ヤリチンEpisode note.15 「君を待つ間」

ヤリチンEpisode note.15 「君を待つ間」

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小説
彼女とはいつもの方法で知り合った。
もういちいち説明するのも恐縮してしまうのだが、、僕には基本女性がかなり好意を持った状態で連絡をくれる仕組みが備わっている。

見た目は中の下、、、腹は出てるし社会的地位もないベンチャー廃人だ。
それでも女性が連絡をくれるその文面には、

僕へ救いを求めている。愛を求めている。
それが、すごく伝わって、僕はまた恋を始めるのだと思う。

あなたは二番目の最愛の人。

それから、1週間ほど、1日数通の淡白な連絡を連絡をしていた。

彼女は正直に出会う際に彼氏がいることを僕に伝えてくれた。

お返しをするわけではないが。。僕には家族がいることを伝えた。

そこで諦めてしまうなら、それでおしまい。

しかし大体の女性は受け入れてくれることが多い。そうだなぁ。
7割くらいの女性は。こんなクズを愛そうと言うのだ。

僕らが、お互い時間の許すときだけ逢瀬する関係が欲しいと相談を受けた。


ただ一つの策

もちろん僕も基本的にはその選択肢しか持ち合わせていないのである。

私生活の中のなんと無しに空いてしまった穴を。どうにかして埋める術はないんだろうか。
それで、僕はこんなことをしてしまう。また次の女性、長続きするなら、さらにもう一人の女性。

残念ながら日本は、こんな人道に反した行為は良しとされない。
皆、何らかのリスクを背負って、押し潰されるものは人生の敗走ルートを歩んでいくことになる。

僕が独り身の出会いフリークのような存在だったら、
ただあっけらかんと、女性経験を増やし続ければいいだけの話。

しかし、そうではない。罪をここまで育ててしまった。

僕のエンジンオイルが尽き果てるまで、走り続けないといけない。とすら感じる。


しかしながら彼女にしてみたらどうだろう。

まだ、パートナーへの「裏切り」とも言える行為はしたことがないそうだ。

そして、そのハードルはすさまじく高い、


僕は言った。「今までのパートナーを裏切ってしまう罪深い行為」だと。

彼女は迷い、悔やんでいた。


日に日に重さを増す十字


なぜこういったことが起きるのだろう。
僕もいつも考える。

美しい、気立ての良い妻を若くしてもらった僕は、基本的に結婚してもパートナーとの関係を続けている。

もちろん僕はこんな人間でまともな死に方しない。ということもわかっているし。
妻の顔を見て崩れ落ちそうになることだってある。


さらに、背負った十字架、罪は常に僕の背後で増大している。
そして僕は、何とか押しつぶされないようにその罪と対話をしながら。

「明日まで、生かしてほしい。」
そう懇願する。

さらに都合のいいこと。次の日にも、同じ延命要求をするのだ。

これは僕が気づいたことなのだが、罪というのは寄り添ってくれる。

人生を伴奏してくれる。

呪いのようにどんどんその漆黒の色を増やして、僕の人生をまとい尽くしていく。

もう引き返せない壊れた歯車の中にいる。
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どうだろう。
いつしか僕は、そんな人生の苦しみに慣れてしまって、

すっかりこの罪の草原を基準とした、「地獄のましな環境」のようなもので十分満足して暮らしていけるようになるのかもしれない。


自分の自問自答は、、、このくらいにしておいて。。

さて、そんな闇にこの彼女も足を踏み入れようとしている。
改めて考えると。

ぜひ引き返してほしいと。心の底から願っている。


それでも僕らはある平日の仕事終わり、突然近くで時間の都合があってしまうのだった。

僕は静かな、じっとりとした雰囲気のコーヒー店に入った。

30分待っている時間があった。
彼女の顔を思い浮かべていた。


創造上の羞花閉月


僕の容姿は残念な部類に入るほうだが、、彼女は僕を受け入れてくれた。

一方、彼女は僕に顔を教えてはくれなかった。

会うその瞬間まで顔も見たことがない。
ただ、連絡を取り合って、お互い求めている相手。。

喫茶店で待つその30分間は、半日ほどにも長く感じた。


メールが来る。もう、あと5分かかると。
もしかして、もう僕の顔をどこかで見通していて、それでいて好みでなかったのかもしれない。

引き返してしまったのだろうか。

あぁ、それでも仕方ない。
僕の罪が一つ軽くなると思えば、それでもまだ幸せだと思うほかない。

待ち合わせから、5分が過ぎて、さらに10分が経過した。
結局彼女は姿を現さなかった。


「もうあと10分、15分。。」


僕は後ろ髪をひかれるあまり待ち続けてしまうのだった。

別に、お前さん。
またすぐに女性からの連絡はやってくるだろうに。
何をそんなにみっともない期待を持って。。。

仕方ないだろう。
これでも僕は盛りのついた男だし。
何より待つに決まっている。


僕は顔も知らない。

きっと美しい彼女に恋を、しちゃったんだから。

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受付の女性が声を発した。

「いらっしゃいませ~。」からんからん。。


僕は神に願うような面持ちで入口を見つめた。


。。。。。


そこには旅行帰りだろうか、初老の男性がぽつんと一人立っているのみ。


「あぁ、そうだよな。」

何となく目が覚めた。

僕は未練がましく残してたあった。氷の溶けたコーヒーを音を出して啜った。

机の隅の伝票を取って、レジに進む。


受付の女性には入店時「待ち合わせ」と伝えていた。



「お会計ですね。あっ、お連れ様は。。?」


「あ、、僕が。」

「僕が間違えてたんです。大丈夫です。」



僕が「何を」間違えたのか、受付の彼女は知りたかったろう。

何って、それはもう間違いだらけの世界さ。気が狂っちまいそうだ。


何となく投げやりで店を出た。

外は雨が降っていたが、傘を席に忘れたことに気づいた。


もう戻って取る気にもならない。僕はそのまま雨の中駅まで走ろうと決めた。


かかとに力を入れた時、左眼の端に不自然なものを見た。


女性が店先で、スマホをじっと眺めて佇んでいる。

まるで待たせている人に、何とか断りの連絡を入れようか、入れまいか迷っているようだ。

見るに、必死の形相。額に汗が滲んでいるのが、2メートルほど離れた場所からでもわかった。


僕は生まれてこれまで、こんなにスマホと格闘している女性を見たことがなかった。


そしてその姿は何か溢れる健気さと反抗を携えていた。


僕は彼女の肩を叩いた。


「傘、置いてきちゃいました。。そんなに考えず、ちょっと歩きましょう。」


「あ、傘入れてください。忘れてきちゃいました。僕、持ちますんで。」


待たせちゃいました。。。私。。




「いや全然、、待つのも良い時間でした。

 あとは僕とこれから行く場所のことを悩んでください。行きましょう。」





本日もお疲れ様でした。
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