自分をうまく見せようとするほど、苦しくなる―「ちゃんとできているか」を気にしすぎるあなたへ

自分をうまく見せようとするほど、苦しくなる―「ちゃんとできているか」を気にしすぎるあなたへ

記事
コラム
人と話すとき。

仕事をするとき。

何か新しいことに挑戦するとき。

「失敗しないようにしよう」
「ちゃんとやろう」
「相手に嫌な思いをさせないようにしよう」

そんなふうに考えることはありませんか。

一見すると、とても真面目で責任感のある考え方です。

実際、きちんとしようとする気持ちは、決して悪いものではありません。

ただ、その気持ちが強くなりすぎると、いつの間にか「行動すること」よりも「自分がどう見えているか」を気にするようになることがあります。

そして、そこから少しずつ苦しさが始まります。

❇️「ちゃんとできている?」が頭から離れなくなる


たとえば誰かと話しているとき。

「今の言い方、大丈夫だったかな」
「変な人だと思われていないかな」
「もっと面白いことを言わなきゃ」
「相手は退屈していないかな」

そんなことを考えていると、目の前にいる相手との会話に集中しにくくなります。

仕事でも同じです。

「このやり方で合っているかな」
「もっと早くできないといけない」
「失敗したらどうしよう」

と、自分の行動を何度も確認してしまう。

これは単なる「考えすぎ」ではないのかもしれません。

自分を一生懸命に監視している状態とも考えられます。

「私は今、ちゃんとできている?」

そうやって自分をチェックし続けることで、安心しようとするのです。

でも、不思議なことに、チェックすればするほど不安が増えていくことがあります。

❇️「努力」と「自己監視」は少し違います

ここは、とても大切なところです。

努力することと、自分を監視し続けることは同じではありません。

努力は、「どうすればうまくできるだろう」
と、行動に意識を向けます。

一方で自己監視は、
「私はちゃんとできているだろうか」
「失敗していないだろうか」
「周りからどう見えているだろうか」
と、自分自身の評価に意識が向きます。

前者は「行動」に集中しています。

後者は「自分の評価」に集中しています。

同じように頑張っているように見えても、心の疲れ方はかなり違います。

だから、頑張っているのに疲れ切ってしまうときは、

「もっと頑張らなければ」
ではなく、
「私は今、自分を監視しすぎていないかな」

と考えてみることも大切なのです。

❇️結果をコントロールしようとしすぎない


もうひとつ、心を疲れさせやすいのが「結果を自分の力だけで何とかしようとすること」です。

人間関係なら、相手がどう思うか。
仕事なら、周囲からどう評価されるか。
挑戦なら、成功するかどうか。

これらには、自分だけでは決められない部分があります。

どれだけ丁寧に話しても、相手の受け取り方まで完全にコントロールすることはできません。

どれだけ準備しても、予想外の出来事が起こることがあります。

だからこそ、「結果を良くするために努力する」ことと、「結果を完全にコントロールしようとする」ことは分けて考えたほうがいいのです。

自分にできるのは、結果そのものではなく、その結果につながる行動のほうです。

❇️「うまくやる」より「目の前に戻る」

では、どうすれば自己監視から少し離れられるのでしょうか。

難しいことをする必要はありません。

まずは、意識を「自分の評価」から「今していること」へ戻してみます。

会話をしているなら、相手の言葉を聞く。
仕事をしているなら、目の前の作業をひとつ進める。
食事をしているなら、味や温度を感じる。
歩いているなら、足が地面についている感覚を感じる。

「私はちゃんとできているかな」と考えていたことに気づいたら、「今、自分をチェックしていたな」と気づくだけでも十分です。

無理に考えを止める必要はありません。

気づいたら、目の前へ戻る。

その繰り返しです。

❇️自然体は「作るもの」ではない

「もっと自然体でいよう」と頑張る人もいます。

けれど、「自然体にならなければ」と考えた瞬間、また自分を監視してしまうことがあります。

「今の私は自然かな?」

と確認し始めるからです。

自然体というのは、努力して作り上げるものではないのかもしれません。

自分を細かく評価する時間が少し減ったとき、結果として自然に見えることがあります。

だから、「自然に振る舞おう」よりも、「完璧に振る舞わなくてもいい」
くらいに考えておくほうが、かえって楽になることがあります。

❇️「できたか」ではなく「気づけたか」

真面目な人ほど、自分に対する採点が厳しくなりがちです。

今日ちゃんとできたか。
失敗しなかったか。
人に嫌な思いをさせなかったか。
もっとできたのではないか。

でも、毎日を「できた・できなかった」で採点していると、どれだけ頑張っても心が休まりません。

そこで、評価の基準を少し変えてみます。

「今日はうまくできたかな」

ではなく、

「今日は自分が緊張していることに気づけたかな」
「結果を気にしすぎていることに気づけたかな」
「少し休むことができたかな」

そんなふうに見てみるのです。

うまくできなかった日にも、「気づき」は残ります。

そして、その気づきが次の行動につながっていきます。

❇️頑張る方向を少し変えてみる

「うまくやろうとしない」というのは、投げ出すことではありません。

努力をやめることでもありません。

ただ、自分を追い立てるための努力から、自分を守りながら続けるための努力へ、少し方向を変えてみるということです。

100%完璧にできる一日より、70%でも無理なく続けられる日が積み重なるほうが、自分にとって大切なこともあります。

人からどう見えるか。

結果がどうなるか。

失敗しないか。

そこに心を全部預けなくてもいいのです。

今日できることをひとつやる。

疲れたら少し休む。

自分を監視していたことに気づいたら、目の前へ戻る。

それだけでも、十分に前へ進んでいます。

「うまく生きる」ことを目指しすぎなくてもいい。

少し不器用でも、少し失敗しても、自分の時間を自分のものとして過ごせる。

そんな時間を少しずつ増やしていくこと。

それもまた、自分らしく生きるということなのだと思います。



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