遭難の予感

遭難の予感

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本日も記事をご覧いただきありがとうございます。

山を下り始めてから1時間。

ようやく下りの連続も落ち着いてくる。

「・・・」

なるほど。

登った時には何も思わなかった景色が、下りの時には目に飛び込んでくるようになる。

「この辺を歩いた時には疲れてたもんな」

人は疲れていると下を向く。

大自然の素晴らしい環境にいても、下ばかりを見ていると、人は地面しか見ることができない。

ああ、新しい教訓が生まれた気がする。

ここからは景色を眺めながら下りていこう。

さらに下っていくと、

再び見たことのない光景があらわれる。




それは山道の端に続いているバリケード? に書かれていた。

「山走るな 走るために山へ来るな」

ん?

長年の風雨によって劣化した部分に、黒いマジックでメッセージが書かれている。

これってもしかして、トレイルで来てる人達の事を言ってるのかな。

いや、そもそも。

こんなメッセージ、上りの時にあったかな。

急に不安になる。

まっすぐ下ってきたつもりだったけど、

本当にこの道はあっているのか。

メッセージの続きを読む。

「山道荒らすな 暴走族」

あ、なんだ。暴走族の事を言ってたのか。

良かった。

いや、でも本当に。こんなメッセージあったかな。

ふと生まれた疑念を胸に抱えながら、再び歩き始める。




これまで確かにいくつかの分岐点はあった。

上り道の順序は、

ロックガーデン→風吹岩→雨ヶ峠→ゴルフ場横を通って→六甲山手前休憩所

だったはず。

今は下りだから、

ゴルフ場横をさっき通ったから、雨ヶ峠辺りのはず。

そういえば、さっきからずっと登山する人達とすれ違ってないな。

でも、上りの時は一本道だったし、

大丈夫なはずなんだけどな・・・。

まぁ、なるようになるだろう。

再び歩みを進めていく。




おかしい。

川を横切る事はあった。

でも、川に沿って歩く道なんてなかった気がする。

川の横から湧き出る水がぬかるみになって、徐々に僕のシューズを濡らしていく。

これはもしかすると、

「道に迷ったんじゃないか」

たどり着きたくなかった結論に、ようやくたどりつく。



「とりあえず落ち着け、落ち着くんだ」



まずはスマホで時間を確認しよう。

午後3時

日が暮れるまではまだ時間がある。

こういう時に考えるべきこと。

それは、

「最悪な状況を考える」

このまま道に迷って夜を迎えてしまったら。

食料はない。

もともと下山してから食べに行く予定だったから。

でも、水はある。

最悪の場合でも、そこにある川の水を飲めば生きられる。

水だけで人は1週間は生きられるらしい。

本で読んだことがある。

あとは、山道を暗闇の中で歩くのは危険だから。

今の時刻は昼の3時。あと3時間たって道がなかったら、山にとどまることも考えたほうがいいかもしれない。

となると、気になるのは山の気温。

5月と言っても春は始まったばかり。

結構冷え込むかもしれない。

まぁ、パーカーは持ってきたから。

パーカーで少しは寒さをしのげるかもしれない。

あとは・・・。

山の各所で目撃した、

「イノシシ注意」

の看板。

野生のイノシシってどうなんだろう。

時々、イノシシが人間を襲ったというニュースも見たことがある。

やっぱり強いんだろうなぁ。

出会ったら死んだふり? それはクマか。

イノシシって何するんだろう。

まぁ、でも。上りの時に出会わなかったんだから、下りの時に出会う確率も少ないよな。

よし!!

考えをまとめると、

「今日、死ぬようなことはまずない!」

飲み水はあるし、体温の低下も防げる。イノシシと出会う確率も低いし、夜になったら山道を歩くより、休める場所を見つけよう。

それまでは正規の下山ルートを探せばいい。

僕は再び歩き始めたのでした。




追伸
 「ピンチになったらポジティブに考えよう」

みたいな発想をされる方が多く見られます。

でも本当にピンチになった時は、すぐにポジティブな発想は出てきません。

なんたって、目の前の状況がピンチなんですから。

大切なのは現状を把握すること。

そして、

自分の勝利条件を確認することです。

この時の僕の勝利条件は、

「とりあえず、命の危険がなければ大丈夫」

でした。

冷静に考えて、じっとしていたとしても1日は問題なく過ごせそう。

そう思って行動するのと、

不安を抱えたまま行動するのでは、明らかに活動効率が変わってしまいます。




これは日常生活でも同様です。

学生時代は友達と喧嘩したり、先生に怒られただけで、

「ああ、もう明日から学校に行けない」

と思ってしまう時があります。

でも、そんな事ないですよね。

大人になった皆さんなら分かると思います。

人は最悪の状況を想像しやすい生き物なんです。

でも、

冷静に分析すれば何の事はありません。

友達と喧嘩しようが、先生に怒られようが、命まで失う事はないんですから。



























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