魂くんは森でおさんぽをしていました。
と、将来の奥さんのイメージにぴったりな、可憐なお花がたくさん。
そこに広がるように咲いています。
素敵な花畑。
魂くん、お花に感謝して一輪そっと摘みました。
繊細な花びらが落ちないように。
大事に大事に抱えます。
ありがとうお花さん。
これは奥さん(予定ではありません、決定です)にプレゼントするね。
背中を押すような風が魂くんの足取りを軽くします。
と。
将来の奥さんのお家の近くまでやってきた魂くん。
なんだかずいぶん騒がしいことに気が付きます。
フラワーブーケがぁー!
海外旅行がぁー!
二段のケーキがぁー!
ペアルックがぁー!
記念日のペアのコース料理がぁー!
シャンパンほかお酒がぁー!
ドレスだぁー衣装替えがぁー!
多数の営業マンが、将来の奥さんの予定を見越して。
ありとあらゆる方法で「幸せの形」を語っています。
奥さんの家の前で。
魂くん、足を止めました。
立派なブーケの見本が目に入ったのです。
奥さんの幸せとは、あれなのだろうか……。
手元にある一輪の花がしおれそうです。
足を止めたままの魂くん。
しばらくしてその後ろから。
あたいは旦那さまの奥さん(予定です)が、家に帰ってきました。
なんだかるんるんです。
と。
背中が寂しそうな、魂くんに気が付きました。
「黄昏てどうしたの?」
ぎぎぎと、魂くんは首を向けました。
すっかり、奥さんが帰ってくる時間のことを忘れていました。
魂くんわかりません。
あの営業マンたち、奥さんが呼んだのかな。
あー言うのが理想で、欲しいのかな。
あれじゃないと受け取ってくれないのかな。
でも、聞けない……。
「どこ行ってたの?」
小声の魂くん、問いかけました。
「どんぐり拾ってきたの! 食べられるんだってー!」
うちの奥さんはそう言う女です。
と、奥さん。多数の営業マンに気が付きました。
「あたいの家の前でうるさいよあんたたち」
近状迷惑だ。とお冠です。
「幸せを売りに来ました」
営業マン負けません。
「あたいにそんなお金あるわけないでしょ!」
魂くんは誓いました。
いつか奥さんが、好きなものを好きなように選べるように。
たくさん僕が稼いでこよう。と。
ちなみに奥さんが拾ってきたどんぐりは、アクが強くあく抜きが必要とのことです。
「そうなのね」
簡単にすぐに食べられる物(種類によります)だとばっかり。
奥さんちょっとそこまで考えていなかったようです。
「本日のお夕飯は別メニューです」
結論が出たようです。
テーブルの真ん中を飾るのは。
一輪挿しと、どんぐり。
―おしまい―
#ツインレイ