もな!)と全力でツッコミを入れつつ、ニヤリと笑って答えました。
「はい!生きるためにやってます!!」と。
わたしの男役としての熱演に、おじさんは「そりゃ、そうだなぁ!」と腹の底から笑ってくれました。
その日のおじさんの爆笑は、わたしの生存本能を讃えてくれたのかも知れません。
レジ係の人との謎の野菜会議
初めて訪れたスーパーのレジ係の人にも話しかけられたことがあります。
無農薬野菜のコーナーで、見たことがない謎の葉物野菜を買ってみたんです。
そしたら、レジの店員さんが「その野菜、何ですか?私も気になってるんですけど」と興味津々。
「これ、実は私もよく分からなくて…」と正直に言うと、店員さんは「ですよね!なんか不思議な形してますよね」と共感してくれました。
そして、続けて「何の料理にするんですか?」と尋ねてきます。
わたしは少し考えて、答えました。
「んー、とりあえず炒め物にしてみます!珍しいからつい買ってしまって…」
すると、店員さんも笑顔で「分かります!そういう野菜、惹かれますよね。
わたしも買ってみようかな」と、まるで友人と話しているかのように盛り上がりました。
服屋での出来事
たまたまふらっと立ち寄った、少し個性的なセレクトショップ。
店内には店員さんが二人いました。
わたしがTシャツを手に取った瞬間、一人の店員さんが「そのTシャツ、すごくお似合いになりそうですね」と話しかけてきてくれました。
わたしが色について悩んでいると、もう一人の店員さんが「もしよかったら、あちらの色も試してみてはどうでしょう?」と、別のTシャツを持ってきてくれました。
そこから始まった会話は、とどまることを知りませんでした。
最初は服の素材やデザインの話から。
それが次第に、好きな音楽や趣味の話に。
そして、気づけば軽く2時間近くが経っていました。
二人との会話は、まるで昔からの友人と話しているかのよう。
一人は聞き上手で、もう一人は話し上手。
異なる個性を持った二人の店員さんが、絶妙なコンビネーションでわたしとの会話を盛り上げてくれたのです。
その間、他のお客さんは一人も来ませんでした。まるでわたしだけのために、特別に開かれたお店のようでした。
結局その日はTシャツ1枚だけ買って店を出ましたが、店員さんには、「今日は本当にありがとうございました!」と感謝を伝えられました。
Tシャツ1枚で2時間のVIP待遇。
恐縮すぎて、Tシャツを床に落としそうになりました。
二人との出会いと、その場で生まれた会話は、商品を買う以上の価値があるかけがえのない時間でした。
知らない人との会話
今回挙げた以外にも、ホームセンターで知らないおばちゃんに商品について聞かれたり、パン屋さんでパンの食べ方を聞かれたり…。
わたしの周りには、いつも会話のきっかけが転がっています。
正直、知らない人と話すのは面倒だ、と思う人もいるかもしれません。
でも、わたしにとっては、なんだか温かい気持ちになる、特別な時間です。
みんな、誰かと少しだけ話したい、ちょっとしたつながりを求めているのかもしれません。
それは、性別も年齢も関係ない、人間同士の純粋なコミュニケーション。
スマホの画面ばかり見ていると見過ごしてしまうような、ちょっとした心の交流が、わたしの日々の生活に彩りを与えてくれているような気がします。
今日もまた、どこかで誰かに話しかけられるかな。
次に話しかけられたら、どんな面白い会話が待っているんだろう。
そんなことを考えながら、今日もわたしは街を歩いています。