中小企業経営のための情報発信ブログ338:JUST START 起業家に学ぶ予測不能な未来の生き抜き方

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ビジネス・マーケティング
今日もブログをご覧いただきありがとうございます。
今日は、レオナード・A・シュレシンジャ―&チャールズ・F・キーファー&ポール・B。ブラウン著「ジャストスタート 起業家に学ぶ予測不能な未来の生き抜き方」(阪急コミュニケーションズ)を紹介します。著者のシュレシンジャーはハーバード・ビジネススクールの教授でバブソン大学名誉学長です。バブソン大学は米マサチュセッツ州に本部を置き、起業家精神教育に特化し髙評価を得ている私立大学です。
著者らは、「どうすれば不確実な世界で成功できるのか」という問いに対する答えを見つけるために、不確実な状況でも活躍している人物ー複数の会社を興し成功している起業家たちーに注目し、彼らの考え方や行動から不確実な環境を生き抜くためのメソッドを考案したのです。会社を興すということほど不確実なことはありません。成功した起業家たちは未知の状況に対処する方法を身につけています。それは
①先行きが不透明な場合に取るべき戦略及び方策
②判断を下す際にリスクとコストを最低限に抑える方法
③志を同じくする仲間を集める方法
④不確実な状況においては「行動し、学習し、学んだことを活かして再び行動する」が最も重要な行動パターである理由
などです。これらは、会社を設立する場合だけでなく、新しいプロジェクトを始める時にも、人生のあらゆる場面にも応用できるものです。
起業家の考え方は一般の人と異なります。
私たちは学校に入る前から「予測」することを教え込まれています。これは、未来は現在や直近の過去と同じであるという前提に基づいた考え方と行動です。ビジネスではこの予測(この本では「プレディクション」とよばれています)を用いる場合、新しい道具を開発したり今までにないサービスを提供したりするといった具合に、あらかじめ目標を設定したりします。目標が決まれば最も的確に、早く、安く、効率的に目標を達成するための方法を考えます。これらの一連の行動もすべて予測(プレディクション)に基づいています。
起業家はプレディクションを用いることもありますが、それは会社の業績が順調で、一般的な問題に直面する時です。予測不能な状況ではプレディクションを用いません。そのような場合には、彼らは「クリアクション」という方法を用います。「クリアクション」というのは、著者らが考えた造語で「創造(クリエーション」と「行動(アクション)」を組み合わせたものです。
起業家の考え方・行動は「クリアクション」なのです。彼らはアイデアを思いつくと即座に実行に移して、正しいかどうかを検証するということです。考え付いたアイデアを少し改良して世間の関心を引くかどうかを調べ、市場に受け入られると判断すれば、さらに一歩先に進めます。万が一思ったような反応が得られなければ、アイデアを練り直して別の方向へ駒を進めます。この「行動する→学ぶ→活かす→再び行動する」というサイクルこそが起業家の考えの基盤であり、私たちが手本とすべきものなのです。
第1章 未来を予測できない場合にどうするか 
・未来が予測できない場合は従来の推論では対処しきれない・・・新たな考え方、つまりクリアクションを使って補う。①手始めに小さく、賢い第一歩を踏み出す ②一歩進んで学んだ結果を、立ち止まって確かめる ③学んだ結果を次の一歩に活かす。
・クリアクションはプレディクションにとって代わるものではない・・・両者は共存する。どちらが良いかではなく、状況によって異なる。併用することで大きな効果が得られる。
・クリアクションは誰でも知っている・・・私たちは当たり前のクリアクションを使って推論している。
第2章 何はさておき欲求
・欲求というのは誰にでも備わっている。自分のやりたいことを見つける。情熱的である必要はなく、物事を始めるだけの意欲があれば十分だ。
・はじめの一歩を踏み出さなければ何も起こらない・・・自分から働きかけなければ、どんなアイデアを持っていても意味はない。行動しない限り意味はない。
・行動するには自分が何を望んでいるかを知らなければならない・・・最終的に強い欲求を抱くに至らなければ、アイデアは実現できない。
・何もかも忘れてアイデアに夢中のなる必要はない・・・しかし、行動に向けて一歩を踏み出すには何らかの理由が必要だ。
第3章 手近の手段で行動開始
・自分の欲しいものが分かったら、どうやってそれを手に入れるかを考えなければならない・・・どんなリソースを持っているかを今すぐ把握する必要がある。
・前に進むためのカギは現実を理解すること・・・世の中の本当の姿を理解できているかどうかは、起業家にとって大きなカギである。自分のしていることに没頭するあまり、現状を正しく見られないようではいけない。
・行動を開始する前に、自分の置かれた状況と手近なリソースを把握する・・・どこまで投資できるかを考えなければならない。
第4章 許容損害を決める
・行動を開始する前に、どこまでなら失ってもかまわないのかを知る
・できる限り(あるいはまったく)失わないようにする・・・目標はコストをゼロに近づけることだ。
・これ以上続けたくないと思ったら潔くやめる・・・技術的な問題、市場の動向、そのほか個人的な理由(許容範囲を超えたなど)でうまくいかないと判断した時はやめ時だ。
第5章 学んだことを活かす
・望ましい状況に直面したら(想像以上に自分のアイデアが世間に受け入られた場合など)・・・今まで通り前へ進む。チャンスが遠のいてしまわないように多少先を急ぐ。
・望ましくない状況に直面したら・・・天の恵みと受け入れよう。可能なら解決する。もし無理なら、それを利用するチャンスはないかどうか考えてみる。
・肝心なのは態度・・・予想外の出来事も含めて、すべてを好機ととらえれば、そのうち実際にそうなるものだ。
第6章 協力者を作る
・勧誘とは、人を巻き込んでともに熱中すること・・・相手からすれば、主体的で個人的な関わりである。
・営業は相手を自分の思い通りに導くこと
・どちらも大事である・・・営業だけなら顧客を獲得できる。勧誘だけなら自分のやろうとしていることを広めてくれる宣伝係を得られる。両方をうまくやれば驚くほどの効果が得られる。
第7章 現在の結果としての未来ープレディクションとクリアクションの使い分け
・二者択一のケースはめったにない。
・ほとんどの場合はプレディクションとクリアクションを同時に使うのが望ましい。
・常に両者を意識する・・・何も考えなければ、これまでの習慣でプレディクションを使ってしまう。できるだけ、クリアクションを意識し、使うように努める。
第8章 不確実に備えるー仕事でのクリアクション活用法
・飛行機の宣伝を思い浮かべる・・・飛行機の公告では機内の様子はめったに映らない。それよりも飛行機に乗ってどこに行けるかを強調する。同じように、クリアクションのメリットだけを強調しても意味がない。クリアクションを用いることで、会社にどんな利益がもたらされるかを示す。
・導入はボトムアップ式で、一度に一つずつ・・・確かに変化はトップダウンで始まることもある。だが、クリアクションを定着させようと思ったら、まずは個人が率先して始める必要がある。
・クリアクションに専念する・・・手元の手段を利用して行動する。賛同者を募る。
・少しずつ前に進む・・・大きな組織は新たなことを学ぶのに時間がかかるものだ。クリアクションを導入しても一晩でうまくいくと考えてはいけない。段階的に進めるように心がける。
・関心のないことで時間を無駄にするな・・・欲求速い説だ。組織が変わるには時間がかかることを覚悟して、いざ実行する前に、本当にやりたいことかどうかを確かめる。
第9章 日常生活におけるクリアクション
・起業家の考えや行動は日常生活にも通用するが・・・家族や友人の場合には感情的な問題があり、それを十分に考慮しなければならない。
・家族や友人の場合、許容損害の計算は全く異なる・・・親しい人が相手だと、何か問題が生じた際に、お金よりも大切なものを失う恐れがある。それを踏まえて考えること。
・両方の役割を演じる・・・家族や友人が相手の場合、何かを実現するときだけでなく、誰かを支えるときにもクリアクションを利用できる。
第10章 クリアクションで世界を変える
・健康管理の危機から社会悪まで、ありとあらゆることを、クリアクションを用いて解決できる
・自分にとって大切なことを実現するまでの過程で、心構え、意欲、創造力、そして満足感と言ったものがすべて豊かになる。それこそがクリアクションの本質だ。
クリアクションはビジネスだけでなく日常生活にも有用です。この本に挙げられている簡単な例を紹介します。それはダイエットです。
プレディクションの世界では、まずは計画を立て、どのような方法をとるかを考えます。プレディクションでは、ひたすら目標(10キロ痩せる)を見据えるばかりで、これまで何度も繰り返してきたように挫折します。しかし、クリアクションを取り入れればアプローチは全く異なります。先ずは自分の目指す方向へ第一歩を踏み出すことから始まります。1週間が過ぎ0.5キロ痩せたら次の1週間続けていく、これを繰り返せばいいのです。もし痩せなかったら方法を少し変えればいいのです。大きな問題(10キロ痩せる)を小さな行動に分解するのです。1週間0.5キロずつ落とし20週間続ければ目標達成です。
必要なのは、欲求を持ち、身近な手段で素早く行動を起こし、小さな一歩を踏み出し、仲間の協力を得て自分の目標を実現することです。
まずは最初の第一歩を!スタートしましょう。それこそJUST STARTです。
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