【うつ病・繊細さん】生きづらさをなくすことより、生きづらさと共に生きること

【うつ病・繊細さん】生きづらさをなくすことより、生きづらさと共に生きること

記事
コラム
うつ病や繊細さを抱えていると、「この苦しささえなくなれば、もっと楽に生きられるのに」と思うことがあります。

朝起きられない。
人の言葉に傷つきやすい。
疲れやすい。
不安が強い。
気圧や天候に左右される。
人混みが苦手。
考えすぎてしまう。

生きづらさには、本当にさまざまな形があります。

そして、そのどれもが当事者にとっては切実な悩みです。

だからこそ私たちは、「この症状をなくしたい」「普通になりたい」「もっと元気になりたい」と願います。

その気持ちは、とても自然なものだと思います。

苦しいのですから、苦しみから抜け出したいと思うのは当然のことです。

しかし、生きづらさと長く付き合っていると、ある壁にぶつかることがあります。

それは、「完璧に治そう」とすればするほど苦しくなってしまうことがある、という現実です。

もちろん治療やセルフケアは大切です。

休養も必要ですし、医療の力を借りることも重要です。

けれど、生きづらさの中には完全に消えてなくなるものばかりではありません。

ある程度改善しても、少し残り続けるものもあります。

繊細な気質。
疲れやすさ。
考え込みやすさ。
人との距離感への悩み。

そうしたものは、人生のある時期に完全に消えるというより、「付き合い方を覚えていくもの」に近い場合も少なくありません。

それなのに、「まだ治っていない」「まだできないことがある」と考え続けてしまうと、いつまでも自分を不合格にし続けることになります。

本当は以前より眠れるようになった。
以前より外出できるようになった。
以前より笑える日も増えた。

それなのに、「症状がゼロになっていない」という一点だけを見て、自分を責めてしまうのです。

まるでマイナス100点だった場所からマイナス20点まで来ているのに、ゼロ点になれないことだけを責めているようなものです。

けれど人生は、症状がゼロになってから始まるものではありません。

症状が残っていても、生きることはできます。

むしろ、生きづらさを抱えながら自分なりの暮らしを作っていくことこそが、回復のひとつの形なのではないでしょうか。

私は、生きづらさをなくそうと必死になっていた頃ほど、自分を見失っていたように思います。

どうしたら普通になれるのか。
どうしたら人と同じようにできるのか。
どうしたら弱さを消せるのか。

そんなことばかり考えていました。

けれど、その先に待っていたのは自由ではなく、自分自身を監視し続ける毎日でした。

落ち込んではいけない。
不安になってはいけない。
疲れてはいけない。
人に頼ってはいけない。

そうやって症状を取り締まることに必死になるほど、自分の本音や感情がわからなくなっていきました。

悲しいのに悲しいと言えない。
苦しいのに苦しいと言えない。
疲れているのに休めない。

そんな状態になってしまうこともあります。

生きづらさをなくそうとするあまり、自分そのものを消そうとしてしまうのです。

しかし、視点を少し変えてみると景色が変わります。

「症状をなくす」のではなく、「症状があっても暮らせる方法を探す」。

朝が苦手なら、朝に合わせることだけを考えるのではなく、自分に合った工夫ができないか考えてみる。
疲れやすいなら、疲れる前に休む方法を覚える。
人混みが苦手なら、人混みを避ける選択肢を持つ。
不安が強いなら、不安があっても動ける小さな方法を探してみる。

これは諦めではありません。

むしろ、自分の特性を理解した上で生きるための知恵です。

眼鏡が必要な人が眼鏡をかけるように。
足が痛い人が杖を使うように。

自分に必要な工夫を取り入れることは弱さではありません。

生きるための技術です。

そして何より大切なのは、生きづらさがあっても人生には価値があるということだと思います。

症状があるから人生が失敗なのではありません。
不安があるから人として未完成なのでもありません。
繊細だから駄目なのでもありません。

生きづらさを抱えていても、人を好きになることができます。

笑うこともできます。

美しい景色に感動することもできます。

誰かを大切に思うこともできます。

人生の豊かさは、症状の有無だけで決まるものではありません。

私たちはつい、「治ったら幸せになれる」と考えてしまいます。

けれど本当は、「今ある生きづらさを抱えながらも幸せを見つけていく」という道もあります。

完璧を目指さなくて大丈夫です。

生きづらさをゼロにしなくても大丈夫です。

症状が残っていても大丈夫です。

大切なのは、その状態の自分でどう生きるかを考えることです。

生きづらさを敵として戦い続けるのではなく、ときには隣に座らせながら歩いていく。

そのほうが、自分自身を失わずに済むこともあります。

そして案外、その道のほうが穏やかで、自分らしい人生へとつながっているのかもしれません。



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