【 農業とテクノロジー①ドローン・AIほか】東京農業大学小論文の勉強法(第6回)

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キーワード:AI,5G,ドローン,IoT,3Dプリンター


(1)はじめに


AI(人工知能)の話題が喧伝されるようになったのは、2017年5月AI(人工知能)の将棋プログラム「Ponanza」(ポナンザ)が、佐藤天彦名人を破ったのがひとつの契機となりました。

いまや、自動運転車や株式の売買、不良品の識別など、AIはさまざまな分野に進出して、経済や私たちの暮らしを支えています。

これは農業も例外ではありません。

スマート農業という言葉があるように、 ICTやロボット、ドローンなどの先端技術を活用した農業が各地で導入されています。

こうした背景を受けて、東京農業大学推薦入試小論文では、以下のような問題が近年多く出題されるようになりました。

「目覚ましく発展している人工知能を、どのように利用して生命科学を発展させればよいか、人工知能を取り入れることで未来の生命科学がどうなると予想できるかを論じなさい。」(2018年バイオサイエンス学科 )


「近年注目されているスマート農業は、「ロボット技術やICTなどの先端技術を活用し、超省力化や高品質生産などを可能にする新たな農業」とされる。今後のスマート農業の導入のメリットと課題についてあなたの考えを述べなさい。」(2020年農学科)


「様々なセンサーや人工知能が農業に応用されている実例や、今後応用可能と考えられる例を挙げて、その内容を説明しなさい。」

(応用生物科学部農芸化学科2019年 )


このような問題は、予め、知識を蓄えておかなければ対応できません。


この「OK小論文」を利用して、東京農業大学推薦入試受験生はいまからテクノロジーに対するきとんとした理解をしておくことが必要になります。

(2)スマート農業とは


日本の農業は労働集約型産業の典型的なもので、人手がかかるわりには、儲け(収益)が少ない点は、前近代的な特徴を残していて、若者の農業就労を阻む要因のひとつと言われてきました。

ところが、近年では、こうした農業のマイナスイメージを改善する方法として、スマート農業の試みが始められ、閉塞した現代の農業をブレイクスルーする鍵のひとつとして、脚光を浴びています。


スマート農業に限らず、「スマート〇〇」という言葉を最近よく耳にします。

スマートフォンが一番早い使用例でしょうか。

「スマート」とは「賢い」という意味で接頭辞のように使われる言葉で、「スマートグリッド」や「スマートスピーカー」といった使用例があります。

これは、機器にセンサーを実装してリアルタイムに情報を収集し、AIを用いてデータを解析する。

こうして得られた結果がユーザーのデバイス※にフィードバックされて、最適化をめざす、つまりより使い勝手がよいユーザーフレンドリーを目指す技術一般について「スマート」を冠して呼ばれる呼称になります。

※デバイス:日頃使っているパソコン・タブレット・スマートフォンや、それらと接続して使う装置の総称。

ICT(情報通信技術)の発展がこうした技術を後押ししました。

スマート農業という場合も同様で、ICTやIoT、ロボティクス(ロボット工学)の技術を用いて、農業の省力化、効率化をはかっています。


農林水産省ではホームページでスマート農業を以下のように紹介しています。

スマート農業とは、ロボット技術や情報通信技術(ICT)を活用して、省力化・精密化や高品質生産を実現する等を推進している新たな農業のことです。日本の農業の現場では、依然として人手に頼る作業や熟練者でなければできない作業が多く、省力化、人手の確保、負担の軽減が重要な課題となっています。そこで、日本の農業技術に「先端技術」を駆使した「スマート農業」を活用することにより、農作業における省力・軽労化を更に進められる事が出来るとともに、新規就農者の確保や栽培技術力の継承等が期待されます。


(3)スマート農業の例


スマート農業の効果の一例として、先の農水省のホームページには以下の事例を挙げています。



*ロボットトラクタやスマホで操作する水田の水管理システムなど、先端技術による作業の自動化により規模拡大が可能に
*熟練農家の匠の技の農業技術を、ICT技術により、若手農家に技術継承することが可能に
*センシングデータ等の活用・解析により、農作物の生育や病害を正確に予測し、高度な農業経営が可能に


ここでは、センシングについて解説します。

センシングとは、センサー(感知器)を機器や製品、各所につけて、温度・湿度、明るさなどの様々な情報を計測して数値化する技術の総称になります。


特に温室栽培では、農作物の生育にとって温度管理や日照時間が重要な要素になります。

これを人の経験やカンで行うのではなく、センサーでデータを管理して、AIを用いて、過去の情報から最適化の判断を任せれることによって、品質のバラツキが少なく安定的な農作物を生産することができます。



近年、AIはさまざまな分野で活用が進んでおり、あらゆる業界を変革して私たちの暮らしと密接に関わり始めています。


(4)ドローンの活用例


実際にドローンを農業でどのような目的に用いているかというと、以下のような事例があります。

農薬や農薬の散布、播種、収穫物の運搬、害獣対策


農薬や農薬の散布は従来は産業用無人ヘリを用いていましたが、コストが高く一台1000万円以上もするものもありました。

重量的にひとりで持ち運びことも困難であり、使い勝手が悪いなど様々な問題点がありました。

一方、ドローンの場合は、費用は100万円~200万円ほどに抑えることができます。

さらに、ヘリよりも至近距離で散布することができますので、小回りも利き、農薬の量を減らしながらより高い効果が得られやすくなるなど、その効果は甚大なものです。

強度もあり、収穫物も運搬できます。

カメラを搭載すれば、害獣を監視したり、生態調査を行ったりすることが可能です。音や臭いを発する装置を搭載して、害獣が田畑に寄り付かないようにすることもできるのです。

課題として、ドローンの強度をさらに上げて最大積載重量を増やすこと、長距離飛行のためのバッテリー開発など、ドローン自体の性能と操縦者の技術向上という両面の解決が求められます。


(5)問題・東京農業大学デザイン農学科推薦入試2019年


「近年、AI (人工知能)やロボティクス技術が世界的に目覚ましい進歩を続けており、関連情報が毎日のように報じられている。そこで、AIやロボティクスの発展と私たちの生活の未来、食や農業の未来のいずれかについて論じてください。(800字以内)
次のキーワードを参考にして下さい。なお、キーワードについては必ずしも使用する必要はありません。
IoT・単純作業の自動化・自動運転・スマート農業・6次産業」

解答・解説はオンライン授業を受講された方に配布しています。



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